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ル・マン敗戦にトヨタ首脳「勝負できるはずがなかった」。左前輪担当メカの負傷も明らかに

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ル・マン敗戦にトヨタ首脳「勝負できるはずがなかった」。左前輪担当メカの負傷も明らかに

 トヨタ・ガズー・レーシング・ヨーロッパ(TGR-E)のテクニカルディレクター、デイビッド・フルーリーは、6月14~15日に行われた今季2025年のル・マン24時間レースを“2クラスレース”と評し、トヨタGR010ハイブリッド7号車・8号車は勝利のために戦う「ポテンシャルをまったく持ち合わせていなかった」と述べた。

 フルーリーのこの発言は、マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ニック・デ・フリース組の7号車が陣営最上位となる総合6位でフィニッシュした後に行われた。レースの大部分で上位を走っていた姉妹車の8号車は、終盤に左フロントホイールが脱落する不運なトラブルに見舞われ16位に沈んだ。

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 セバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレー、平川亮がドライブした8号車は、レース中盤で一時首位を走行していたが、朝方までには5番手まで順位を落とし、上位を走るフェラーリ499P勢や最終的に2位となった6号車ポルシェ963に太刀打ちできないように見えた。

 フルーリーは、もし8号車に問題が発生しなかったとしても5位より上位でフィニッシュすることは到底不可能だったと語った。

「純粋なパフォーマンスで勝負できるはずがなかった」とフルーリーは記者団に語った。

「そもそも可能性などなかったんだ。ふたつのクラスに分かれたレースだった。ひとつはトップスピードのあるマシン、もうひとつはトップスピードがない(低い)マシン用というようにね」

「残念ながら、我々は間違ったチケットを買ってしまい、キャデラックとアストンマーティンと同じ2番目のクラスに入ってしまった」


■8号車のトラブルは「複数の要因が重なった結果」

 トヨタはル・マンの夕方から夜間帯にかけてミシュランのソフトタイヤを試したが、ライバルの大半はミディアムコンパウンドに固執した。

 フルーリーは、これがトヨタが夜間に限って競争力を発揮していたものの、朝方に気温が上昇するとふたたび勢いを失った理由だと考えている。

「レース中、我々が競争力を発揮できたのは、ライバルと同じタイヤを履いていなかった時だけだったと思う」と同氏は語った。「タイヤ戦略によって優位に立っていた(昨季の)サンパウロの再現だ」

 スタートから19時間目、左フロントホイールナットのトラブルで、平川は低速のままコースを一周してピットに戻ることを余儀なくされ、その後の修復作業なども含め8号車は最終的に7周を棒に振った。安定したフィニッシュの望みが失われたことについて、フルーリーは通常のタイヤ交換担当が当該ストップ以前のピット作業で負傷していたことを明かした。

 しかし彼は、ガレージで17分10秒の修復作業を余儀なくさせたこの問題を、交代したメカニックの責任とすることを避けた。

「負傷したメカニックは夜中に病院に行き、今朝手術を受けなければならなかった」とフルーリー。「これは良い知らせではない。彼が早く回復することを願っている」

「その後に起きたことは、必ずしも交代したメカニックの責任ではない。複数の要因が重なった結果であり、より明確に分析する必要がある」


■19km/hオーバーの理由

 トヨタのル・マン参戦40周年を記念してレトロなGT-One(TS020)カラーリングをまとった7号車は、レース序盤から苦戦を強いられた。序盤の接触で車体にダメージを受け、パフォーマンスが低下したのだ。

 同車は可夢偉のドライブ中にミュルサンヌ・コーナーでコースオフし、ピットレーンの制限速度を19km/h超過したため50秒間のストップ・アンド・ゴー・ペナルティを受けた。このマシンは最終的にリードラップの最後尾となる6位でフィニッシュしている。

「トラブルに巻き込まれないようにしたかったが、ターン1で挟まれてしまい両サイドのボディワークにダメージを受けてしまった」と説明したフルーリー。

「修理するには時間が掛かりすぎるため、そのままレースを続けることにした。ボディワークに穴が開き、マシンが持ちこたえられるかどうかわからない状況では、最良のスタートとは言えない」

「その後、ミュルサンヌ・コーナーでロックアップがあった。そのためレース序盤にタイヤのポテンシャルをフルに使う必要があった」

「ピットレーンではスピード違反があり、ストップ・アンド・ゴーペナルティを受けた。これはドライバー交代時にリミッターがオフになっていために発生したものだ」

[オートスポーツweb 2025年06月16日]

文:AUTOSPORT web
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みんなのコメント

102件
  • cat********
    トヨタは義理を果たしているだけの状態だけど、残念。
    課せられた「5年間マシン更新無し+重いBoP」なんて罰でしかないが、WEC、ル・マンの保護で付き合ってるのが現在。それで、他メーカーや有力チームの参戦に繋がっているから、功績は大きい。
    にしてもBoP。これまでの2025WEC全戦でフェラーリ優勝。4戦中2戦でフェラーリ1-2-3かつ3戦で1-2。性能調整ではなく、フェラーリの勝ちを調整しただけだよね。今年のWEC既に台無し。レギュレーション決まってる上に「プロト車」なのにBoP。目的が理解できない。
  • mat********
    アロンソいた頃はダントツだったのにね。
    欧州メインのスポーツはなんでも日本を勝たせたくないのがわかる。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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