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【試乗】VWのフラッグシップ、アルテオンはスタイリッシュでも実用性を忘れない

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【試乗】VWのフラッグシップ、アルテオンはスタイリッシュでも実用性を忘れない

2017年10月に日本デビューした、VW(フォルクスワーゲン)の最上級モデルがArteon(アルテオン)だ。流れるようなデザインのクーペスタイル、そしてセダンの快適性やステーションワゴンの機能性を兼ね備えたモデルとして注目される。今回はアルテオンRライン 4モーション アドバンス(599万円)に試乗した。

ヨーロッパで流行の4ドアクーペスタイルを持つVW最上位モデル
アルテオンは、フォルクスワーゲンのフラッグシップモデルだ。パサートCC(マイナーチェンジ後は「CC」という車名だった)の後継モデルとして登場、日本では2017年10月26日から販売が開始されたモデルだ。

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アルテオンのスリーサイズは4865×1875×1435mm、ホイールベースは2835mm。Dセグメントセダン、パサートのスリーサイズが4785×1830×1465mm、ホールベースが2790mmだから、ボディサイズはアルテオンのほうがひとまわり大きく、車高のみ低くなっている。

日本では長らくミニバンブームが続いたため、世界的なクルマの流行がわかりづらくなっているのだが、ここ10年のヨーロッパ車の流れでいくと、「クーペスタイル」というのがキーワードになってくる。

4ドアセダンからの派生クーペモデルでいえば、2005年、メルセデス・ベンツのCLSクラス登場をきっかけとして、BMW4/6シリーズのグランクーペ、アウディのA5/A7のスポーツバック、ポルシェ・パナメーラなどが生まれた。またSUV派生のクーペモデルも、BMWのX6/X4をはじめとして、アルファロメオ・ステルヴィオなどの最新ミドルSUVだけでなく、トヨタC-HRや三菱エクリプス・クロスなど国産コンパクトSUVにまで広がっている。

アルテオンも、いま流行りの「クーペスタイルの4ドアモデル」だ。流麗でダイナミックなエクステリアは、写真のとおり相当にアバンギャルドな1台に仕上がっている。

パワートレーンは2リッターターボ+7速DSG。4WDのみの設定
アルテオンは、従来は「TSI 4モーション Rライン」「TSI 4モーション Rライン アドバンス」の2グレードだったが、2018年10月に、インテリアカラーを3種類から選ぶことができる「TSI 4モーション エレガンス」が登場、3グレードで展開されている。

搭載エンジンは280ps/350Nmを発生する2リッター直4ターボ「TSI」。これに最新の7速湿式DSG(DCT=デュアルクラッチトランスミッション)を組み合わせる。グレード名にある「4モーション」とは4WD、つまり4輪駆動のことだから、日本で販売されるアルテオンはすべてフルタイム4WDとなる。ちなみにJC08モード燃費は13.3km/Lだ。

今回の試乗車は、アルテオン TSI 4モーション Rライン アドバンス(599万円)。

ボディカラーは全部で6色。チリレッドメタリック(赤)やターメリックイエローメタリック(金色に近い黄色)など、そうとう目立つような色も用意しているが、今回はディープブラックパールエフェクト。このスタイリングでブラックは、かなり「チョイワル」な印象になる。

それにしてもエクステリアは挑戦的だ。デザイン画をそのまま実車にしたような、流麗なボディライン。そんななかでもホイールベースが長くフロント/リアともにオーバーハングが短いので、エレガントさだけではなく締まりのあるスポーティさも兼ね備えている。

そこにマット調のRライン専用20インチアルミホイール。ホイールアーチとタイヤの隙間も少なく、ショーモデルのようなカッコ良さがある。事実、発売から1年経っているモデルなのに、今回の取材でも街行く人々にそうとう注目を浴びた。

インテリアは黒を基調としたもの。本革シートには「R-Line」のロゴが入る。エクステリアのような派手さは室内にはないものの、手に触れるものすべての質感が高く、ドイツ車らしい質実剛健さがある。

