長年F1を取材しているベテランジャーナリスト、ルイス・バスコンセロス氏が、各グランプリウイークエンドのドライバーたちの戦いを詳細にチェックし、独自の評価によりベスト5のドライバーを選出する。今回は第11戦オーストリアGPの戦いを振り返った。
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困難に負けないフェルスタッペン/生粋のファイター、アロンソ【独自選出:F1第10戦ベスト5ドライバー】
■失意のカナダから見事に立ち直ったノリス
ランド・ノリス(マクラーレン):予選1番手/決勝1位
素晴らしい大逆転劇だった。ランド・ノリスはモントリオールでは高くつくミスを犯し、大量のポイントを失い、オスカー・ピアストリとのタイトル争いで不利な状況に陥った。しかしノリスはレッドブルリンクで見事に立て直してきた。
フリープラクティス1回目はルーキーのアレクサンダー・ダンにマシンを託し、ノリスは走ることができなかったが、彼は残りのフリープラクティスすべてで最速タイムを記録し、予選の最初から最後までを完全に支配した。彼のアタックラップは圧巻で、全員を0.5秒以上引き離した。全長が短い64秒のコースで、である。
日曜の決勝でも、ノリスはスタートからフィニッシュまでレースをリードし続け、ハードタイヤを履いた状態では明らかに最速だったし、ミディアムでの第1スティントと第3スティントでも、ピアストリとのギャップを的確に管理した。
11周目には、ターン3の手前であえてリードを譲ることでターン4までDRSを活用し、ピアストリを出し抜いた。この動きこそが、レースを決定づける瞬間となった。
■再びフェラーリに表彰台をもたらしたルクレール
シャルル・ルクレール(フェラーリ):予選2番手/決勝3位
シャルル・ルクレールはフェラーリに再び表彰台をもたらした。直近4戦で3度目の表彰台で、ルイス・ハミルトンを上回り続けている。
ルクレールは、予選ではマクラーレン2台の間に割って入ることに成功したが、スタートでは、ノリスにラインを閉じられ、ピアストリに対して防御することができず、ポジションを落とした。
フェラーリにはマクラーレンについていけるほどのペースはなかったため、ルクレールは非常に孤独な70周を走ることになった。しかし最後のスティントでのペースは、SF-25が進歩していることを示すものだった。ルクレールは、それなりのマシンさえ与えられれば上位で戦う力があるドライバーであることを、改めて証明した。
■不利な状況で最大限の結果を出したピアストリ
オスカー・ピアストリ(マクラーレン):予選3番手/決勝2位
今回、優勝はできなかったが、完全な敗北ではない。オスカー・ピアストリは、常にノリスが得意としてきたこのサーキットで、彼のすぐ後ろでフィニッシュし、厳しい状況のなかで最大限の結果を出した。
予選ではフロントロウをつかむものとみられたが、Q3最後のアタックラップの際に黄旗が出たことで、挑戦ができなかった。それでも決勝スタート直後にルクレールをオーバーテイクして、うまく2番手に上がることに成功した。
その後、ノリスに対して激しいプレッシャーをかけるなかで、一瞬、トップに立ったが、11周目にチームメイトの巧みな判断にしてやられ、2番手にとどまった。
20周目のターン4では接触寸前の場面があり、マクラーレンは即座にノリスをピットインさせた。ピアストリはそこからさらに4周ステイアウトするという判断を下し、セカンドスティントの終盤により新しいタイヤで戦うことが有利に働くことを期待した。
その作戦はうまくいかなかったが、それでもピアストリは最終スティントでは驚異的な走りを見せた。数台の周回遅れに引っかからなければ、ラスト2周でノリスに仕掛けるチャンスがあったかもしれない。
■ついに真価を発揮した新人ボルトレート
ガブリエル・ボルトレート(キック・ザウバー):予選8番手/決勝8位
ルーキーのガブリエル・ボルトレートがついにF1で初ポイントを獲得した。彼は今回、週末を通して、トップ10圏内で戦った。
レース中は、ミッドフィールドの他のドライバーたちに近い位置というよりも、メルセデスのジョージ・ラッセルの近くを走行していた。しかし、終盤、1ストップに賭けて順位を上げたリアム・ローソンとフェルナンド・アロンソをとらえて追い越すほどのペースは持っていなかった。
最後から3周目にマクラーレンに周回遅れにされたことが、ボルトレートの戦いに不利に働いたが、彼は冷静さを保ち、ひとつのミスも犯さず、ザウバーが彼と長期契約を結んだのは非常に良い判断だったということを証明した。
ノーポイントであることの重荷から解放されたボルトレートは、今後さらに成長を遂げ、オーストリアで見せた走りが偶然ではなかったことを証明するだろう。
■苦難のシーズンを耐え抜き、実力を証明したローソン
リアム・ローソン(レーシングブルズ):予選6番手/決勝6位
リアム・ローソンにとって、F1キャリアのなかで最高の週末だったのではないだろうか。彼は、1976年のスペインGPでクリス・エイモンが達成して以来、グランプリでトップ6入りを果たした初のニュージーランド人ドライバーとなった。
非常に厳しいシーズンを耐え抜いてきた。わずか2戦でレッドブルから見限られ、注目のルーキー、アイザック・ハジャーにも遅れを取っていたローソンだが、最も重要な舞台、すなわちサーキット上で最高の形で結果を示した。
ローソンは今回、ハジャーよりも予選で上位に立ち、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)より前のグリッドを確保し、良いレース展開への土台を築いた。スタート直後、フェルスタッペンとアンドレア・キミ・アントネッリのクラッシュを避けるためにふたつポジションを落としたが、その後、挽回し、残りの周回を通して、DRS圏内を走り続けるアロンソからの攻撃に対し、防御し続けた。
ローソンは一切ミスを犯さず、貴重な8ポイントを稼ぎ、自身の能力を示した。イギリスGPでは、レッドブルが期待をかける育成アービッド・リンドブラッドがFP1デビューを果たす。その直前に結果を出してみせたことは、ローソンにとって大きな意味を持つ。
[オートスポーツweb 2025年07月03日]
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みんなのコメント
シューマッハみたいな『どんなマシン、どんなサーキットでもいきなり速い』という才能はないみたいだけど、90戦以上F1で走り、サーキットもよく知ってるのに最下位争いするドライバーよりは才能があるんじゃないかな。