現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 飛躍アルファードと失速ヴェルファイア…運命を分けた理由と未来

ここから本文です

飛躍アルファードと失速ヴェルファイア…運命を分けた理由と未来

掲載 101
飛躍アルファードと失速ヴェルファイア…運命を分けた理由と未来

 2021年、最も売れたクルマとなったのは「ヤリス」だった。2番目が「ルーミー」、3番目が「カローラ」、そして、4番目に売れたクルマが「アルファード」だった。アルファードは2021年、2020年の90,748台(5位)を上回る95,049台を売り上げており、まだまだ躍進しつづけている。

 しかし、このアルファード躍進のうらで、兄弟車である「ヴェルファイア」の失速が加速している。2020年は18,004台を売り上げたヴェルファイアだが、2021年は6,742台と、アルファードとは、なんと14倍もの差がついてしまった。

【車名当てクイズ】この名車、珍車、ご存じですか? 第79回

 モデル廃止もささやかれているヴェルファイアだが、ここまで落ち込んでしまうと、それも現実味をおびてくる。はたして、ヴェルファイアに未来はあるのか。失速の理由とともに、考察していく。

文:吉川賢一
写真:TOYOTA

[gallink]

フェイスチェンジが失速のきっかけに

 アルファードの初代モデルが登場したのは2002年5月のこと。2008年5月には2代目へとモデルチェンジをし、このアルファードのモデルチェンジのタイミングで、ネッツトヨタ店向けとして売られていた「アルファードV」の後継モデルとして登場したのが「ヴェルファイア」だ。

 法人顧客の多いトヨペット店の専売ブランドだったアルファードは、フロントマスクは比較的落ち着いた雰囲気を持たせることとなった一方、ヴェルファイアは若者や女性をターゲットとしたネッツ店の顧客に合わせて、艶やかで派手なフロントフェイスとし、存在感の強い路線を邁進。

 その狙い通り、ヴェルファイアは若者の支持を得て販売台数を伸ばし、2017年ごろまでは、常に1万台~2万台ほど、アルファードよりも多く売れていた。だが、2018年5月のマイナーチェンジ以降、ヴェルファイアは大きく失速していく。

 清潔感とチョイ悪の要素が混ざった「清楚な厳つさ」をもったフェイスとなったアルファードに対し、ギラギラ感がさらに増したフェイスとなったヴェルファイアは、「やりすぎ」感があったのだろう。アルファードは、2列目が広く快適であることから、送迎車としても使われることが多いが、若さ溢れるやんちゃなフェイスのヴェルファイアではそうはいかなかった、という理由もあるかもしれない。

2018年のマイナーチェンジでは、3.5リッター車に新開発の直噴エンジンと新開発のダイレクトシフト8ATを搭載、最上級グレードに「エグゼクティブラウンジ」を設定するなど大改良された

ネッツ店の顧客もアルファードを選べるようになったことが追い打ちに

 また、2020年5月以降のトヨタ販売系列の全店併売化もヴェルファイアに追い打ちをかけた。アルファードとヴェルファイアは、ボディサイズや価格帯、装備などは原則一緒であったが、アルファードが、よりイメージのいい高級志向のトヨペット店専売車であったこと、そして何より、前述の理由でアルファードが「人気車」となったことで、ヴェルファイアよりも、アルファードを選ぶ人が多くなってしまったのだ。

 ネッツ店の顧客もアルファードを選べるようになったことは、ヴェルファイアにとってつらいことだった。

2017年までは、ヴェルファイアが登録台数は多かった。だが2018年のビッグマイナーを機に人気が逆転。その後は差が開き、2021年1-12月は、アルファードが95,049台/ヴェルファイアが6,742台と、約14倍もの差がついた

 さらにヴェルファイアは、2021年4月の商品改良で、300万円台で購入できるエントリーグレードを廃止し、2WDガソリン車の「ゴールデンアイズII」(424万円)と、4WDハイブリッド車の「ゴールデンアイズII」(508万円)の2グレードのみに絞られた。中級グレードにオプション装備を追加したお買い得なグレードではあるが、エントリーグレードがなくなったことで、アルファードとの差が鮮明となり、ヴェルファイアは、冒頭でふれたような無残な状況となってしまったと考えられる。

2021年12月時点のヴェルファイアは、ガソリン車の「ゴールデンアイズII」(2.5L、2WD)と、ハイブリッド車の「ゴールデンアイズII」(2.5Lハイブリッド_4WD)のみのラインアップへとなっている

一方で、中古車需要は高騰

 ご存じの通り、半導体や材料不足の影響により、現在新車が入手しづらい状況であることから、中古車相場が全体的に高騰している。中古車事業を展開する関係者によると、なかでも、ヴェルファイアの中古車需要は高く、例えば2022年の中古車オークションでは、4年落ちとなる2018年式ヴェルファイア(16,000km)が、445万円もの高価格で取引されたという。

 「供給が減れば、需要は高まる」法則の通り、台数が多いアルファードをあえて選ばない層が出始めているものと推測される。

 ヴェルファイアの中古車価格が高騰する理由は、海外市場からの需要も関係している。海外で正規販売されていない、日本製のエアロパッケージをまとった個体は、海外市場から見れば貴重であり、いくら出してでも欲しい存在。アルファードに飽きた海外顧客が、珍しいヴェルファイアに飛びつく、そういった構図が起きているのだろう。

次期型では新型ヴォクシーのように「キワモノ」に!?

