1970年代から80年代のアイドルが歌った楽曲を、いまの感性でカバーする──。興味深いプロジェクトに取り組むファッションデザイナーの弓削匠と、その第1弾を手がけたYOGEE NEW WAVESの角舘健悟に話を訊いた。
素晴らしいアーカイブを、現代の感性で再構築ファッションブランド「Adult Oriented Robes(AOR)」のデザイナーである弓削匠が、サンミュージックの新しいレーベルであるサンミュージック・レコードのプロデューサーに就任したのが約1年前。この春、プロジェクトの第1弾として、YOGEE NEW WAVESの角舘健悟が松田聖子の「瞳はダイヤモンド」をカバーした。
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このプロジェクトが発足したいきさつや、今後の方向性について、弓削と角舘が語ってくれた。
──弓削さんはこれまでも、CDジャケットやミュージックビデオのアートディレクターや、DJやレコードショップの立ち上げなどで音楽と関わってきました。弓削さんが新しいレーベルのプロデューサーに就任なさった経緯からお聞かせください。弓削匠(以下、弓削) 僕はもともとミュージシャン志望で、音楽に挫折したときに、それでも音楽に近い場所にいたいということでファッションの道に進みました。AORの前にウィメンズのブランドを16年か17年ほどやっていたんですが、ファッションの世界に嫌気がさした時期があったんです。そのときに、なにができるかを考えて、代々木上原でレコード屋を始めました。レコード屋をやるならちゃんとやらないといけないし、素晴らしいレコード屋さんもたくさんあるから、まともにやっても勝負にならない。そう考えて、AOR(アダルト・オリエンテッド・ロック)という定義付けが難しいもの、曖昧なものをテーマにして、AORのレーベルも立ち上げて、自分のレコード屋と一緒にできないかと考えたんです。それが2018年で、この活動がだんだんと広がって、サンミュージックとの出会いのきっかけになりました。
──サンミュージック・レコードのプロデューサーとして、弓削さんはどのような活動をしていく予定でしょうか?弓削 小学生の多感な時期に1980年代を過ごして、テレビで見たアイドルの多くがサンミュージックに所属しているということはもちろん知っていました。サンミュージックが持っている素晴らしい音源を現代に紹介すること、権利関係も含めてビジネスとして回していくことが僕に課せられたお題だと思っています。だったらいま活躍している素晴らしいミュージシャンに、彼らの感覚でカバーしてもらって、世界的に流行しているアナログ・レコードという音楽媒体でリリースできたらおもしろいよね、ということでスタートしています。
──アナログ盤ということは、ジャケットのアートディレクションも弓削さんの担当でしょうか。弓削 はい。ジャケットというのはレコードの表紙で、その人たちの音楽がその画から聴こえなきゃいけないと思うんですよ。有名なアートディレクターを起用して音楽よりもそのアートディレクターの作品みたいな感じのジャケットデザインが多いですが、それは嫌だと思っていました。そこも含めて、サンミュージック・レコードを運営していけたらいいなと考えています。
──第1弾として、角舘健悟さんというミュージシャンに「瞳はダイヤモンド」をカバーしてもらうというアイデアは、どういった経緯で生まれたのでしょう。弓削 このプロジェクトにふさわしいアーティストを考えていて、そのなかにはYOGEE(NEW WAVES)の名前もあったんですが、たまたま渋谷の路上で角舘君と会って、立ち話をしたんです。
角舘健悟(以下、角舘) 僕はYOGEE以外の場所ではあまり音楽活動をしていなかったんですけれど、いろいろとあって、新しいことをやってみたいと考えていた時期に弓削さんにお会いしました。こういう企画があると聞かされて、お互い松田聖子がめっちゃ好きということで盛り上がって。でもサンミュージックといったら超巨大組織じゃないですか。うちみたいなインディーズ事務所なんか簡単にひねり潰されてしまうんじゃないかと、最初は少し警戒しましたけれど(笑)。
弓削 ふたりでいろいろと楽曲を聞いて、角舘君がご両親のクルマの中で「瞳はダイヤモンド」を聞いていたということもあって、まずこの曲でやってみようということになりました。角舘君の声って独特だし、唯一無二なので、この声で松田聖子を歌ったら最高だと思っていたら、マジで最高でした。
角舘 この曲は、まず作詞が松本隆さんで、自分が詩を書くうえでなかなかあの深さは出せないという、憧れの人です。そして作曲がユーミン(編集部註:クレジットはペンネームの呉田軽穂の名義)、アレンジメントが(松任谷)正隆さんという最高の組み合わせで、尊敬するミュージシャンたちが大好きなアイドルを作り上げていった関係性に接近することができたので興奮しました。レコーディングは、リスペクトを込めて、自分のまわりのミュージシャンでやろうと決めました。きれいな音源を作るだけだったら有名なミュージシャンに集まってもらえばよかったんだけど、まだ発展途上である自分と共鳴できる同世代のミュージシャンと演奏したほうが、純度の高いものを作れるんじゃないかと思って、ああいう形になっています。
──YOGEE NEW WAVESは海外公演も成功させていますが、このプロジェクトも海外で人気を集める可能性があると思います。弓削 昔と違って、いまは自分で発信できますからね。日本のシティポップが世界で流行ったのも、かつては一部の人の間だけで共有していたものが、SNSのおかげでグローバルに広まったからだと思うし、いまはアーティストひとりでなんでもやれちゃう時代だから、おもしろいと思います。
──最後に、このレーベルの今後の活動について、抱負をお聞かせください。弓削 まずはアーティストに興味を持ってもらわないと始まらないプロジェクトなんです。サンミュージックのアーカイブは膨大で、ネタは豊富にあるので、アーティストとのタッチポイントを探して、増やしていくことが大事だと考えています。あとはサブスクだったり、音楽の媒体やビジネスもどんどん進化しているので、そこを勉強しながら進めていきたいですね。実は角舘君にはもう1曲カバーしてもらっていて、まだタイトルはお話しできないのですが、そちらも最高なので楽しみにしていてください。
弓削匠2000年、自身のブランド「Yuge」を立ち上げる。ファッションデザイナーとしての活動と並行して、CDジャケットやミュージックビデオのアートディレクションも手がけ、2018年にはレコードショップ「Adult Oriented Records」をオープン。2024年に、サンミュージックの新レーベルである「サンミュージック・レコード」のプロデューサーに就任した。インタビューと撮影は2023年に東京・中目黒にオープンしたAORの路面店、「Adult Oriented Rooms」で行った。
角舘健悟2013年よりYOGEE NEW WAVESのギターとボーカルとして音楽活動をスタート。2014年4月にデビューシングル『CLIMAX NIGHT』をリリース、同年7月には「FUJI ROCK FESTIVAL」に出演する。2025年は、日本のみならず、韓国や中国での海外公演を積極的に行っている。
写真・菅原麻里 文・サトー・タケシ 編集・高杉賢太郎(GQ)
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