最新車のエンジンオイル交換は概ね1万5000kmごと、または1年ごとが標準になっている。しかし本当にそれで安心なのか? 近年の低燃費エンジンやハイブリッド車は高性能化が進む一方、オイルにかかる負担はむしろ増えているケースも少なくない。はたして5000km交換は古い常識なのか、それとも今なお有効なのかを改めて検証してみたい。
文/ベストカーWeb編集部/写真:Adobe Stock(トップ画像=ronstik@Adobe Stock)
【画像ギャラリー】メーカー推奨のエンジンオイルの交換をサボったらどうなる?(6枚)
エンジンオイル交換時期はメーカー指定の距離、時期でいいの?
エンジンは回転時、内部の様々な部位で金属パーツが高速で擦り合わされている。ところが、金属を擦り合わせると摩擦によって発熱し、そのまま擦り続けると高温となって激しい「凝着現象」、いわゆる焼き付現象が発生。固着して動かなくなってしまう。
それを防ぐため、オイル(エンジンオイル)による潤滑が行われている。しかし、エンジン内部には燃焼によって生じるカーボンや不完全燃焼による不純物が滞積しやすく、それが原因で冷却効率が低下したり腐食・摩耗が促進するなどの難問も抱えている。
このため、エンジン内部をクリーンに保つ「洗浄作用」、サビから守る「防錆作用」、ピストンとシリンダの機密性を保つ「密閉作用」、温度を下げる「冷却作用」といった複数の能力も、エンジンオイルには求められる。それを実現するため、ベースオイルに様々な添加剤が配合されているのだ。
とはいえ、それらの効力も永遠には続かない。各部の潤滑中に摩擦などで高分子が剪断されて潤滑性能が低下。燃料の燃えカスや金属摩耗粉、水分の混入などによってオイル自体の性能が徐々に低下する。つまり、使用していれば劣化し、本来の性能を発揮できなくなってくるからだ。
そこで必要となるのが「定期的なオイル交換」で、クルマ好きの間では「3000~5000km毎」との認識が一般的。クルマのためを思えば、性能が劣化する前の早め早めの交換がベストだからだ。
確かに、2000年以前の指定オイルがSHやSJグレード指定の平成1桁以前の古いクルマは、5000kmも走るとエンジンの回りが重くなったり、異音を発するなど、明らかなオイル劣化の徴候が認められた。
しかし、地球温暖化を背景に環境対応への強化がなされている近年のエンジンは、普通に走らせている限り5000km程度で体感できるほどの劣化の徴候は認められない。エンジンは元より組み合わされるエンジンオイルの性能が劇的に進化しているからだ。
ゆえに平成2桁以降のモデルで、省燃費性と高いエンジン保護性能を両立させるために低摩擦性能や耐摩耗性能が強化された「SM/OW-20」といった低粘度の省燃費オイルが指定されたNAモデルで、指定オイル使用で年間走行距離が1万km程度のユーザーなら、1年に1度の交換サイクルでもなんら問題はない。
そのオイルの交換サイクル、カーメーカー指定の数値は設計時の想定や様々な走行テスト等から導き出された一般走行で問題なく走り続けることができる推奨値で、「どんな乗り方をしているか」や「ターボ搭載車であるかどうか」などの走行条件によっても変わってくる。
さらに、メーカーによって若干違いはあるものの、国産車では一般に以下のようになっている。
●ガソリンNA車/1万5000kmまたは1年
●ガソリンターボ車/5000kmまたは6ヵ月
●ディーゼル車/1万kmまたは1年
このように高温・高圧下で高回転するタービンが内蔵されたターボ車は交換サイクルが短いが、日産のR35 GT-Rのようにターボモデルでありながら「1万5000kmまたは1年」というケースもあるので、ターボ車ユーザーはオーナーズマニュアルで必ず確認を!
また、定期点検時の項目数にも影響する「シビアコンディション」に該当する使い方をしていた場合、次のように交換サイクルはほぼ半分となる。
●ガソリンNA車/7500km、または6ヵ月
●ガソリンターボ車/2500km、または3ヵ月
●ディーゼル車/6000km、または6ヵ月
「シビアコンディション」とは悪路走行が30%以上、走行距離が多い、山道など上り下りの頻繁な走行が30%以上といった、エンジンオイルに負担がかかる過酷な使用条件下における交換サイクルで、これに該当したら早めに交換する必要がある。
メーカー指定のエンジンオイル交換サイクルをさぼったら?
では実際に、メーカー推奨時期を超えて使い続けるとどうなるのか?
