日本でも、クルマの電動化がいよいよ避けられなくなった。政府は2035年までに、東京都は2030年までに、新車販売を電動車に限る方針を示している。
ただ日本の場合、「電動車」にハイブリッドカーが含まれるのが特徴だ。CO2排出量ゼロまでは求めず、日本発の技術であるハイブリッドを温存する。
バカ売れコンパクトSUV全面対決 ライズとヤリスクロスどっちを選ぶ?
今後、バッテリー革命によって、EVの性能向上や低価格化が劇的に進行すれば、実力でEVのひとり天下となり、自然淘汰的にハイブリッドが消滅する可能性もあるが、日本の場合、地勢的な制約が大きく、2030年代半ばまでに、発電のカーボンフリー化をどこまで進められるか、壮絶な難題だ。
現状では、生産から廃棄まで、いわゆるウェル・トゥ・ホイールでのCO2排出量を計算すると、EVとハイブリッドは僅差。ハイブリッド温存策は、日本にとっては当面は正しい政策だろう。
というわけで、純ガソリン車と純ディーゼル車は近い将来新車では買えなくなっても、ハイブリッドカーは大丈夫だ。
だからといって、今からハイブリッドカーに乗っておく必要もないんですが、今新車で買えるハイブリッドカーで、安くて楽しいクルマはどれなのか? それを選定して楽しんでみようではありませんか!
文/清水草一
写真/ベストカー編集部、ベストカーweb編集部、トヨタ、日産、ホンダ、三菱
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■燃費はもちろんNO.1 それでいて加速もコーナリングも素晴らしくて値段も安いハイブリッドカーの帝王
燃費がいい上に加速もいい。走らせても楽しいHVだ
●ヤリスハイブリッド:199.8万円~
ハイブリッドの本分は燃費にあり! その燃費がNO.1(WLTCモード36.0km/L)というだけで帝王の地位は確定だが、ヤリスハイブリッドは車両重量がわずか1050kg(ハイブリッドX)しかない。
おかげで加速はとっても痛快! アクセルを軽く踏み込むだけでヒュイーンとスピードが乗る。足回りはスポーティでコーナリング性能も十分。首都高を水すましの如く駆け抜ける。
そんな風に気持ちよく走っても、40km/Lに迫る数字を軽く叩き出すんだから、文武両道の天才とはこのことだ! クルマ好きなら、燃費計の数字を見てるだけで、これまでにないコーフンを味わえる。
弱点は、エグいデザインと安っぽい内装、そして窮屈な後席と荷室ですね。けっこう欠点も多いけど、長所がそれを補って余りある! この走りの天才ぶりは、SUVのヤリスクロスじゃ味わえない。断然軽いヤリスじゃないとダメなんです! 脱帽!
■ワンペダルドライブが楽しいハイブリッドカー
進化したe-POWERの魅力がノートの魅力だ
●日産ノートe-POWER:203万円~
WLTC燃費は29.5km/Lと、ヤリスハイブリッドに大きく劣るが、そこまで燃費がよくなくてもイイという方も多いでしょう。このレベルでの燃費の差は、出費に換算するとかなり僅かな金額になりますし。居住性はヤリスより上、デザインも人畜無害だ。
ノートのウリは、なんといってもアクセルペダルだけで停止まで持って行けるワンペダルドライブにある。新型はその制御がよりスムーズになり、回生ブレーキによる減速で、同乗者がイラッとすることも減っているはず。発電機の役目を果たす1.2L、3気筒エンジンの安っぽい音も抑えられております。
この進化したe-POWERの魅力だけで、ノートは買う価値がある! お値段もヤリスハイブリッドとほぼ同じだし。お買い得だ!
■バランスがNO.1のハイブリッドカー
愛嬌のある犬顔で居住性も高い。これといった弱点がないのも好印象だ
●フィットハイブリッド:199.8万円~
これまたお値段はヤリスハイブリッドおおむね同レベルで、居住性は断然上。そしてWLTCモード燃費は29.4km/L。ヤリスハイブリッドには大差で負けるけど、大きな問題にはならない。
デザインは柴犬みたいに愛嬌があって誰にでも好かれるタイプ。インテリアには和の雰囲気があり癒される。加速もコーナリングもそこそこで、乗って特に楽しいところもとんがったところもないけれど、なにしろ弱点がない! いまさらながらの指摘でどーもスイマセン。
やっぱりヤリス、ノート、フィットは、ハイブリッド界の三傑なんですね。同クラスで3台が切磋琢磨することで、お値段も割安! 結局どれも外せませんでした。
で、ここからは外道の登場です。外道は言い過ぎですね、一発芸と言いますか一発屋と言いますか、とにかく「コレ!」というウリのあるハイブリッドカーを並べてみました。もちろんお値段重視のラインナップです。
■世界で一番安いハイブリッドカー
ハイブリッドカー最安は立派な個性。政府のいう電動車の基準がまだ分からないが、選択肢のひとつにはなり得るだろう
●ワゴンRハイブリッド:128万円~
そのシステムは、最小レベルのマイルドハイブリッド。加速時に発電機がモーターに変身し、加速をアシストするタイプです。たったの2.6馬力のプラスだけど、お値段たったの128万円と聞けば納得だ!
