2024年10月30日、静岡県湖西市で、第61回豊田佐吉翁顕彰祭が開催された。1964年から佐吉の命日に欠かさず行われてきた顕彰祭は、佐吉の夢の継承者を育てる活動でもあった。佐吉翁の夢、そしてMORIZOさんが語る「次の道」とは?
※本稿は2024年11月のものです
文:ベストカー編集部/写真:トヨタ、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2024年12月26日号
【画像ギャラリー】ひとりの発明家から始まったトヨタスピリッツの源流!! 佐吉翁からMORIZOへと続く夢の先には何がある!?(8枚)
■自分だけの「道」を見つけよう
豊田佐吉記念館の母屋の表札が豊田章一郎から豊田章男に変わった。「私は火元責任者のようなものです」と周囲を笑わせた
豊田佐吉は63年の生涯のなかでいくつもの名言を残している。「障子を開けてみよ 外は広いぞ」が最も有名だが、そのほかにも、
「まずやってみよ 失敗を恐れるな」「常に時流に先んずべし」「一生を賭してやれば、遂げられぬことはあるまい」「考え続けていれば、ふっと良い考えが浮かぶのだ」「わしは決して天才ではない、すべては努力の結晶なのだ」「人間は神様じゃない、間違いもあるが正直がよい」
など、心に響く言葉の数々は枚挙にいとまがない。
どこかで聞いたフレーズもあるなと思われた方は、豊田佐吉の遺訓は豊田綱領としてトヨタのDNAとなっているからだ。そしてモリゾウさんが豊田佐吉の生涯を深く研究し、自分の言葉としてスピーチに盛り込んでいるからだ。
豊田佐吉は1867年2月14日に遠江国敷知郡山口村(現在の静岡県湖西市山口)に生まれた。父の伊吉は農業のほかに大工をしていた。佐吉は尋常小学校(当時は4年)を卒業すると、高等小学校(2年)には行かず、父のもとで大工の見習いを始めた。
佐吉は少年時代身体が丈夫ではなかったようだが意志は強かった。11歳の頃両親が自分の健康のことを心配していると知ると、岡崎(愛知県)の岩津天神まで健康祈願のために往復100kmの道のりを歩いて参拝したという。
佐吉は小学校を卒業すると父について野良仕事や大工仕事をしていたが、仕事がない時は、新聞や雑誌を読みふけっていた。
18歳の時、村の観音堂に仲間たちを集めて夜学会を開くなど勉強熱心だった。
その頃の佐吉の愛読書は『西国立志編』という本だった。英国の作家、サミュエル・スマイルズの著書で、「天は自ら助くる者を助く」と説いている。努力したものが成功を手にすることを、万有引力を発見したニュートンや蒸気機関を発明したジェームス・ワットなどの偉人たちの人生を例にして語られている。
同じころ開国によって西洋のさまざまなものが輸入されるなか、新しい法律「専売特許条例」が制定されたことを知る。
このふたつのことがきっかけとなり、発明家になろうと決意する。発明によって財をなすことはもちろんだが、お国のため、人のためになれると思ったからだ。
最初に手掛けたのは毎晩遅くまで機織り仕事をする母を少しでも助けたいと思いついた手織機の改良だった。家業の大工に励めという父の目を逃れ、自宅の納屋にこもって手織機の改良にいそしんだという。
顕彰祭を終えたあと、モリゾウさんは記者たちに「名誉会長(父である豊田章一郎)からあの納屋は一番大事なところだから、どんなに会社が傾いても、家計が苦しくなっても、あの納屋だけは売ってはならないと戒められました。あそこはトヨタグループのR&Dセンターのはしりなのです」と興味深いエピソードを披露してくれた。
向学心と発明に燃える佐吉は1890年東京の上野公園で開催されていた第3回内国勧業博覧会に出かける。
勧業博覧会は国内産業と輸出商品の育成を目的にしたもので、佐吉はそこに並ぶ最新の機械に衝撃を受け、その構造を目に焼き付けようと2週間毎日会場に通い詰めたという。その情熱はその年の秋に完成させた「豊田式木製人力織機」として結実する。
ここまでが佐吉の23歳までの歩みだ。今でいう大学生の年頃までにすでに自身の進むべき道を決め、貪欲に知識を求め、発明に明け暮れていたことがわかる。
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■MORIZOさん自身が語る「次の道を発明しよう」に込めた想い
顕彰祭で展示された湖西未来の科学の夢絵画展の優秀作品。地球温暖化を取り上げた作品もあり、感心させられる
第61回豊田佐吉翁顕彰祭でモリゾウさんはこんな挨拶をした。少し長いが引用しよう。
「今年は佐吉のG型自動織機の発明から、ちょうど『100年』になります。この節目の年に私はトヨタグループの責任者として『グループビジョン』を策定しました。
『次の道を発明しよう』。このシンプルな言葉に、私自身の素直な想いを込めました。『次』は『未来』を、『発明』はグループの『原点』を表しております。誰かを想い、学び、技を磨き、モノをつくり、人を笑顔にする。『発明』への情熱こそ、トヨタグループの『原点』と言えます。
では、『道』とは何でしょうか?
私たちには佐吉が残してくれた『道』があります。ですが、まだこの先に『道』はありません。つくるのは私たちであり、その主役は未来を担う若者たちだと思います。
今年もこの場には、豊田佐吉翁記念奨学金・奨学生、湖西少年少女発明クラブのみなさんにご参加いただいております。みなさん、これからもたくさん挑戦し、たくさん失敗して、自分だけの『道』を見つけてください。他の人と同じである必要はありません。そのほうが未来は面白くなる。私はそう信じております」。
モリゾウさんは未来を切り開く若者たちはもちろんだが、「夢と情熱」を持ち、挑戦し続ける人を応援する。それはWoven Cityの建設もそうだし、ハースF1との業務提携や空飛ぶクルマJobyへの出資、そしてパラアスリートへの支援など、どれも根っこは同じなのだ。
我々大人たちも、身近な挑戦者たちを応援する気持ちを忘れず、一緒になって未来を作っていきたい。
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■MORIZOを知るコラム……豊田佐吉記念館
豊田佐吉記念館。住所:静岡県湖西市山口113-2 TEL:053-576-0064 駐車場有
豊田佐吉の生家のほか佐吉が父親に隠れて研究に明け暮れた納屋や山の水を生活水に使うためにろ過装置を作ったという井戸が残る。
また佐吉が発明した豊田式木製人力織機やG型自動織機を展示するほか、佐吉の生涯をわかりやすいイラストとともに紹介しており、一見の価値あり。
新たに豊田佐吉記念館を豊田章一郎、豊田章男父子が紹介するビデオがガイダンスとして流れており、佐吉の精神が今に受け継がれていることを感じさせる。
入館無料で開館時間は9時30分~16時30分(10月~3月)、9時30分~17時(4月~9月)、休館日は月曜日と年末年始ほかとなっている。
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投稿 豊田章男会長が語った【次の道】がカッコよすぎた は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。
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