6車線化・120km/h化された新東名を走って
2020年9月16日の東北自動車道・盛岡南IC-花巻南IC間(約27km)に続き、新東名高速道路の御殿場JCT-浜松いなさJCT間(約145km)で最高速度規制が120km/hに引き上げられ、12月22日に正式運用が始まった。1963(昭和38)年に日本初の高速道路、名神高速の栗東IC-尼崎IC間が開通して以来、じつに57年。道路とクルマの進化に対して法律と運用が遅れていた日本の高速道路も、ようやく新しい“高速化”の時代を迎えた。
読者の中には、すでに走った人もいるはず。筆者も新東名で運用開始翌日の12月23日に120km/h区間を走行する機会があったので、その印象を簡単に述べたい。
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2019年3月から始まった120km/hの試行区間は、新静岡IC-森掛川IC間。それが御殿場JCTで東名から新東名に入ると、いきなり「80・120」の電光標識が目に飛び込んでくる。120km/hに引き上げられたのは、法定速度が100km/hの車両。大型トラックやトレーラーなどは、従来どおり80km/hだ。
その後も現れる電光標識は、ず~っと「80・120」。しみじみと120km/h時代の到来を実感した。
それにしても、何と走りやすいことか!
新東名の最高速引き上げは、上記区間の6車線化(片側3車線)に伴って実現したもの。大型トラックは一番左の走行車線を80km/hくらいで淡々と走り、4車線(片側2車線)のときのように追い越し車線に出てくることはない。しかも、新東名は事実上、設計速度140km/hの構造。カーブや勾配が少なく、クルージングの安心感や快適性は国内の自動車専用道で一番なのである。
周囲を走るドライバーの走行マナーも、期待していた以上に良好だった。大型トラックを除く車両はおおむね、中央の走行車線を基本的に走行。追い越しが必要な場合には右側の車線に出て、追い越しが完了すると左側の走行車線に戻る。むやみに追い越し車線を走り続ける車両(本来は通行帯違反)はほとんど見受けられず、追い越し車線が追い越し車線としてちゃんと機能しているのだ。
筆者はNAの軽自動車で100km/h目安の高速燃費を計測しており、同様に中央の走行車線をクルージング(詳しくはdriver誌2021年3月号で!)。ミラー越しに迫ってきた後方車がその横を颯爽と追い越し、走行車線にウインカーを出しながら遠ざかっていく。日中、片側3車線の自動車専用道の走行車線で、100km/hをこれだけ長い時間キープできたことが、今まであっただろうか。
●N-ONEの標識認識機能は120km/hに対応していた
最高速度の引き上げで実勢速度が合法になったことで、これまで漫然と走っていたドライバーも車速を意識するようになり、それが走行マナーの向上や滞りの少ないスムーズな通行につながる。速度規制がほとんどすべてのドライバーに遵守できるものになったことが、そうした好転を生んでいるのだ。
無灯火、そして遅い速度で走るクルマが気になる
ただ、気になる点が2つあった。
一つは、トンネルで相変わらず目につく無灯火の車両。新東名の安心感は国内で一番と先ほど書いたが、懸念するとすればトンネルの多さと長さだ。新東名のトンネルは照明が確かに明るいが、ヘッドライトを点灯している車両の中に紛れると無灯火は被視認性が極端に悪くなる。しかも120km/h化で、追い越し車線の流れは速くなっている可能性がある。無灯火による“目立ちにくさ”が車両対車両の衝突事故を引き起こす危険は、十分にある。
もう一つは、左車線の大型トラックと同じか遅い速度で走る車両が、時々中央車線にもいること。これは通行帯違反ではないが、走行マナーの点では中央車線の流れに明らかな速度差をつくらないよう、走行速度が遅い車両ほど左車線を走るのが望ましい。
筆者が走ったのは平日。いわゆるサンデードライバーがステアリングを握り、交通量も増える週末や連休には、また状況が多少なりとも違うかもしれない。これについては、またの機会にウオッチしたいと思う。
最高速度規制の120km/hへの引き上げは、ほかにも検討されている。一部報道では東北道・浦和IC-佐野スマートIC間、常磐道・柏IC-水戸IC間、東関東道・千葉北IC-成田JCT間などが候補に(いずれも6車線)。東日本以外にも、6車線化を進める新名神などの名前が挙がっている。
6車線化と最高速度引き上げで本来のポテンシャルを発揮しはじめた新東名は、とにかく世界の6車線道路でも最高レベルの出来映えに違いない。その走りやすさ、快適さをぜひとも体感してほしい。
〈文=戸田治宏 写真=澤田和久〉
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120キロ以上で走っている軽を良く見かけるが、あれは危険だ。