 次期型では、モデル統合される可能性が高いとされているアルファード/ヴェルファイアだが、先日発表となった新型ヴォクシーのように、「独創性を求める新たな層」に向け、「キワモノ顔」で攻めた新型ヴェルファイアを用意する可能性も考えられる。

 このようなチャレンジができるのは、底力があるトヨタだからだ。できれば、このアルファード/ヴェルファイアに対抗する新型のライバル車が登場してほしいが、このトヨタの勢いについてこれる自動車メーカーは、いまの日本にはない。今後も、アルファード・ヴェルファイアの独壇場は続くだろう。

[gallink]

こんな記事も読まれています

B-Max Racing Teamが厚木基地の日米親善春祭りにレースカーを展示。乗車体験やサイン会で盛り上がる
B-Max Racing Teamが厚木基地の日米親善春祭りにレースカーを展示。乗車体験やサイン会で盛り上がる
AUTOSPORT web
ホンダ「ヴェゼル」マイナーチェンジ!アウトドアスタイルの新パッケージ「HuNT」登場!
ホンダ「ヴェゼル」マイナーチェンジ!アウトドアスタイルの新パッケージ「HuNT」登場!
グーネット
メルセデスベンツ『Gクラス』にEV誕生、4モーターで587馬力…北京モーターショー2024
メルセデスベンツ『Gクラス』にEV誕生、4モーターで587馬力…北京モーターショー2024
レスポンス
マルチクラッシュ決着を突破したタイラー・レディックが今季初勝利。MJも現地で祝福/NASCAR第10戦
マルチクラッシュ決着を突破したタイラー・レディックが今季初勝利。MJも現地で祝福/NASCAR第10戦
AUTOSPORT web
藤原慎也、2026年にダカールラリー挑戦へ「自分史上最大のプロジェクト。果てしない過酷な道を走破したい」
藤原慎也、2026年にダカールラリー挑戦へ「自分史上最大のプロジェクト。果てしない過酷な道を走破したい」
AUTOSPORT web
“6速MT”もある新型「トルネオ」!? SUV風デザインが超カッコイイ! 日本でも”最高にちょうどいい“「コンパクトミニバン」とは
“6速MT”もある新型「トルネオ」!? SUV風デザインが超カッコイイ! 日本でも”最高にちょうどいい“「コンパクトミニバン」とは
くるまのニュース
ホンダアクセス、新型ヴェゼル用・純正アクセサリーを発売開始
ホンダアクセス、新型ヴェゼル用・純正アクセサリーを発売開始
月刊自家用車WEB
これからの物流の要となる小型EVトラック普及の鍵! EV充電スポットが「小型EVトラック」にも開放された
これからの物流の要となる小型EVトラック普及の鍵! EV充電スポットが「小型EVトラック」にも開放された
WEB CARTOP
横浜ゴム「GEOLANDAR X-CV」「GEOLANDAR A/T G31」がトヨタ 新型「ランドクルーザー250」に新車装着
横浜ゴム「GEOLANDAR X-CV」「GEOLANDAR A/T G31」がトヨタ 新型「ランドクルーザー250」に新車装着
くるまのニュース
スフィアライトから「純正LEDフォグパワーアップバルブ」が発売
スフィアライトから「純正LEDフォグパワーアップバルブ」が発売
レスポンス
明るい話題だけではやっていけない。メルセデスF1代表、終わらない苦戦から「チームが一歩踏み出す必要がある」
明るい話題だけではやっていけない。メルセデスF1代表、終わらない苦戦から「チームが一歩踏み出す必要がある」
motorsport.com 日本版
WRC育成2期生、初のターマック戦『クロアチア・ラリー』を完走。グラベルクルーとの連携も経験
WRC育成2期生、初のターマック戦『クロアチア・ラリー』を完走。グラベルクルーとの連携も経験
AUTOSPORT web
どこがどう違う?ボルボの最新コンパクトEV「EX30」とレクサス「LBX」を徹底比較
どこがどう違う?ボルボの最新コンパクトEV「EX30」とレクサス「LBX」を徹底比較
@DIME
日本で大人気の「軽自動車」なんで海外で売らないの? コンパクトで「燃費・性能」もバツグン! “高評価”でもメーカーが「輸出しない」理由とは
日本で大人気の「軽自動車」なんで海外で売らないの? コンパクトで「燃費・性能」もバツグン! “高評価”でもメーカーが「輸出しない」理由とは
くるまのニュース
レクサス、新型SUV「GX550」を今秋に発売! さらに100台限定で“オーバートレイル+”も先行抽選販売へ。
レクサス、新型SUV「GX550」を今秋に発売! さらに100台限定で“オーバートレイル+”も先行抽選販売へ。
くるくら
レクサスが新型「GX550」の限定モデル“OVERTRAIL+”を抽選で発売
レクサスが新型「GX550」の限定モデル“OVERTRAIL+”を抽選で発売
@DIME
F2王者プルシェール、F1参戦叶わなければインディカーフル参戦も視野に? オーバル挑戦にも前向き「チャンスがあれば当然やりたいよ」
F2王者プルシェール、F1参戦叶わなければインディカーフル参戦も視野に? オーバル挑戦にも前向き「チャンスがあれば当然やりたいよ」
motorsport.com 日本版
ノンジャンル220台のマニアック車が集合…第15回自美研ミーティング
ノンジャンル220台のマニアック車が集合…第15回自美研ミーティング
レスポンス

みんなのコメント

101件
  • どちらも下品なグリル
  • 30ヴェルファイア 後期乗りです。
    やたらネットでは叩かれてるけど、快適で良い車ですよ。
    もちろん残クレでは無いです。
    他人の乗る車にケチつける小さな人間にはなりたく無いし、ならない。
    自分を見つめ直した方がいいですよ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

540.0872.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

12.52299.0万円

中古車を検索
アルファードの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

540.0872.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

12.52299.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村