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まさかの“急ブレーキ”。自信とともに臨んだオートポリスで試練に直面したダンディライアン、連勝止まる

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まさかの“急ブレーキ”。自信とともに臨んだオートポリスで試練に直面したダンディライアン、連勝止まる

「予選は全然まともに走れませんでした」

 1年前、ここオートポリスで初優勝を飾った牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)は、ワンデー開催となった第5戦オートポリスの1日をそう振り返った。タイヤのスペックも変更された今季、牧野の5号車はセットアップのコンセプトを少し変更。開幕ラウンドの鈴鹿、続くもてぎではそれがピタリとハマり、いずれのサーキットでも勝利を飾っていた。

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 その流れのまま、今回のオートポリス戦に入る際にも「結構、自信を持っていた」と牧野は言う。

 しかし、フタを開けてみると40分間の計時予選では13番手と中団に沈む。「ちょっとびっくりして。本当に予選は全然まともに走れませんでした」。他の多くのドライバーと同様に、アクシデントによる黄旗のため最後のアタックは完遂できないままでのリザルトとなったが、セクター自己ベストは更新していたとはいえ、トップを争えるポテンシャルは感じられなかったという。

 決勝ではスタートでポジションを上げ、さらに3周目という早いタイミングでの義務ピット消化を選択。アグレッシブな戦略のなか、ロングスティントとなった後半では何台かにパスされる形となり、最終順位は6位。それでも牧野は、「先に(ピットに)入った組の中では一番前で終われましたし、13番手スタートということを考えれば、ダメージリミテーションはできた」と少しの満足感もにじませる。牧野はこれで、チームメイトの太田格之進を上回ってランキングリーダーに躍り出た。

 懸念は、今回の事象がオートポリスというサーキット特有のものなのか、今後のシーズンにも影響を及ぼすものなのか、というところだろう。

「大まかに言うと、去年の流れで『もっと良くなれば』という思いでやっていること(セットアップ)が、ちょっと行きすぎてるのかな。オートポリスに対しては、行きすぎてしまったのかもしれません。前後のバランスがうまくとれていませんでした」

 その理由として牧野は、オートポリスの立地条件を挙げる。「鈴鹿、もてぎはその状態でやれていたのですが、ここは標高も高くてそもそもエアロが取りにくいというのも、多少は影響しているのかもしれません。まだまだ課題はいっぱい出てくるな、と改めて思いました」。その言葉から想像する限りでは、次戦以降ではまた調子を取り戻す可能性もありそうだ。

 また、鈴鹿、もてぎではリヤタイヤのデグラデーションが「かなりきつかった」という牧野は、オートポリスでは一転、フロントタイヤに苦しみ、「いままでのなかでは、一番キツいレースペースでした」と語っている。

 今回の課題に対する検証作業は、6月上旬に行われる富士での公式テストに引き継がれることになる。牧野は「富士ではトムスが強いと思うので、そこにしっかりと追いつけるように、テストでやっていきたい」と、富士テストの存在をポジティブに捉え、“追われる者”として戦う後半戦を展望していた。


■スタートでアンチストール・システムが介入した太田

 一方、予選では牧野を上回る8番手を獲得したチームメイトの太田は、スタートでアクシデントに見舞われていた。

「1速から2速に上げるときか、2速から3速に上げるときに、アンチストールが入ってしまって。前回のもてぎでも出た症状なので、これは次戦に向けてはしっかりと直さないといけません」

 これにより17番手にまでポジションを落としてしまった太田は、ダーティエアと抜きづらいコースレイアウトの影響も受け、上位進出は難しい状況となった。

「僕も牧野選手もそうだったと思いますけど、クルマのバランスというか、とくに集団のなかで走るバランスとしては、戦闘力はそんなになかったのかなと思います」

 加えて、太田の6号車にはブレーキに問題が発生、「いま調べてもらっているので詳しくは分かりませんが、ブレーキ制動の悪さというか、すぐにロックアップしてしまうようなシチュエーションだった」という。スタート、ブレーキと、マシンの側で今後に向けた改善点を多く残す週末となったようだ。

 ノーポイントに終わった太田だが、それでもランキングは牧野に続く2位。そして牧野と同じく、富士テストでの作業に期待を寄せている。

「坪井選手、野尻選手と、強力なドライバーたちが上がってきて、(ランキング上の点差が)ギュッと縮まったと思うのですが、テストもできますし、まだシーズンは半分も終わっていないので、もう一回集中して頑張りたいと思います」

 思うような走りができず、開幕から続いた4連勝がストップしたDOCOMO TEAM DANDELION RACING。チームタイトル防衛と、ドライバータイトルの獲得に向け、今回のオートリス戦をひとつのステップとしたいところだろう。まずは6月6~7日に行われる富士テストでの動向に注目したい。

[オートスポーツweb 2025年05月18日]

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みんなのコメント

1件
  • そにー製パスタ
    勝負の世界なんだしいつかは負けるもの。
    ダンディライアンの力は本物だと思うのでまた勝てばいい。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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