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「このミニバン、情報量多すぎィ!」ツッコミが止まらない珍車・プジョーHX1コンセプト【推し車】

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「このミニバン、情報量多すぎィ!」ツッコミが止まらない珍車・プジョーHX1コンセプト【推し車】

■いかにもヨーロッパ的なコンセプトのPHEVミニバン

日本人として誇り高き人々によれば、「ハイブリッドカーの技術は日本がトップ、出遅れたヨーロッパはハイブリッドじゃ勝てないから急にBEVなど推進し始めた」という事のようですが、ヨーロッパの自動車メーカーはハイブリッドを作らなかったわけではありません。

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単に日本の交通事情(せいぜい120km/h巡航で大半はノロノロした下道と渋滞)に合ったクルマを作っていないので日本市場へ積極的に導入しなかっただけで、調べると案外普通に売っていたりするのですが、今回紹介するプジョー HX1コンセプトもそんな1台。

ディーゼルPHEVの「HYBRID4(PSAハイブリッドとも言う)」という、ヨーロッパならではのシステムを採用し、かつてのホンダ オデッセイ顔負けなペタンコぶりを発揮する、これでも3列シート6人乗りミニバンのコンセプトカーです。

■前後観音開きバタフライドアはショールームに最適

いかに3~4代目のホンダ オデッセイに馴染みがあり、何ならハイルーフでスライドドアつきミニバン全盛期にあえてスポーツミニバンを欲しいという根強いユーザー層が存在する日本人でも、このクルマを見て「3列シート6人乗りミニバン」とは考えにくいでしょう。

しかしプジョーが2011年のフランクフルトモーターショーで発表した「HX1コンセプト」は3列シート6人乗りミニバンであり、しかもどこかのスーパーカーから切った貼ったしたような、前後観音開きバタフライドアを持つという、変わったクルマです。

大開口部を実現する大型の電動スライドドアとどっちが重いか…はさておき、確かに開口部面積こそ広いものの、どれだけ開けても前後ドアのちょうど中間部以外は乗降性良好とは思えず、おそらくは中をよく見せるためのショーカー的ギミックに過ぎません。

こんなドアを採用するメリットとしては、ショーの会場で注目を浴びるほか、「変わったドアを採用したクルマ◯選!」というタイトルで、WEBメディアに繰り返し紹介されるくらいかな…というのが正直なところ。

たぶん、当時プジョーが販売していた3列シート7人乗りミニバン、「5008」(初代)の次期モデルで方向性を定めるためのデザインスタディを兼ねていると思いますが、当の5008は2代目(2017年)で時流に乗った3列シートSUVになってしまいました。

さすがのフランス人も、ミニバン…ヨーロッパ的にはMPVであまり凝った事をするより、素直に世界的に売れているSUVにした方が良かったのでしょう。

それにしても、ミニバンにF1用V10エンジンを積んだ「ルノー エスパスF1」(1995年)と並び、ミニバン史上屈指の「珍車」として歴史に残ることは、間違いありません。

■空気抵抗を極限した超低床ロールーフの快適性やいかに?

観音開きバタフライドアのおかげでジックリ見られる車内を覗き込むと、左右席の間はリチウムイオンバッテリーでも入っていそうな高い隔壁で仕切られ、走行中はもちろん、乗降時に車道側から歩道側へちょっとウォークスルーして…というのも難しそうです。

一応は備えられた3列目シートも座面は短く、頭上にはさんさんと日光が注ぎ込むルーミーなガラスルーフが迫っているため、筆者としては走り出して5分で「降ろしてくれ!」と悲鳴を上げた、2代目ホンダCR-Xの後席を思い出して、あまりよい気持ちになれません。

ちなみに2列目は1列目背面へ押し込むようにして収納、3列目を広くリムジンのように使う事もできるようで、その場合は3列目がシートバックごと沈みながら前にずれ、ふんぞりかえるような形で頭上スペースを稼ぐ考え方な模様。

もちろんこれも、「Cd値0.28と極言された空気抵抗係数からわかるように、アウトバーンを長距離高速巡航しても良好な燃費と走行性能を期待させるためのショーカー要素」であり、もし実用車へ適用するなら、もっと現実的なデザインへと手直しされたでしょう。

何しろ、当時既にヨーロッパでは「3008Hybrid4」で採用されていた、前輪をクリーンディーゼルで、後輪をモーターで駆動するパラレル式ハイブリッドを採用、外部からの充電で30kmのEV走行が可能なプラグイン版(PHEV)として進化・搭載したという触れ込み。

ならば内外装もそれに合わせ、思いっきりエスプリを効かせた純粋なショーカーに達したのがHX1コンセプトですが、発表から12年を経るとバッテリーをよりたくさん積めるSUV型のBEVが主流になっていき、ディーゼルPHEVなどあまり注目されません。

2011年当時としては確かに奇抜なクルマでしたが、その後の方向性としては思いっきり空振り、全高わずか1,370mmのミニバンになど未来はなかった、という結果で終わりそうです。

※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。

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