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アルファレッドに誘われ、アートを愛でるように鑑賞する【第10回 アルファ ロメオ歴史博物館】

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アルファレッドに誘われ、アートを愛でるように鑑賞する【第10回 アルファ ロメオ歴史博物館】

ミラノの中心地から北西に15kmほどアウトストラーダA8を走らせると、右手に真っ赤な管が矩形の建物に張り付いている姿が見える。中央建物の屋上には「Alfa Romeo」の文字。これがアルファ ロメオ歴史博物館だ。

駐車場から赤い天蓋のある通路を辿って博物館へ。1976年に開館した博物館は、2009年にアレーゼ工場が閉鎖となった後も公開されていたが、2011年に休館となってしまった。それがリニューアルして復活したのが2015年だ。

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リニューアルを手掛けたのは建築家ベネデット・カメラナ氏。アルファ ロメオ ジャパンのホームページによると、彼はトリノ・オリンピック村やユベントス博物館を手掛けているという。

館内に入ると4Cが迎えてくれた。ここに展示される車両はよく入れ替えされている。2013年にいまはなきセルジオ・マルキオンネ氏から博物館リニューアルの依頼を受け、2014年6月にプロジェクトのコンセプトをカメラナ氏は発表。1年ほどでリニューアルプロジェクトを完成させた。

クルマを運転して訪れた来館者は、博物館北側の駐車場にクルマを停めることになる。

博物館のエスカレーターに向かう前に、アルファ ロメオが手掛けた航空機用エンジンが展示されている。駐車場から博物館の玄関へと歩いていくと、アルファレッドに塗られた天蓋が迎えてくれる。この天蓋のある通路はおよそ130mほど。否が応でも気分は盛り上がる。

建物の中に入ると、真っ赤な天蓋が連続しているかのように天井や壁のパネルに赤色が使われている。博物館は地下1階、地上2階で構成されているのだが、エスカレーターでまずは2階へ。このエスカレーターが、アウトストラーダから見えた建物に張り付いた真っ赤な管であり、その内部はもちろん赤い壁となっている。

トンネルのようなエスカレーターを登ると、テストコースとアウトストラーダA8を見渡せる。博物館はフロアごとにテーマが決められており、2階は「TIME LINE(アルファ ロメオの歴史)」、1階は「BELLEZA(アルファ ロメオの美)」、地下1階は「SPEED(アルファ ロメオのレース活動)」がテーマだ。

1911年のA.L.F.A. 15HP CORSA。アルファレッドのトンネルのようなエスカレーターを降りてまず最初に迎えてくれるのが、アルファ ロメオの前身であったA.L.F.A.(Anonima Lombarda Fabbrica Automobili )の車両を含む歴代の代表作だ。

つまり、駐車場の天蓋から続くアルファレッドを辿っていくと、アルファ ロメオのルーツに繋がっているという心憎い演出であったのだ。

ともに1962年製の2600スプリント(左)とジュリア(右)。美しいクルマたちに、見惚れるばかり2階の「TIME LINE」に展示されているクルマは、A.L.F.A 24-HPから8C COMPETIZIONEまでの19台。自動車の黎明期から始まるアルファ ロメオのおよそ100年の歴史を、このフロアで見渡すことができる。

左からアルファ75、164 3.0 V6、156、8C。8C以外はどれも日本の公道でよく見かけた時期があった。各車両の背後には車両名称や年式、スペックを記したパネルがあり、その上のモニターに映像が流れる仕組み。実車を検分しながら映像もすべて見ようと思うと、それだけで相当な時間がかかってしまう。

吹き抜けになっている階段をおりて1階へ。2階から地下1階まで見下ろせる吹き抜けには天井からアルファ ロメオの歴史をオブジェにしたアートがぶら下がっているが、ここからの眺めは何度訪れても新鮮でいつも新たな発見がある。

