2018年上半期の販売上位車種トップ10はコンパクトカーとミニバンがほとんどを占めた。ミニバン販売の1-2位には、5ナンバーサイズをフルに使ったセレナ、ヴォクシーが名を連ねるなか、計4万5417台、月平均7500台超を販売し、ミニバントップ3の一角に食い込んだのがトヨタのシエンタだ。
コンパクトカーと大差ないサイズに3列シート、7人乗りを成立させた“超小型ミニバン”のシエンタは、一度絶版となりながら復活した珍しい車でもあり、人気の割にクローズアップされる機会が少ない、平たく言うと少々地味な車種でもある。
利益か? 顧客か? 顧客優先度の高い自動車メーカーはどこだ?
しかし、その実力の高さは、2000年代初頭にかけて数々の超小型ミニバンが世に送り出され、そのほとんどが消滅しても、ホンダ フリードとともに生き残ったことが示している。なぜ、シエンタは売れ続けるのか? 日本ならではの超小型ミニバンの歴史から紐解く。
文:片岡英明/写真:編集部、TOYOTA、HONDA
実は歴史深い超小型ミニバン、その先駆けは?
マルチパーパスの本格派ミニバンが誕生し、市民権を得るのは1990年代だ。
1990年にマツダはMPVを、トヨタはエスティマを発売している。そして1991年になると新世代ファミリービークルを掲げ、日産がバネットセレナを送り込んだ。このセレナの登場を機に、1ボックス離れが進み、小型車枠のミニバンが一気に増えていくのである。
が、それより早い時期に、我がニッポンには乗用車を発展させた優れたパッケージングのミニバンが存在したのだ。その最初の作品が日産のプレーリーで、これを追うように三菱はシャリオを発売した。
プレーリーは、短いノーズのなかにエンジンを収めた1.5ボックスデザインのマルチパーパスカーで、後席用のドアを大開口のスライドドアとしている。快適な居住スペースが自慢だが、ワゴン感覚の気持ちいい走りも売りのひとつだった。
「ミニバンはミドルクラス以上」という常識を破ったスパシオ
ミニバンは1ボックスワゴンと同じように3列目のシートを装備し、6名から8名の乗車を可能にしている。3列目でもそれなりの空間が必要だから、ミニバンはミドルクラス以上に限定されていた。
この常識を覆したのがトヨタだ。1997年1月、コンパクトカーのカローラのプラットフォームを用い、ハイトパッケージングとして3列シート、6人乗りを可能にしたカローラスパシオを投入する。
注目の3列目は狭く「ときどき3列」といったモノだったが、いざというときには重宝した。この3列目のシートは脱着式で、車外に持ち出して使うこともできた。ドアは乗用車と同じようにヒンジ式の4枚ドアを採用する。
また、同じ時期にトヨタは、ターセル/コルサ系をベースにホイールベースを延ばし、後席をスライドドアとしたラウムを市場に放った。
いち早くバリアフリー、ユニバーサルコンセプトを掲げ、ウォークスルーやスライドドアによる乗降性のよさ、横開きゲートによる使い勝手のよさを提案している。5人乗りだけの設定で、3列目のシートはないが、設計思想はミニバンに限りなく近い。
プレマシーなど一気に増殖した小型ミニバン
この2車のいいとこ取りをしたのが1999年春にマツダが送り出したプレマシーだ。カローラスパシオより少し大きい4.3mの全長だが、その分、3列目には余裕がある。
その気になればロングドライブできるほどのキャビンスペースを確保していたから子連れファミリーから愛された。
3列目は脱着式。移動させるのは重くて大変だったが、2002年のマイナーチェンジで格納式に変更されている。利便性は大きく向上し、これ以降は格納式サードシートが主流になった。2000年にはプレマシーより少し小さいディオンを三菱が送り込んだ。
21世紀になると全長が4.1m前後のミニミニバンが一気に仲間を増やすようになる。トヨタは2001年5月にカローラスパシオをモデルチェンジ。ホイールベースを延ばすとともにシートアレンジを変更し、実用性能をアップした。
そして、2003年9月にはスパシオより小さいシエンタを投入した。全長は4.1mと短いが、ホイールベースはスパシオより長く、キャビンも居心地がいい。後席の両側スライドドアも好評を博した。
積極的に個性的なマルチパーパスカーを送り出していたホンダも、ストリームの下のコンパクトクラスに、フィットをベースにした3列シートのミニミニバンを投入した。ヨーロッパの都市型電車をイメージした個性的なルックスのモビリオだ。
フィットからセンタータンクレイアウトを譲り受けているため、ボディサイズから想像するよりキャビンは広く、使い勝手も優れている。両側スライドドアの採用も女性ユーザーには好評だった。
一方、日産は2002年秋にキューブを第2世代にチェンジ。その1年後にはホイールベースを170mmストレッチし、3列目のシートを追加したキューブ キュービックを追加した。
全長は3.9mだから3列目は緊急用のスペースだったが、いざというときには7人乗ることができ、便利だった。
多数車種が消滅しても生き残ったシエンタ&モビリオの底力
モビリオと、その刺客としてトヨタが送り込んだシエンタが牽引車となり、ミニミニバン市場は一気に拡大した。
上級クラスのミニバンと比べると3列目の居住性と座り心地は今一歩だが、子育てファミリーにはバッチリのサイズで、ビギナーや女性も持て余さない。
後席は両側ともスライドドアで、上級グレードはリモコンやスイッチ操作で開閉できる電動スライドドアを装備する。
フロアはフラットだから乗り降りしやすいし、チャイルドシートなども無理なく装着できた。2列目に座る子どもと親の距離も遠くないから、子どもも不安感なくドライブを楽しめる。
シートアレンジは多彩で、3列目のシートは片手で畳むことも可能だ。また、運転席まわりや後席には収納スペースが多い。
カップホルダーはたくさんあるし、床下収納も荷物の整理には便利だった。電動開閉式が一般的になったことにより、重いスライドドアのイメージが払拭されている。
2008年5月、ホンダはモビリオをフリードへと進化させた。これを追ってトヨタはパッソセッテを、ダイハツはブーンルミノスを発売する。が、小ぶりなボディサイズに加え、ヒンジ式ドアだったこともあり、販売は伸び悩んだ。
長寿を誇ったシエンタは10年夏に生産を打ち切った。だが、2011年5月に大がかりな改良を行い、復活。その後も安定して売れ続けた。
ユーザーにとってジャストサイズで使い勝手がいいことは善で、電動スライドドアの優位性が揺ぎないことをシエンタは証明している。
シエンタはなぜ売れ続けるのか?
シエンタは2015年春まで生産が続けられ、7月に初のモデルチェンジを行った。2代目は高効率パッケージングに磨きをかけ、地球に優しいハイブリッド車も新たに設定した。フリードも2016年9月に第2世代にバトンを託した。
この2車は「ミドルクラスのミニバンでは大きすぎるし、運転にも苦労する」と考えるユーザーを上手に取り込み、先進安全装備も充実させたことで新たなファン層も獲得している。
どのジャンルも肥大化し、運転だけでなく駐車するのにも苦労するようになった今の時代だからこそ、コンパクトサイズのマルチパーパスカーが持てはやされているのだ。
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