この15年くらいで、メーカーが採用を増やしてきた「異形ステアリング」。
もともとは、ステアリングを持ち替えて操作をしなくてもよいF1などのレーシングカーで、狭いコクピットの中で足とステアリングがぶつからないよう、下側をカット(D型ステアリング)したことが始まりとされています。
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近年ではスポーツカーだけでなく一般的な乗用車へも採用が増えてきてはいますが、全車標準採用にはなっておりません。異形ステアリングはなぜ定着しないのでしょうか。元自動車メーカーのエンジニアである筆者が解説します。
(本記事メイン写真は、現行車のなかでもかなり「異形度」の強い(後述)プジョー508)
文:吉川賢一
■ステアリングが異形になるメリットとデメリット
一般的に異形ステアリングの「メリット」と呼ばれていることは以下の3つです。
・フラットボトム形状(D型)は、クルマへ乗り込む際にハンドルが邪魔になりにくい(=乗降性が良い)
・ステアリングの上端アーチを小径化すると、センターメーターなどの視界かぶりが少なくできる
・スポーティな印象があるので従来の丸いステアリングと差別化ができる
現行日産ノートのステアリング。下側がカットされていて、「D」の文字を横にしたような形状。足元に余裕が出るため、乗り降りの時に当たらないなどの利点がある
逆に「デメリット」は以下です。
・ハンドルを大きく回す際に、円形でないため回しにくいことがある
・円形状のステアリングのクルマから乗り換えると違和感を覚える
異形ステアリングを採用している事例は徐々に増えており、たとえば日産であればノート、エクストレイル、リーフ、セレナなど、共通のフラットボトム形状のステアリングを採用しています。
またホンダのS660や一昔前のS2000のVGS もフラットボトム形状です。
トヨタはアクアや先代プリウス、シエンタなど、楕円形型のステアリングを採用。
また海外メーカー勢であると、フォルクスワーゲンが「UP!」から「アルテオン」までフラットボトム形状を採用、アウディもVWと同様に多くのモデルで採用、そしてベンツはAMGシリーズのみフラットボトム形状のステアリングを採用しています。
しかし先述したように、メリットは確かにあるのですが、実際には「違和感」が先立つようで、「慣れ親しんだ正円のステアリングの方がよかった」という声が多いようです。様々なメーカーのクルマへ試乗する機会が多い筆者もその一人で、「戻しにくさ」をまず感じます。
■楕円ハンドルから正円ハンドルに戻した「現行プリウス」
先代プリウスは、ステアリングの形状を、楕円から正円に戻しました。この理由についてトヨタから言及はされていませんが、現行プリウスユーザーの反響を見ると「ハンドルが回しやすくなった」というコメントがあり、好意的に受け止められているようです。筆者も先代プリウスを運転した際、楕円形のステアリングだと切るのはいいのですが、戻す際に「スルスル」と戻しにくく感じました。
こちらは現行プリウスのステアリング。(やや横長楕円であるものの)ほぼ「円」といっていい形状をしている
また個人差はありますが、極端に背が低い方でなければ、座面高さを調整することで、適切なドライビングポジションを取りながらも、センターメーターへのハンドル視界かぶりはほとんど影響ありません。
■異形ステアリングが役立っているクルマの事例
プジョーは、308、508、3008、5008まで、角ばった小径ステアリングを採用しています。ステアリングの上端を超えてメーターを見せる構造のため、メーターの視認性確保が目的です。センターメーターよりもさらに視界移動を減らすことが狙いですが、小径かつ異形ステアリングですので、扱いに慣れるまでは相当な違和感を覚えます。
現行車のなかではかなり「異形」度が強い、プジョー508のステアリング。下部だけでなく上部もカットされているのが特徴
■まとめ
異形ステアリングは実用性や形状のメリットはさほどなく、「ファッション」として採用していることが多いようです。異形ステアリングが定着しないのは「思ったほどのメリットがなかった」ということでしょう。ドアミラーウィンカーや、シャークフィンなどと同じように、「あってもいいけど、なくても困らない装備」ではないでしょうか。
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