今から20年ほど前、新しい世紀に変わる頃。クルマに対する考え方も変わり始めていた。そんな時代のニューモデルのインプレッションを当時の写真と記事で振り返ってみよう。今回は「ホンダ インテグラ タイプR(2代目)」だ。
ホンダ インテグラ タイプR(2代目:2001年)
2001年7月、インテグラは4代目へとフルモデルチェンジされた。今年(編集部註:2001年)初めのデトロイト モーターショーで発表された、アキュラRS-Xが若干リメイクされて、日本名「インテグラ」として国内デビューを果たした。
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今回のインテグラは、「まずタイプRありき」で開発が進められてきた。インテグラのタイプRとしては2代目にあたるこのモデルは、これまでのようにベースモデルがあって、それを地道に煮詰めていくのではなく、最初から「タイプRを作る!」という前提があって生まれてきた。
ホンダのタイプRとは、ナンバーこそ取得できるが中身はレーシングカーそのものと言ってもいい。エンジンはハンドメイド感覚だし、ネジ1本の材質にまでこだわる軽量化などは、レーシングカーの製作過程と同じ。そして今回の2代目タイプRは、シャシ、エンジン、ボディなど、究極の運動性能を発揮するために一切の妥協をせずに開発されたという。
従来型より飛躍的に剛性をアップさせたというボディは、インテグラとしては初の3ナンバーサイズとなって、ワイド&ショートのスポーティなフォルムを作り出している。4連複眼ヘッドライトやV字型グリルによる顔つきは精悍で、リアビューではハイウイングがレーシングイメージを増幅している。
エンジン排気量は先代タイプRの1.8Lから2.0Lへとアップした。ストリームやステップワゴンにも搭載されている2.0L DOHC i-VTECのK20A型をベースに、吸排気系や回転系のパーツを新開発し、最高出力は220ps、最大トルクは21kgmを発生。従来型より20psと2kgmアップしながら、約10kgの軽量化も達成している。
前ふりが長くなってしまったので、そろそろコクピットに着こう。おなじみのレカロ製バケットシートに座ると、赤いステッチのMOMO製本革巻きステアリングと、その奥に見えるメタル調の4連メーターがその気にさせてくれる。イグニッションをONにし、スポーツペダルのクラッチを踏み、アルミ製のシフトノブをローに入れて走り出す。
一般道では、その乗り心地はけっこう硬い。締め上げられたダンパーやスプリングは路面の凹凸をしっかりと拾ってしまうので、突き上げ感はかなり強い。それでも、シビックなども含めた歴代のタイプRの中では、もっともダンピングの効いた優れものだ。
2Lになったエンジンは低速トルクがあり、ユッタリと流して走るときは余裕を感じさせる。だが、高回転まで引っ張れば本領を発揮。実に気持ち良く、しかも俊敏に回ってくれる。
さらにハンドリングは基本的な骨格がしっかりしているので、適度なロールを与えたようなコーナリングを行うワインディングでは、一体感のある走りが楽しめる。FFでは苦手とされるタイトコーナーの立ち上がりではヘリカルタイプのLSDが効果的で、しかもフロントサスペンションの接地力が高いので、トラクションがよくかかる。
先代タイプRと比較すると、単に動力性能だけでなく、ギアレシオやボディ剛性など、カタログのスペックには現れにくい部分が進化しているといえる。「FF世界最速の称号はもらった!」と、開発者たちは思っているに違いない。
■ホンダ インテグラ タイプR 主要諸元
●全長×全幅×全高:4385×1725×1385mm
●ホイールベース:2570mm
●車重:1180kg
●エンジン形式:直4・DOHC・横置きFF
●排気量:1998cc
●最高出力:162kw(220ps)/8000rpm
●最大トルク:206Nm(21.0kgm)/7000rpm
●ミッション:6速MT
●タイヤ:215/45ZR17
●当時の価格:259万円
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