このスタイリングだから「リアシートの頭まわりはさぞかし狭いんだろう…」と想像してしまうのだが、これも良い意味で裏切られる。ルーフからリアガラス、リアスポイラーへとつづく緩やかな曲線は、後席の頭上ではきちんと高さを確保しているのだ。

4ドアクーペタイプは、よりスタイリッシュに見せるためにルーフを低くするため、頭まわりのスペースが少なかったり、閉塞感が強かったりと後席の快適性を犠牲にするモデルもじつはあったりするのだが、そこはフォルクスワーゲン、実用性に抜かりはない。

荷室も相当に広い。アルテオンはじつはセダンではなく、テールゲートはリアガラスとともに開く「ファストバック」スタイル。最近ドイツ車に多く採用されるパワーテールゲートを標準で装備するため、キーさえ持っていればボディ下に足を入れて引く動作をすればオープンする。VDA値で563リッター、リアシートを畳めば最大1557リッターの荷室は、これもクラス最大級となる。

エレガントな外観なのに中身はパワフルな「スポーツドライビングカー」
さっそく走ってみよう。

試乗車の「Rライン アドバンス」グレードは、アナログメーターではなく12.3インチのフルデジタルのメーターが標準装備。ここには地図も映し出すことができ、フラッグシップモデルらしい先進性を感じられる。またヘッドアップディスプレイもこのグレードは標準となる。

2リッターターボ「TSI」エンジンは、350Nmの最大トルクを1700rpmから発生するので、大柄のボディをいとも簡単に加速させる。直結感が強い7速DSGで、息継ぎする間も与えずに速度が上がっていく。4WDの4モーションの効果もあり、ぐいぐいとクルマを前に進ませるそのさまは、エレガントなスタイリングとは裏腹にそうとうパワフルだ。ちなみに欧州のカタログをチェックすると、アルテオンの0→100km/h加速は5.6秒と、スポーツカー並の数字が記載されていた。

サスペンションのセッティングは硬め。ワインディング路では、35扁平20インチタイヤと相まって、高めの速度でコーナーに入ってもグッと踏ん張り曲がっていく。その走りはスポーティ、というよりも「スポーツモデル」と呼ぶほうがふさわしい。

硬めの足だから、街乗りではコツコツと路面ギャップを拾っていくが、嫌味はなく、そのつどボディ剛性の高さが伝わってくるのがドイツ車らしい。なんとなく懐かしさを感じる味付けとも言えるが、この味は嫌いじゃない。

ただDCT(デュアルクラッチトランスミッション)である7速DSGの、0発進から低速でのしつけは少々気になるところ。いや、この最新湿式7速DSG、以前に比べて相当洗練されたのは、わかる。ただ、トルクコンバーター式のAT(いわゆる普通のオートマ)と比べてしまうと、やはり極低速域ではドライバーの感覚とちょっとだけズレる瞬間があるのだけが、惜しい。

JC08モード燃費は13.3km/Lだが、高速道路走行が多かった今回の取材では、ドライブコンピュータの計測でリッター14kmを超えていた。実燃費がカタログ燃費を超えることはドイツ車では多々あるが、燃費走行を心がけずともカタログの数値はたたき出すだろう。高止まりしていたガソリン代がようやく下がりつつある昨今だけど、この大柄なボディサイズでこの燃費は、やはり嬉しい。

エレガントなスタイルながら、中身は「スポーツドライビングカー」。しかも4WDで実用性も抜群。VWの質実剛健さとフラッグシップとしての艶めかしさを兼ね備えるアルテオン。日本登場から1年以上が経ったいま、このタイミングであらためて乗ってみると、その真の姿が見えてくる。(文:根岸 誠)

アルテオン TSI 4モーション Rライン アドバンス 主要諸元
●全長×全幅×全高=4865×1875×1435mm
●ホイールベース=2835mm
●エンジン=直4DOHCターボ
●排気量=1984cc
●最高出力=280ps/5600-6500rpm
●最大トルク=350Nm/1700-5600rpm
●トランスミッション=7速DCT
●駆動方式=4WD
●車両価格=599万円

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