ミドルクラスのベンチマーク、3シリーズの歴史を振り返る
BMW「3シリーズ」は1975年の登場以来、半世紀にわたりミドルサイズクラスの絶対的な指標として君臨してきた。その歴史は、単なる1台の自動車の変遷に留まらず、スポーツセダンの概念を確立しプレミアムセグメントを牽引してきた。その3シリーズの輝かしい成功の物語を振り返る。第5回目は、4代目(E46型)3シリーズにスポット当てて紹介する。
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シリーズ最大のヒット作となった4代目
1998年春には第4世代BMW 3シリーズ、コードネーム「E46」がデビューした。このモデルは、スタイリッシュなデザインの継承と、絶え間ない技術的進歩というBMWの哲学を体現し、そのセグメントにおける絶対的な存在としての地位を揺るぎないものにしたのである。
まず4ドアセダンとして市場に投入された新型3シリーズ(E46)は、先代モデルと比較して全長と全幅がそれぞれ40mm拡大された。そのプロポーション、伸びやかなライン、そして際立つアーチ状のルーフラインは、まさにスポーティなエレガンスを表現していた。フロントマスクでは、ボンネットと一体化したキドニーグリルと、クリアカバーの奥に収められたツインサーキュラーヘッドライトが、見る者に強烈な印象を与えた。
また、L字型にデザインされたリアライトは、この世代からBMWの新たな特徴として定着していくことになる。拡大されたボディサイズは、そのままインテリア空間の充実に直結した。特に後部座席のニースペースは20mm、ヘッドルームは10mm増加し、乗員はより広いスペースを享受できるようになった。
この第4世代モデルは、開発において上位モデルである7シリーズで培われた専門知識が惜しみなく注がれた点も特筆される。ボディとシャシーの理想的な相互作用、内装の質感、そして安全コンセプトに至るまで、その思想はフラッグシップセダンからヒントを得ていた。モダンに刷新されたインストルメントパネルは高品質な仕上がりを見せ、多機能ステアリングホイールやリアのサイドエアバッグ、ナビゲーションシステムといった装備は、このクラスの新たなベンチマークを確立した。「BMWのエッセンスは3シリーズに凝縮されている」とは、ある自動車雑誌のテスターが最初の試乗後に記した言葉であり、このモデルの本質を見事に言い表している。
引き続き多様なボディラインナップを展開
オーナーの個性に寄り添う多彩なモデルバリエーション展開も、この第4世代3シリーズではかつてない速さで進められた。1999年4月には、セダンよりも低く、長く、そしてワイドな3シリーズ「クーペ」が登場。浅いフロントガラスの角度と独特のプロポーションが織りなす、エレガントで流麗なサイドビューは多くのファンを魅了した。同年後半には3番目のバリエーションとして、走行性能と実用性を両立した「ツーリング」がラインナップに加わる。
そして2000年の春には、オープントップの4シーターである「コンバーチブル」がデビュー。クーペと共通のフロントセクションを持ちながらも、際立つベルトラインと筋肉質なリアエンドが、唯一無二の個性を主張した。さらに、このコンバーチブルは、一体型シートベルト付きフロントシートを標準装備したクラス初のモデルとなり、安全性においても先進性を示した。
同年、高性能モデルの象徴である新型「M3」もベールを脱いだ。ボンネット中央の「パワードーム」と呼ばれる膨らみは、その下に収まる3246cc、343psを発生する新型直列6気筒エンジンの存在を誇示するものであった。このM3にも、翌2001年にはコンバーチブルが追加された。また、2001年初頭には、特徴的なヘッドライト解釈を持つ3シリーズ「コンパクト」も後継モデルへと進化を遂げている。
ディーゼルエンジンにも6気筒を採用
エンジン技術における革新も、この世代の成功を語る上で欠かせない。特にディーゼルエンジンは、その役割を大きく変えることになった。BMW初となる直噴式ディーゼルエンジンを搭載した「320d」は136psを発生し、優れた燃費と驚くほどの滑らかさで市場に衝撃を与えた。さらに2000年には、3Lの新型6気筒ディーゼルを搭載した「330d」が登場。コモンレール噴射システムという当時最新の技術を採用し、184psの出力と力強いトルクを実現した。このパワフルかつ洗練されたディーゼルエンジンの登場は、それまでのディーゼルのイメージを覆し、2002年のディーゼルクーペ(330Cd)や2004年のディーゼルコンバーチブル(320Cd)といった、全く新しいモデルの誕生へとつながっていった。
ガソリンエンジンも同様に進化を続けた。2000年モデルイヤーには6気筒エンジンのラインナップが再編成され、新たに「325i」と、フラッグシップとなる「330i」が導入された。特に330iに搭載された2979cc、231psの直列6気筒ユニットは、高回転まで淀みなく吹け上がる特性と力強いパワーデリバリー、そして比類なき滑らかさで、世界中のスポーツセダンファンを熱狂させた。さらに2001年には、燃費効率を劇的に向上させる新技術「VALVETRONIC」が「316tiコンパクト」に初めて搭載され、BMWの革新性を改めて証明した。
卓越したエンジン性能を路面に伝えるシャシーもまた、新設計された。アルミニウムを約20%使用するなど軽量化を徹底し、走行安定性システムも進化。当初は上級モデルのオプションであったダイナミック・スタビリティ・コントロール(DSC)は、2001年には全車標準装備となり、あらゆるドライバーが安全に「駆けぬける歓び」を享受できる環境を整えた。
これらの包括的な進化の結果、第4世代3シリーズは空前の成功を収める。1999年末には、自動車大国ドイツの登録統計において、このセグメントのモデルとしては異例の3位を記録。そして生産が終了するまでに、その総販売台数は3,266,885台に達し、3シリーズの歴史における最高記録を樹立した。"エレガンスをまとったスポーツ性能"、第4世代3シリーズは、そのコンセプトを完璧に具現化し、ブランドのアイコンとして、今なお語り継がれているのである。
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みんなのコメント
いろんな世代に乗りましたが、3シリーズは3世代目のE36がベストだと思っています。
ベストバランスだと思う
E92のV8も雑誌が喚くほど悪くは無く、むしろパワーによって軽快に感じる
まぁなんにせよ実際に乗って所有して感じるこった
ネットの掲示板で自分の好むヘイトレスを拾っては特定メーカーにヘイトを貯める精神病患者にはならない事だ