穏やかな小春の日差しに恵まれ、心配していた寒さも程よく和らいだ11月28日(土)、富士スピードウェイではスーパーGTのシリーズ第8戦、たかのこのホテル FUJI GT 300km RACEが開幕した。
前日の曇り空からは一転して青空が広がり、雪をかぶった霊峰も素肌を見せるレース日和となった。一日を通してドライコンディションに恵まれ、午前中に公式練習が行なわれ、インターバルにサポートレースの決勝を挟んで、午後には公式予選が行なわれた。
■SGT第8戦 富士 GT500予選|37号車KeePerスープラが今季2度目のPP、トヨタ勢がトップ4独占
今季のGT500クラスはトップ6が最終戦を前にして4ポイント差にひしめき、いずれも自力チャンピオンの権利を残すという、史上稀にみるシビアな争いが展開されているが、予選では開幕戦でポールトゥウィンを飾ってGRスープラのデビューに花を添えた#37 KeePer TOM'S GR Supraの平川亮/山下健太組がポールポジションを獲得した。
公式予選後に行われたポールポジション会見に臨んだ平川亮は「今回は、走り出しとなった朝の公式練習から、クルマの調子はとても良かったですね」と先ずはクルマのコンディションを褒めるところから語り始めた。
そして「これは予選が終わったから話せることなんですが自分たちは、同じブリヂストンタイヤを履く他のGRスープラ勢とはタイヤが違っているんです」と続け。そのタイヤに関して問われると「タイヤ的には少し硬くて、予選では上手く温めるのはちょっと大変でしたが、温めたらちゃんとグリップしてくれました」と答え、ウォームアップに苦労したと白状した。
前回のもてぎ大会からコンビを組んでいる山下健太(ニック・キャシディ代役)に関しては「Q2でアタックしたヤマケン(山下健太選手)の走りが凄かった」と褒めたが、Q2直後のTVインタビューでは「ずるいですよね、もてぎでQ1落ちして、それがトラウマになっているからってQ1を断ってQ2を走り、こうしてポールを獲るんだから」と笑顔交じりにアタック順の変更理由を明かしていた。
そして「ヤマケンの走りも凄かったけど、ニックからのメッセージからも力を貰いました。一緒にチャンピオンを目指していたので、自分がチャンピオンを獲ることができれば、彼もチャンピオンを獲ったことになるんじゃないか。そう思って頑張ってきました」と第6戦の鈴鹿までチャンピオンを目指して一緒に戦ってきた相方を持ち上げることも忘れていなかった。
改めて、公式予選の自己評価を尋ねられると「今日に関しては完璧な1日になりました」とキッパリ。そして「ただし大事なのは明日。何が起きるかわかりませんが、自分たちは油断することなく最後の1周まできっちり走り切る。そして、できれば開幕戦と同じようにポールトゥウィンを飾りたいですね」とし「あと、セーフティカーには出てきて欲しくないですね」と笑いながら結んだ。
一方、平川から「走りが凄かった」と高評価された山下健太は「ポールを獲れて嬉しいというよりも、ホッとしたという気持ちが正直なところです」と正直な気持ちを吐露。
実は前回のもてぎ大会では、Q1のアタックを担当しており、その際はQ2に進出できずにQ1敗退を喫していたのだった。
そのもてぎを振り返って山下は「もてぎでは公式練習では調子はよかったのですがQ1落ちとなってしまって…。トムスのクルマに乗って、しかも平川さんがチャンピオン争いしている状況でのQ1落ちで、自分の中ではもう最悪。普段はあまりへこむことはないのですが、今回はずいぶんと落ち込んでしまいました」と淡々と語った。
そして気持ちを切り替えることはできたか、との問いかけには「気持ちを切り替えるにしても、自分で結果を出して切り替えるしかないです。だから今日のポールで少しですが切り替えることができると思います」と前向きに返答。
再び、この日のクルマについて問われると「クルマもタイヤも仕上がりはとてもいい状態。速い上に乗り易かったです。自分のアタックもうまく決めることができました」と少し顔を上気させながらコメントした。
そして「といっても平川さんや小枝さん(小枝正樹チーフエンジニア)が1年かけて仕上げてきたクルマに、自分はただ乗せてもらってるだけです」と結んでいた。
翌日の決勝に向けては「決勝では優勝することしか考えていません。ポールポジションからのスタートなので、そのまま逃げ切って勝てれば、そう思っています」と力強く締めくくった。
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