2020年のF1開幕戦オーストリアGPが、7月5日に開催される。翌週12日にも同会場での連戦が予定されており、F1は新型コロナウイルスの影響で遅れていたシーズンを取り戻そうとしている。
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、F1はレースを無観客で実施し、参加するドライバーやスタッフに対しても感染防止のためのマスク着用やソーシャル・ディスタンスの確保といった新様式での作業が求められることになる。
■レッドブル、フィルミングデーでアップデートを試す……攻撃的姿勢で開幕へ
メルセデスF1チームのトト・ウルフ代表はこうした新様式について、関係者全員にとって初めての経験になるものの、メルセデスF1チームは十分に準備ができていると考えている様子だ。
「何をする必要があるのかはわかっている。我々は自分たちのスタッフ、そして帯同する全ての人を守ることが最優先事項だと考えている」と、ウルフ代表はF1のビデオポッドキャストに語った。
「だがこれまでにない状況でもある。他のチームとの交流や、あなた方メディアとも、ファンとも交流が少ない……我々はこうした状況を経験したことがない。新しい経験になるだろう」
「F1は常にポジティブな物を引き出してこれたから、もし土曜日、そして日曜日に素晴らしいショーを提供できたなら、この奇妙な状況を乗り越えることができると思う」
またウルフ代表はこのオフ期間と通常業務のルーチン中断は受け入れるのが難しかったとも認めた。
「まず非現実的なものだった。家でより多くの時間を過ごすのが好きだと言う人もいるが、私としては信じられないモノだ。なぜなら我々はハイペースな環境に居るんだからね」
「我々はある種の枠組みの中で働いていて、いつレースに行くのか、いつオフィスに戻るのか、そしていつ家に戻るのかがわかっている。だから急に電源を抜くようなものなんだ。競争が恋しいよ」
彼は今後のF1において集中しなければならない点が多く存在すると語る。
「目を背けられない問題は、2021年に導入される予算上限だ。ビッグチーム、特にメルセデスやフェラーリ、レッドブルはそれに適応し、プロセスや開発方法、イノベーションや研究開発にかける費用を変えていく必要がある」
F1開幕が迫る中、各チームは旧型マシンでのテストや、今季用のマシンを使用したフィルミングデーなどを実施して準備を進めている。
メルセデスは2月のテストで新たなステアリングシステムを導入するなどでライバルを驚かせてきたが、ウルフ代表は当時の状況を信頼しすぎないようにしていると用心深い姿勢を示した。
「テストで目にしたものが実際のトラックでのパフォーマンスだと考えるのは危険だと私は思っている。2019年を振り返えって、オーストラリアで何が起こったかを考えれば、それは完全に違っていた」
「今年のオーストラリアも、実施するのは簡単ではないと思っていたが、激しい競争が起きると予想していた。(イベントの中止が議論されていた時)部屋の中では何人かがレースをしようと躍起になっていた。それも素晴らしいマシンを手にしていると感じていたからだろう」
「おそらくいくつかのサプライズがあるだろう。レーシングポイントはとても強力なクルマを手にしているようで、バルセロナでは期待できるラップタイムを示していた。そしてルノーとマクラーレンも重要な役割を果たすだろうことに疑いはない」
「だからどうなるか見てみよう。私は常に注意深い質なんだ。土曜の午後3時(予選)には最初の兆候があると思う。そして日曜には誰がベストなクルマを手にしているか、目の当たりにすることになる」
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