北海道で体験したGRヤリスの試乗。一般道で感じた乗り心地の良さと、糠平湖の氷上コースで見せたまったく異なる表情。安心を最優先にクルマを選んできた筆者を、GRヤリスがどのようにその価値観を揺さぶったのか。自動車ジャーナリスト(修行中)の黒木美珠がレポートします。
文:黒木美珠/画像:トヨタ
【画像ギャラリー】北の大地を雪煙あげて爆走! 安心して踏んでイケるGRヤリス楽しすぎないか!? (34枚)
慎重派の「かもしれない運転」
自分の運転特性について、考えたことはありますか。私はどちらかというと慎重派で、歩行者が出てくるかもしれない、路面が滑るかもしれない、そんな「かもしれない運転」を常に意識して運転しているつもりです。
だからこそクルマに求めるのは、速さよりも安心感。仕事柄、長距離移動が多いこともあり、どんな道でも不安なく走れることを最優先に選んできました。ただここ数年、ラリー取材やコ・ドライバー参戦を経て心境に変化が生まれます。「安心が欲しい」けれど、「走りも楽しみたい」と思い始めたのです。
一般道で消えた先入観
そんなタイミングで体験したのが、25式進化型GRヤリス RZ “High performance”です。1.6L直列3気筒インタークーラーターボを搭載し、GR-DATと呼ばれる新開発の8速ATを組み合わせたモデル。モータースポーツで鍛えられたこのトランスミッションは、ATということでドライバーに操作の余裕を与えながら、より速く、より正確に走れる環境をつくり出してくれます。
この車両で、北海道・音更から糠別湖までの往復約120kmの一般道を走りました。
GRヤリスと聞くと、どうしてもモータースポーツ寄りの印象があります。しかし、走り出して数分でその印象は消えます。
「こんな乗り心地良かったんだ」
GR-DATは操作感がありつつもスムーズで、クルマをしっかり操っている感覚があるのに、長距離でもまったく疲れません。足回りは引き締まった印象がありますが、乗り心地もよく、室内も静か。気を張る感じはなく、安心して身を預けられます。
半世紀近く続く、糠平湖氷上タイムトライアル
1日目には、糠平湖氷上タイムトライアルを観戦しました。本大会はJAF公認の準国内競技で、上士幌町にある凍結した糠平湖の湖上を舞台に行われる、氷上モータースポーツイベント。第1回は1979年で、実に半世紀近く続く歴史ある大会です。
雪で築かれた壁によってコースが作られており、その中を、マシンが猛スピードで駆け抜けていく。エンジン音が反響し、スパイクタイヤが氷を引っかく独特の音が湖上に響き渡る光景は、ここでしか味わえない迫力がありました。
非常に見応えがあり、また機会があればこの大会自体を取材したいと感じるイベントでした。
氷上を走って見えたGR-Fourの懐の深さ
そして迎えた2日目。前日に観戦していた糠平湖のコースを、実際にGRヤリスで走らせていただきました。
車両は25年式GRヤリス RZ “High performance”、GR-DAT。ピレリのスパイクタイヤを装着し、6点式シートベルトやロールゲージを備えたレギュレーション対応仕様です。
筆者のスパイクタイヤの経験はカートのみ。一般車両で氷上を走るのは初めてでした。
しかし走り出してすぐに驚きます。直線は想像以上に安定し、スタッドレスよりも安心感があるほど。一方コーナーは減速が重要で、丁寧に走るか滑らせるかで挙動が大きく変わることを体感しました。
前日の一般道では扱いやすいクルマという印象だったGRヤリスが、氷上では一気にモータースポーツの顔を見せます。それでも挙動は穏やかで読みやすく、無理をしなければ破綻しない安心感がありました。
周回を重ねるうちに余裕が生まれ、直線では95km/h付近まで到達しました。それでも挙動にはまだ余裕があり、「まだいける」と感じさせられます。ドライバーの技量次第で、さらにポテンシャルを引き出せる余白を残しているように思えました。
ここで強く感じたのは、GR-Fourの本質です。低ミュー路でもクルマを落ち着かせ、ドライバーに余裕を与えてくれる存在。
日常を安心して任せられて、そのままサーキットや氷上にも踏み込める。そんな欲張りな願いを叶えてくれる懐の深さを、2日間で実感しました。
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みんなのコメント
自分が選んだ車以外は論外みたいな偏見をコメントする必要あるのか?
でも日常使いならGRカローラだと思うわ。