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【そのすべてに意味がある】新型C4のデザインが正真正銘のシトロエンである理由

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【そのすべてに意味がある】新型C4のデザインが正真正銘のシトロエンである理由

世代ごとに大きく変わるシトロエンのデザイン

シトロエンはいつの時代も独創的なデザインで、全世界に話題を振り撒いてきた。昔の2CVやDSは言うに及ばず、最近でもアミやコンセプトカーのオリなど、自動車業界を驚かせるようなクルマを、相次いで世に問うている。

【画像】新型シトロエンC4のデザインワークとオンラインプレゼンの様子はこちら 全22枚

でもそれは、炎上覚悟の話題作りではないことを、これまで6台のシトロエンと暮らしてきた僕は知っている。最初は「なにこれ」だった造形が、使い込んでいくうちに「なるほど」に変わっていくことを、何度も体験しているからだ。

そのシトロエン、世代ごとにデザインが大きく変わることも特徴になっている。

近年はダブルシェブロンのエンブレムの両端を左右に伸ばし、その間にウインカーを兼ねるデイタイムランプを入れ、下にグリルとヘッドランプを離して置くフロントマスクが特徴だった。2014年に日本で発売されたC4ピカソあたりから、この造形が導入されたと記憶している。

この顔はその後、エンブレムから伸びるラインの端が矢尻のように開き、ヘッドランプはその中に収まって、ランプまわりで三角形を描くようになった。

さらにサイドについては、2年後に我が国に導入されたC4カクタスで初採用となった、エアバンプと呼ばれる衝撃吸収クッションを並べた太いプロテクションモールをアイデンティティとしてきた。

どちらも好き嫌いが分かれそうな造形ではあったけれど、日本はシトロエンを個性的なクルマと考える人が多かったので、好意的に受け入れられていたようだ。

しかし2022年、シトロエンはコンセプトカーのオリで新しいエンブレムやライティングを提案すると、これを市販車に投入。日本ではMPVのベルランゴに続いて、先日発売開始したC4にも採用された。

新型C4発売に合わせ、オンラインプレゼンテーションを実施

ではなぜシトロエンは、好評に思えた従来のデザインテーマを変えたのか。

新型C4の日本発売直前、チーフデザインオフィサーのピエール・ルクレール氏のオンラインプレゼンテーションがあり、そのあたりを解説してくれたので報告することにしよう。

通訳は、同じシトロエンでカラー&マテリアルデザイナーを務める柳沢知恵氏が務めた。現行シトロエンのフラッグシップであるC5Xのカラーやマテリアルを担当したことでもおなじみだ。

ルクレール氏は、2018年にデザインのトップに招聘されるにあたり、「変化を求められた」とコメント。ブランドのDNAを受け継ぎながら、よりコンペティティブになるための進化が必要と考えた。

当時のシトロエンは、たしかにわかりやすい表現であったが、同時に丸みを帯びたフォルムが多く、インテリアは豊富な色使いに好き嫌いがあったとコメント。むしろ最近はテクニカルな要素を入れる流れになりつつあると語った。

そこでルクレール氏は、シンプルさを守り、軽快に見せることは大切としつつ、丸いフォルムの中にシャープなディテールを入れることでコントラストを出し、自動車らしさにこだわるブランドとの差別化を狙った。コンセプトカーのオリは、そのビジョンを説明するうえで大切な1台だったとのことだ。

エンブレムを1919年の創業当初のスタイルに戻したのも、ルクレール氏の意向だった。そして、細いLEDのバーを3つ組み合わせたヘッドランプは、三角形をなしていたこの部分を置き換えたものと説明した。

LEDをこのように組み合わせた例はほとんどなく、同氏が言っていたように、遠くからでもひと目でわかる。それでいて多くの車格に適用可能というメリットもある。大胆に見えて考え抜かれたストーリーだったのだ。

造形すべてに意味があるということ

ボディサイドでは、エアバンプがなくなるとともに、プロテクションパネルが小さくなった。安定感を狙うとともに、複雑だったサイドの表情をシンプルに見せるためだ。

フロントバンパーやサイドのエアバンプに入っていた四角形のアクセントは、細いカラークリップに置き換えられた。LEDランプを反映したディテールで、オリジナルはサテンゴールドだが、違う色に変えることもできるという。

リアもシンプルであることを重視し、各所に伸びていたラインを水平基調で統一した。コンビランプもそのひとつで、これまでより落ち着いたイメージを出している。本来はエンブレムを置きたかったが、スペースに限りがあるのでレタリングにしたという。

個人的に感心したのは、ヘッドランプだけでなくリアコンビランプも、細い3本のLEDを基調とすることで、前後の統一感を図ったこと。さすがシトロエン、カーデザインの基本を熟知している。

インテリアはメーターパネルを5インチから7インチに大型化。シートは新型C3/C3エアクロスに続き、新世代のアドバンストコンフォートシートを採用した。

センターの板チョコのようなクッションは、1970年代生まれのGS/CXからインスピレーションを受けたもの。サイドとの切り替えをU字としたのは、サポート性能を上げるためだそうだ。素材はテップレザーとアルカンターラを使用し、赤いステッチを入れることでコントラストを出している。

話を聞いていてわかったのは、独創的な顔つきをはじめとする造形に、すべて意味があるということ。新型C4もまた、正真正銘のシトロエンだったのである。世代は変わっても哲学は変わらない。そう感じさせる技に感心した。

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