雨に翻弄された土曜日から一夜明けたスパ・フランコルシャン・サーキットは朝から青空が広がる好天に恵まれ、7月28日10時から開始された2024年FIA F2第10戦スパ・フランコルシャンのフィーチャーレースは、ドライコンディションで行われた。
スタート直後のターン1ではスタートで出遅れたゼイン・マローニ(ロダン・モータースポーツ/ザウバー育成)とジョセップ・マリア・マルティ(カンポス・レーシング/レッドブル育成)、そしてオリバー・ベアマン(プレマ・レーシング/フェラーリ育成)が交錯し、マルティとベアマンがマシンを止めてレースを終えた。
【宮田莉朋F2密着】延期と赤旗終了。スパウェザーに翻弄された土曜日/第10戦レビュー前編
さらにフランコ・コラピント(MPモータースポーツ/ウイリアムズ育成)もマシントラブルにより別の場所でストップしたことで、レース序盤からいきなりセーフティカー(SC)が導入された。
その後、レースは4周目に再開されたが、直後のターン6でラファエル・ヴィラゴメス(ファン・アメルスフォールト・レーシング)が他車とのバトルでスピン。その後ろを走っていたビクトール・マルタンス(ARTグランプリ/アルピーヌ育成)がヴィラゴメスを避けきれずにクラッシュするというアクシデントが発生。これで2度目のSC導入に。
16番グリッドからオプションタイヤ(ソフト/レッド)を履いてスタートを迎えた宮田莉朋(ロダン・モータースポーツ/TGR WECチャレンジプログラム)は、ピットストップのタイミングを探っていた。25周または60分+1周で行われるフィーチャーレース。タイヤに厳しいスパ・フランコルシャンではこの段階でピットインするのはまだ早かった。
「スタート直後にSCが入って、自分も含めてオプションタイヤでスタートしたドライバーは、みんなピットインするかどうかを探っていたと思います。オプションタイヤはプッシュするとすぐにグリップを失うため、序盤は厳しい状況だったのですけど、周りのプライムタイヤ(ミディアム/イエロー)勢には抜かれないよう耐えていました」
その後、12周目にプライムタイヤに履き替えた宮田は、ここからペースアップを図る。
「ピットストップの後、エンジニアからスタートで履いたオプションタイヤの4輪すべての摩耗状況を聞いて、それをプライムタイヤのマネジメントに生かしました」
そう振り返る宮田は、プライムタイヤで安定したペースを刻み続け、レース後半はポイント争いを展開。16周目には眼前にピットアウトしてきたアンドレア・キミ・アントネッリ(プレマ・レーシング/メルセデス育成)とアムーリ・コルデール(ハイテック・パルスエイト)に仕掛けるチャンスを得た。
「ピット出口で前に出ることができれば良かったのですが、前に出られなかったので、オールージュでは少し前と詰まりました。これで少しタイムをロスしましたが、アクシデントを回避するためには仕方なかったと思います」
そう語る宮田は、2台をケメルストレートで立て続けにオーバーテイクする。後方スタートから早めのタイヤ交換でアンダーカットを成功させたかたちだが、宮田のペースはその後も衰えることはなかった。
レース終盤はチームメートのマローニとの差を徐々に詰めるも、わずかに及ばず7位でフィニッシュ。第9戦ハンガロリンクに続いてフィーチャーレースでは2戦連続のポイント獲得となった。
「ストラテジーがうまく機能したことと、僕自身の(レース後半の)プライムタイヤでのタイヤマネジメントがうまくいったことが、ポイントを獲得できた大きな要因だと思います」
サマーブレイク前の一戦を終えた宮田は、ここまでのFIA F2での10戦20レースの戦いを次のように振り返った。
「タイヤマネジメントは自分の強みだと思ってFIA F2に参戦したのですけど、これまではその強みを発揮できるレースもあれば、逆にタイヤを守りすぎているレースもあり、その境界線を迷いながらのレースが続いていました。今回のスパでは、それが良いかたちで結果となって現れ、自信に繋がるレースになったと思います」
2024年FIA F2、次戦となる第11戦は8月30日~9月1日に、イタリアのモンツァ・サーキットで開催される。
なお、サマーブレイク中の予定について尋ねると、「まだわかりませんが、シーズン入ってから一度も帰国していないので、家族に会って、さらにモリゾウさんをはじめ、応援してくださっているTOYOTA GAZOO Racing(TGR)のみなさんに近況を報告する方向で予定を立てています」と、宮田。
ヨーロッパでもまれ、一段とたくましく成長した宮田に、家族もTGRの関係者たちも驚くに違いない。
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