その効果は、マイルドハイブリッドなしのモデルと同時に乗り比べて、「発進が軽やかかも」と感じるレベル。カタログ燃費上も、ハイブリッドなしのモデルより、わずか0.8km/L上回るだけです!
でも、とりあえず「電動車」の条件は満たしている。政府がどこまでを電動車に含めるか詳細は未定なれど、たぶん大丈夫だろう! WLTC燃費で25.2km/L出てるんだから! これより燃費の悪いハイブリッドカーなんてゴマンとあるからね。
■名より実を取ったハイブリッドカー
車体の軽さも燃費に好影響だ。意外とトルクのある走りを見せる
●ソリオハイブリッド:185万円~
マイルドハイブリッドにもいろいろあるけど、私は意外とスズキのコレがとってもおトクに思える。スバルのeボクサーの評判もいいが、期待値が高いせいもあり、加速も燃費も拍子抜けで、その割に値段は高い。
その点ソリオは、1.2Lとは思えないトルクフルな走りをする。最大の要因は車体の軽さ(わずか1000kg)なんだけど、マイルドハイブリッド(モーター出力3.1馬力)も、期待値が低いだけに、「これ、けっこう効いてるかも!」と感じる。
ストロングハイブリッドを廃止してマイルドハイブリッド一本に絞っただけのことはある! WLTC燃費は19.6km/L。大したもんだ。ストロングハイブリッドはいらないネ!
■7速DCTで楽しめるハイブリッドカー
重心の低さは走りに楽しさをもたらす。HVだって走りを楽しみたい
●ホンダシャトルハイブリッド:216万円~
グレイスが消え、フィットがe:HEVになった今、7速DCTが楽しめるハイブリッドは、フリードとシャトルだけになった。ミニバンのフリードより、重心の低いシャトルのほうが走りが楽しいのは言うまでもない。
足回りはしなやかでとってもグッド。デザインはこねくりまわしすぎでゴチャゴチャしてるが、段付きミッションのヨロコビを味わえるストロングハイブリッドは希少! しかもマニア好みのステーションワゴン! 隠れた逸材だ! WLTCモード燃費は25.2km/Lです。
■デザインがユニークなハイブリッドカー
低速での薄いトルクをモーターがしっかりと補ってくれる
●マツダMX-30:242万円~
これまたマイルドハイブリッドで、モーター出力は6.9ps。でもこれが不思議なほど効く。もともとマツダの2L、SKYACTIV-Gは、低速トルクが薄めだが、MX-30はそこをモーターがしっかり補ってくれていて、発進だけでなく中間加速も軽快。足回りもしなやかで気持ちイイ。
で、デザインはと言えば、それはもう文句なく個性的かつオシャレさんです。なにせ観音開きドアですし。使い勝手はとっても悪いけど、個性を優先する人なら問題ナシ! だよね?
最近のマツダ車は割高と言われておりますが、これで242万円というのは割安じゃないだろうか。WLTC燃費は15.1km/Lしかいってないけど、このマイルドハイブリッドがあれば、バカ高いSKYACTIV-Xはいらない。そう思うとお安く思えてくる。
■いま一番イケててモテそうなハイブリッド
軽~くドヤれるHVならこれがベストチョイスか!?
●ハリアーハイブリッド:358万円~
決してお安くはないですが、このクラスでは高くもない。とにかく見た目がカッコよくて内装もオシャレで快適で、レクサス的に女子ウケがよさそうだ。
ガソリン車でもいいんだけど、ハイブリッドのほうが断然雰囲気が未来的なので、ハリアーのイメージにはしっくりくる。クルマに詳しくない人に、「なんかすごいクルマ! ステキ!」と思わせるにはコイツが一番だぜ! たぶん。
■ドイツ車をも凌駕したシャシー性能のハイブリッドカー
値段的にこれは番外編。ビッグマイナーチェンジで外見もシャシーも格段によくなった
●レクサスIS300h:526万円~
これはぜんぜんお安くありませんがあえてプッシュしたいと思います。国産はもちろんのこと、ドイツ御三家の同クラスよりむしろ割高なくらい。
でも、ビッグマイナーチェンジでシャシーが猛烈によくなって、いまこのクラスで世界一ではないかと感じるのです。ハイブリッドの眠いレスポンスを差し引いても、運転がすごく楽しいのです。
見た目も大幅にカッコよくなったし、価格を超えた価値があるのではないでしょうか!? ちょっと番外的に入れさせていただきました。
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みんなのコメント
その前に無理だとヨーロッパに誰もついていかなくなる。現実な路線へ向かう。
かなりけっこう楽しめます
しかしながら実質燃費は平均すると10km/L以下です
恐らくISよりぜんぜん楽しめるかと思いますが
ランニングコストや下取りを考える方にはオススメ出来ません