階段エリアからの博物館の全フロアを展望できる。階段は一方向ではないので、階下に降りた後にふたたび上の階の展示を再度鑑賞できるのもうれしい。

「BELLEZA」をテーマとした1階は、偉大なデザイナーが手掛けた車両と、アルファ ロメオを代表するシルエットを持つ車両の展示である。

ベルトーネのカラボ、ジウジアーロのラグナ、ピニンファリーナの33/2スペチアーレ、そしてアルファ ロメオ時代のワルター・デ・シルヴァがデザインしたヌヴォラが並ぶ。このフロアは、さらに5つのテーマに沿って展示されている。なかでも注目が「MASTERS OF STYLE」のパートだ。ここに展示されている8台のクルマは、実際に市販されなかったコンセプトモデルであるが、それぞれがその時代の最先端のテクノロジーとアートを融合した象徴的なクルマばかり。

トゥーリング・スーパーレッジェーラがボディワークを担当した8C 2900 Bルンゴ。完璧にレストレーションされた美しいクルマたちは、フロント・リア・サイドと、すべての角度から鑑賞することができるように展示されている。しかも柵などもなく、1台1台を天井の面照明とスポット照明でボディラインや細部が美しく見えるように演出されているので、もっとも写真映えする場所でもある。

アルファ ロメオを代表する車種、ジュリエッタとジュリアの歴代モデルが並ぶ。もうひとつ、忘れてはならないのが「THE ITALIAN SCHOOL」のパートだ。ここには、トゥーリング・スーパーレッジェーラが手掛けた4台のアルファ ロメオが展示されている。トゥーリングはBMW328やアストンマーティンDB4、マセラティ3500GT、ランボルギーニ350GTなどを手掛けたイタリアの名門カロッツェリアのひとつ。一度に4台を見ることができる経験はなかなかないので、じっくりと鑑賞して欲しい。

エンツォ・フェラーリが指揮して作られたビモトーレ。アルファ ロメオにはレースの血が流れているクライマックスとなる地下1階は、「SPEED」がテーマ。クアドリフォリオ(四つ葉のクローバー)の伝説を存分に堪能できるエリアだ。

このフロアだけは、天井と床、そして壁も黒一色でまとめられ、展示車両はスポットライトだけで照らされる演出が施されている。

ティーポ33/3(左)とティーポ33/2デイトナ(右)。展示されている車両は、シングルシーターのフォーミュラをはじめ、レース車両がメイン。イタリアのナショナルカラーであるレッドの車両たちばかりだ。そのため、黒一色にまとめられたエリアで、真紅のボディがまるで暗闇に浮かんでいるかのような演出となる。

駐車場の天蓋から始まったアルファレッドは、このフロアに集約されていたといってもいいだろう。当博物館のまさしくオーラスに相応しい。

33ストラダーレ・プロトタイプ。「SPEED」のテーマは、さらに5つのテーマに分けての展示となる。「THE LEGEND IS BORN」「WORLD CHAMPIONS」「THE TIME OF THE VICTORIES」「PROJECT 33」「RACING IN THEIR DNA」の5つだ。

「THE LEGEND IS BORN」は、1923年のタルガ・フローリオで勝利したRLからはじまり、タツィオ・ヌヴォラーリがドライバーとして数々のグランプリで勝利を収めたティーポBなど、アルファ ロメオのモータースポーツ黎明期のマシンが展示されている。

「PROJECT 33」のエリアには、ティーポ33/2 デイトナといったレース車両はもちろんのこと、アルファ ロメオ史上最も美しいクルマと言っても過言ではない33ストラダーレ・プロトタイプも展示されているので、こちらも必見である。

大小様々なアルファ ロメオのミニチュアカーを眺めながらエスカレーターで地下から1階へ。アルファ ロメオの美しさで冷めない興奮は、併設されているカフェ、もしくはストアで冷ますといいだろう。

大小、クオリティ問わず、さまざまなアルファ ロメオのミニカーが陳列されている。La macchina del tempo – Museo storico Alfa Romeoアルファ ロメオ歴史博物館

住所:Viale Alfa Romeo, 20020 Arese MI, ITALY.

TEL:+39 0331 230007

開館時間:10:00~18:00

休:火曜

URL:museoalfaromeo.com

文・尾崎春雪 編集・iconic

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