完全電動の専用オープンホイールマシンで速さと効率、戦略を競う新世代のモータースポーツ「フォーミュラE」は、2025年で11年目を迎えた。今や電気自動車レースという枠を超え、都市・テクノロジー・カルチャーを巻き込んだ、次世代の社会装置として再定義されつつある。
Gen3 Evoと戦略改革
「レースの魅力は音。エンジン音のないレースなんて面白いのか?」。2014年にスタートしたフォーミュラEに対し、開始前からそんな声が上がっていた。スタート当初はさまざまな課題を抱えていたが、技術の進化とファンを惹きつける施策を実行するスピード感は、目を見張るものがあった。そして何より、エンジンかモーターかに関係なく、競争心や勝利への執念など、「ヒューマンスポーツ」である本質は変わらないことを示してくれたカテゴリーでもある。
●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
2025年のフォーミュラEを語る上で、まず触れなければならないのが「Gen3 Evo」の存在だ。最大出力は350kW。フロントにも駆動モーターを搭載し、加速時には四輪駆動に。0-100km/h加速はわずか1.82秒で、F1マシンすら凌駕する。
エネルギーマネジメントも格段に進化した。合計600kWの回生ブレーキにより、レース中に使用する電力量の約50%を自給可能。モーターの効率は95%に達し、内燃機関が理論上到達できる上限(約40%)をはるかに上回る。
さらに、タイヤには持続可能性を追求した新型ハンコック製を採用。リサイクル素材を活用しつつ、パフォーマンスとの両立も図っている。
こうした技術革新に伴い、戦略面にも大きな変化があった。最大のトピックは、新ルール「ピットブースト」の導入だ。これは、レース中に義務づけられた30秒間の急速充電ストップで、バッテリー残量の約10%を補充できるというもの。この短時間の充電がレース結果に大きな影響を与えるだけでなく、ドライバーとチームに高度な判断力を求めることになる。
どのタイミングでピットブーストを使うか。ライバルの戦略とどう差別化するか。アタックモードとの併用や、回生ブレーキとのバランスなど、フォーミュラEでは単なる速さだけでなく、戦略が極めて重要なファクターとなっている。
都市と文化を取り込むシリーズへ
2025年5月、フォーミュラEは東京で2度目となるE-Prixを開催。今回は初のダブルヘッダー形式で、さらに注目を集めている。舞台は東京ビッグサイト周辺。日本有数のコンベンションセンターの傍らで行われるレースは、まさに都市型モータースポーツの象徴だ。
日常生活圏の中で自然にレースが視界に入るという仕組みは、従来のモータースポーツでは実現し得なかった価値であり、特にモータースポーツ後進国である日本においては画期的と言える。
また、都市レースのメリットはアクセスの良さだけではない。電動モビリティが市民生活と共存可能であること、そしてエンターテインメントが都市の中で新たな意味を持つことを示す手段でもある。
事実、東京E-Prixでは地元企業や自治体との連携により、交通施策、EV導入促進、地域活性化など、レースがきっかけとなる社会的波及効果が数多く生まれている。
競技面では、地元勢の活躍にも期待がかかる。日産はフルワークス体制で参戦中であり、エースであるオリバー・ローランドは、現在ドライバーズランキングで首位に立っている。昨年2位に終わった日産とローランドにとって、東京E-Prixは最重要レースと言えるだろう。
レースそのものが持続可能なイベントを象徴する
また、今季からは名門ローラとヤマハがタッグを組んで参戦。さらに、俳優イドリス・エルバが支援する新興チーム「CUPRA KIRO」もデビューを果たすなど、企業や著名人がフォーミュラEの価値に注目している。もはや単なる自動車レースではなく、グローバルビジネスの接点でもあるのだ。
この背景には、フォーミュラEが環境面でも最前線を走っているという事実があるかもしれない。全チームがカーボントラッキングとオフセットを実施し、カーボンニュートラルを達成。バッテリーや車体のリサイクルにも積極的に取り組み、レースそのものが持続可能なイベントを象徴する存在となっている。
かつて「実験的カテゴリー」と見なされていたフォーミュラEは、「考える速さ」と「都市と共生する優しさ」を実現した、唯一無二のカテゴリーとなった。
テクノロジーと都市、人間の知性と文化が交差するレースの未来。音も煙も出さず、観る者の心を震わせる。それが、フォーミュラEだ。
[ アルバム : 11年目のフォーミュラE 電動モータースポーツの最前線 はオリジナルサイトでご覧ください ]
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