エネルギー事業急成長の背景
テスラといえば、電気自動車(EV)の世界的なリーダーとして広く知られている。しかし、テスラの主力事業はEVにとどまらず、近年ではエネルギー貯蔵事業の急成長も注目されている。
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2023年第2四半期の売上高を比較すると、EV事業は前年比6.5%減の190億ドル(約2兆8500億円)であったのに対し、エネルギー貯蔵事業は前年のほぼ2倍となる30億ドル(約4500億円)を記録した。2024年第3四半期の決算では、全社売上高の約10%をエネルギー貯蔵事業が占めるまでに拡大し、EV事業に次ぐ“第2の柱”として位置付けられつつある。
テスラの大型蓄電システム
・メガパック(Megapack)
・パワーパック(Powerpack)
は、世界的に導入が進んでおり、日本でもその導入が進んでいる。
本稿では、テスラのエネルギー貯蔵事業の成長戦略を掘り下げ、日本における導入事例を紹介しつつ、日本企業のエネルギー関連事業の未来について考察する。
グローバル供給網強化
テスラのエネルギー貯蔵事業は、家庭用の「Powerwall(パワーウォール)」と産業用のメガパック、およびパワーパックを中心に展開されている。パワーウォールは主に住宅や小規模施設に提供される一方、メガパックやパワーパックは大規模な電力網や企業向けに提供されている。これらのシステムは、電力需給の安定化、送電網の負荷軽減、緊急時のバックアップ電源といった重要な役割を担っている。
再生可能エネルギーの発電量は天候により大きく変動するが、メガパックは余剰電力を蓄え、必要なときに放出することで電力の安定供給を可能にする。さらに、ピーク時には送電網にかかる負担を軽減することができる。また、自然災害や停電時には蓄電システムが安定した電力供給を提供し、重要なインフラや交通機関にも役立つ。
メガパック1台は、3600戸の家庭が使用する電力の1時間分、つまり3900kWh以上を蓄えることができる。この容量は、テスラ・Model 3後輪駆動バージョンに搭載されるバッテリー62台分に相当する。テスラは、エネルギー貯蔵事業の拡大を目指し、中国・上海にメガパック専用の生産拠点「メガファクトリー」を建設した。この工場は、2024年5月に着工し、2025年2月には本格稼働を開始、年間最大1万台のメガパックを生産する計画だ。
上海に建設されたメガファクトリーは、米国本土以外では初の生産拠点となる。この拠点により、テスラはメガパックの供給能力を大幅に向上させるとともに、部品や物流コストの削減も可能となる。これにより、日本を含むアジア市場への対応も迅速化される。
さらに、テスラはヒューストン近郊に3カ所目となるメガファクトリーを建設する予定だ。工場の敷地面積は約9万平方メートルで、稼働時期や詳細についてはまだ不明だが、これによりさらに強化されるグローバル供給体制に注目が集まる。
日本の電力安定化を担う新戦力
日本でもテスラの大型蓄電システムの導入が進んでいる。2023年5月には、仙台パワーステーション内の系統用蓄電所にメガパックが設置された。さらに、滋賀県米原市の国内最大級の蓄電所「米原湖東蓄電所」でも、2027年からメガパックの運用が始まる予定だ。これらの施設では、電力需給の調整や再生可能エネルギーの効率的な運用に貢献すると期待されている。
鉄道業界でも、テスラのパワーパックの活用が広がっている。各社が持続可能なエネルギー戦略を進めるなか、蓄電システムの導入がさらに加速する可能性がある。
近畿日本鉄道は2019年からパワーパックを導入。大阪府東大阪市にある近鉄奈良線・東花園駅の隣に位置する東花園変電所には、42台のパワーパックと変圧器、遮断機が設置されている。この変電所は、鉄道の架線や駅、信号、踏切への送電を担い、他の変電所にも電力を供給する。
パワーパックの導入により、鉄道事業者のエネルギー管理は大きく変わりつつある。電力需要のピークカットや災害時のバックアップ電源として機能し、安定した運行を支えている。
BYDとテスラの蓄電競争の行方
テスラは創業当初から持続可能なエネルギーの未来を掲げ、EVの技術開発と並行してエネルギー貯蔵技術の発展にも取り組んできた。メガパックのような産業用蓄電システムは、再生可能エネルギーの普及を支え、カーボンニュートラル実現に向けた重要な技術と位置付けられる。
EVとエネルギー事業を両立する企業は、テスラだけではない。中国のBYDは、リチウムイオン電池技術を活かし、エネルギー貯蔵システムを展開している。特に電池製造では垂直統合型の戦略を採用し、高いコスト競争力を誇る。EVと蓄電事業のシナジーを強みに、今後も成長が期待される。
日本企業の動きはどうか。現状、各社のエネルギー事業は家庭用製品が中心で、産業用途ではやや遅れを取っている。トヨタやホンダ、三菱重工は水素関連技術を活用した蓄電システムの開発を進めるが、大規模な市場参入は限定的で、普及には時間を要する。
パナソニックはEV向け電池事業で競争力を持つものの、メガパックのような大型蓄電システムでは存在感が薄い。今後、日本メーカーがこの分野でどのような戦略を打ち出すのか、動向が注目される。
国内生産能力向上と次世代電池
経済産業省は、2030年までに国内の蓄電池導入量を年間150GWhに引き上げる計画を掲げている。蓄電池産業の競争力を高め、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みを加速させる狙いだ。
目標達成に向け、国内の蓄電池製造基盤を拡充し、生産能力の向上を図る。あわせて、全固体電池など次世代電池の実用化を推進し、国内外との連携によるサプライチェーン強化にも取り組む。さらに、蓄電池関連の技術者や研究者の育成も進め、産業全体の発展を支える方針だ。
日本企業は今後、蓄電池分野でどのように競争力を強化していくのか。EV市場とともに進化を続けるエネルギー貯蔵事業の動向が注目される。
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みんなのコメント
EVはついでだ。高性能な電池と電池パックを安く作るにはEVでノウハウとコストダウンを進めれば良いって考え方から出発したのがテスラのEVだ。