元オーナーも驚いた別物の乗り味と“手放し運転”機能
9年ぶりのフルモデルチェンジで第3世代へ進化したマツダ「CX-5」。筆者(工藤貴宏)はかつて、ディーゼルエンジン搭載の先代「CX-5」を5年間ほど愛車にしていた経験があることから、今回はそんな元オーナー目線で生まれ変わった新型をチェックしてみたいと思います。
【画像】超カッコいい! ついに日本でも正式発表されたマツダ新型「CX-5」を写真で見る(30枚以上)
まず「いいね!」と感じたのは、拡大された後席まわりとラゲッジスペース。先代はミッドサイズSUVとしては全長が短く、その“しわ寄せ”が後席まわりとラゲッジスペースに来ていたように思います。後席は窮屈に感じるほどではなかったものの、「もうちょっと広ければいいのに」と感じていました。ラゲッジスペースも同様です。
そんな経験から、先代に対して後席乗員のひざ回りのゆとりが64mmアップし、ラゲッジスペースの奥行きも45mm拡大した新型のパッケージングはとても魅力的に感じます。その分、全長は115mm伸びていますが、4690mmと“4.7m”を切るその数値は、イマドキのこのクラスとしては納得できるものといえるでしょう。
一方、15mmワイドになった1860mmという全幅は、評価が分かれるところかもしれません。広がったのは片側7.5mmと指1本程度なので、筆者的にはなんとも感じませんが、例えば、自宅の駐車場が機械式の立体タイプで、全幅制限が1850mmというケースでは、わずか“指2本”分のオーバーで購入をあきらめなければならない場合も出てくるでしょう。その賛否は、ユーザーの使用環境次第となりそうです。
マツダ車といえば何かと話題にのぼる乗り心地は、合格点を与えられる出来栄えです。
実は先代「CX-5」の乗り心地は、キビキビとしたハンドリングと引き換えに、ややゴツゴツ感を多めに感じるものでした。「乗り心地が悪い」というほどではありませんでしたが、「なめらかか?」といわれれば、そんなことはありませんでした。
けれど新型の乗り心地は、まるで他ブランドのモデルに乗っているかのようにコンフォートな仕上がりです。操縦安定性を担当する開発スタッフの方に「乗り心地に気を使ったんですか?」とたずねてみたら「それは、もちろん!」との返答が。走りの味つけの方向性に大きな変化があったことがうかがえます。
それはまるで「ドイツ車からフランス車に変わったかのよう」というと、イメージしやすいかもしれません。それくらい全体的にやわらかな印象になっているのです。旋回時のロールの出方や乗り心地はもちろん、ステアリングの操舵力を始めとする操作系も軽くなっています。
とはいえ、コーナリング中の走行安定性などは、やはりマツダ車。決して期待を裏切ることはありません。姿勢がビシッと安定していて不安なく運転できますし、スポーティなクルマが好きな人でも好印象を抱くことでしょう。
「硬ければスポーティというわけではない」といった運転感覚や動的性能は、これまでのマツダ車とは違う、次のフェーズに入ったように思います。
従来型の元オーナーであり、現在は「CX-60」を所有している筆者が「スゴいな!」と感じたのはADAS(先進運転支援システム)。なんと新型には、トヨタ「RAV4」やスバル「フォレスター」などに搭載されている、高速道路での渋滞時にハンズオフ(手放し運転)できる機能が実装されているのです。対応速度の上限は40km/hとはいえ、移動時に首都高速などで渋滞に遭遇することの多い筆者としてはうらやましい限りです。
これは、ADASのつくり込みをデンソーと共同でおこなうようになったことで実現した機能ですが、マツダ車にハンズオフ機能が搭載される日がこんなに早く来るなんて、正直、思っていませんでした。筆者的には、この機能だけで新型を選んでもいいな、と思います。
「先代の方がよかった」と感じたふたつのポイント
ここまで新型「CX-5」の美点をご紹介してきましたが、正直に告白すると、実は「先代の方がよかったかも!?」という部分があったのも事実です。
その一例が、パワーユニット。筆者が所有していたのが2.2リッターのクリーンディーゼル車だったこともありますが、新型の2.5リッター自然吸気エンジン+マイルドハイブリッドは、やはり力強さという面では物足りなさを感じます。
街中や高速道路といった日常的なシーンでは不満を覚えることのない新型のパワーユニットですが、発進加速や中間加速、そして燃費については、先代のディーゼルの方が格上でした。
なので、先代のディーゼル車からの乗り換えを検討するのであれば、2027年中に登場予定とアナウンスされている、新世代エンジン“スカイアクティブZ”を核とするストロングハイブリッド車を待つのもアリだと思います。
そしてもうひとつ、「先代の方がよかったな」と感じたのがインテリアの質感。新型のインテリアはモダンなデザインであり、大きなセンターディスプレイによる先進的な雰囲気は魅力的だと思いますが、質感アップのためのつくり込みに関しては、先代の方がハイレベルだったように思います。例えば、先代ではソフトパッドがあしらわれていたメーターフードやドアトリムアッパーなどが、新型ではハードなタッチの樹脂になっているのです。
こうした仕立ての部分については、非常に難しい判断が必要だったのだろうと思います。開発をまとめる立場の人間としては「お金を掛ければできる。けれどその分、車両価格が高くなる」というジレンマを感じていたことでしょう。それらを加味しての結果なのでしょうが、新型のインテリアからは、先代ほどの上級さを感じることはできませんでした。
その代わりに、新型「CX-5」は買い得感という大きな武器を手に入れています。
昨今はクルマの価格上昇が著しいのは皆さんもご存じのとおり。パワートレインの違いはあれど、ライバルとなる「RAV4」は450万円(消費税込/以下同)スタート。「フォレスター」も385万円からとなっています。
そんななか、先代より価格帯は上昇したものの、330万円からという価格を実現した新型「CX-5」には大きなアドバンテージがあると思うのです。ヨーロッパでは、すでに計画を上まわる受注を得ているという新型「CX-5」。ここ日本では、買い得感という武器がどのように評価されるのか、注目したいところです。(工藤貴宏)
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みんなのコメント
“CX-5とそれ以外”
というラインナップになってしまった(涙)
広くなったのはいいけど
デカくなるのはマイナス要因。