まず起きるのがオイルの酸化と粘度低下である。エンジン内部は高温環境であり、オイルは熱とせん断によって徐々に性能を失っていく。そこへ燃えカスや金属粉、水分が混ざることで、潤滑性能が落ちていく。
その結果、エンジン内部の摩耗が進みやすくなる。特に近年の小排気量ターボは高負荷運転が多く、オイル管理を怠るとターボ本体へのダメージにもつながる。
さらに怖いのがオイル消費の増加だ。古くなったオイルは蒸発しやすく、量が減る。油量不足になると油圧低下を招き、最悪の場合はエンジン焼き付きに発展する可能性もある。
実際、長距離無交換車両ではエンジン内部にスラッジと呼ばれる汚れが蓄積し、オイル通路が詰まるケースもある。こうなると修理費は数十万円規模になることも珍しくない。
もちろん最近の高性能オイルは昔より耐久性が高い。しかし、それでも「絶対に1万5000kmまで安心」というわけではない。メーカー推奨値はあくまで平均的条件下での基準であり、ユーザー全員に最適な数字ではないのだ。
今、ほとんどの新車のサービスマニュアルを見ると、エンジンオイルの交換時期は環境対応のため交換サイクルは長くなっている。メーカーによって微妙に異なるが、次のように規定されている。
●ガソリンNA車/1万5000kmまたは1年
●ガソリンターボ車/5000kmまたは6ヵ月
●NA軽自動車/1万Kmまたは6ヵ月
●ターボ軽自動車/5000kmまたは6ヵ月
高温かつ高回転となるターボ車はNAエンジンより交換サイクルは短く、さらに年間走行距離2万km以上、1回の走行が8km以下、30km/h以下の低速走行が多い、アイドリング状態が多い、といったシビアコンディションだった場合は以下のようにさらに短くなる。
■シビアコンディションの場合
●ガソリンNA/7500km、または6ヵ月
●ガソリンターボ車/2500km、または3ヵ月
●NA軽自動車/5000kmまたは3ヵ月
●ターボ軽自動車/2500kmまたは3ヵ月
編集部おススメのエンジンオイル交換サイクルとは
さて、クルマ好きの読者にはどのくらいのサイクルで交換するのがお薦めなのか? 結論からいえば、もっともバランスがいいのは「5000kmまたは半年ごと」ではないだろうか。
もちろん、これはスポーツカーでも軽自動車でも完全共通というわけではない。しかし現在の日本の道路事情や昨今の地球温暖化による猛暑日(35℃以上)、酷暑日(40℃以上)の増加を考えると、多くのユーザーはシビアコンディション寄りでクルマを使っているからだ。
都市部の渋滞、短距離移動、アイドリング時間の長さなどを考えると、メーカー推奨の1万5000kmギリギリまで引っ張るより、早めの交換のほうが安心感は圧倒的に高い。
特に交換を早めたいのは、軽ターボ、直噴ターボ、ミニバン、ハイブリッド車である。近年のエンジンは高効率化の代わりに内部負荷が大きく、オイル性能への依存度が高い。低粘度オイルを使用している車種ほど、オイル管理は重要になる。
また、「年間3000kmしか走らないから交換不要」という考え方も危険だ。オイルは走行距離だけでなく時間でも劣化する。短距離走行中心だと水分や未燃焼ガソリンが混ざりやすく、むしろコンディションは悪化しやすい。
一方で、高速道路を長距離巡航する機会が多い人は、比較的オイル劣化が穏やかな傾向にある。それでも1年放置よりは、最低でも年1回交換はしておきたい。
しかし、数千円のオイル交換を惜しんだ結果、エンジントラブルで数十万円コースになれば本末転倒だ。
エンジンオイルは「交換しても違いがわかりにくい消耗品」かもしれない。だが、長く快適に愛車へ乗り続けたいなら、もっとも効果的なメンテナンスのひとつであることは間違いない。5000km交換は古い常識どころか、今なお十分合理的な“愛車長持ち術”なのである。
メーカー別、エンジンオイル推奨交換サイクル
最後にメーカー別のエンジンオイル推奨交換サイクルを紹介しておこう。
※走行kmまたは期間いずれか早い方
※シビアコンディション:悪路走行が多い、走行距離が多い、山道など上り下りの頻繁な走行などの過酷な条件での使用
■トヨタ/エンジンオイル
ガソリン・ノンターボ/シビア7500km or6ヵ月。ノーマル1万5000km or1年
ガソリン・ターボ/シビア2500km or3ヵ月。ノーマル 5000km or6ヵ月
■日産/エンジンオイル
ガソリン/シビア7500km or6ヵ月。ノーマル1万5000km or1年
軽・ノンターボ/シビア5000km or3ヵ月。ノーマル1万km or6ヵ月
軽・ターボ/シビア2500km or3ヵ月。ノーマル5000km or6ヵ月
■ホンダ/エンジンオイル
ガソリン・ノンターボ/シビア5000km or6ヵ月。ノーマル 1万km or 1年
ガソリン・ターボ /5000km or6ヵ月
■三菱/エンジンオイル
ガソリン・ノンターボ/シビア7500km or6ヵ月 。ノーマル1万5000km or1年
ガソリン・ターボ/シビア2500km or3ヵ月。ノーマル5000km or6ヵ月
ディーゼル/シビア5000km or6ヵ月。ノーマル 1万km or1年
軽・ノンターボ/シビア5000km or3ヵ月。ノーマル 1万km or1年
軽・ターボ(i除く)/シビア2500km or3ヵ月。ノーマル5000km or6ヵ月
■スバル/エンジンオイル
ガソリン・ノンターボ/1万km or1年
ガソリン・ターボ/5000km or 6ヵ月
■マツダ/エンジンオイル
ガソリン/シビア7500km or6ヵ月
ノーマル 1万5000km or1年
ディーゼル/シビア5000km or6ヵ月。ノーマル 1万km or1年
■スズキ/エンジンオイル
小型、普通、軽・NA/シビア5000km or3ヵ月。ノーマル1万km or 6ヵ月
小型、普通、軽・ターボ/シビア2500km or3ヵ月。ノーマル 5000km or 6ヵ月
■ダイハツ/エンジンオイル
ガソリン・ノンターボ/シビア5000km。ノーマル 1万km or6ヵ月
ガソリン・ターボ/シビア2500km。ノーマル 5000km or6ヵ月
■メルセデスベンツ/エンジンオイル
メンテナンスインジケーター点灯時(走行距離で1万~1万5000km or 1年)
■BMW/エンジンオイル(BMW専用ロングライフオイル使用時)
サービスインターバルインジゲーター点灯時(走行距離で上限2万5000km or 2年)
■VW/エンジンオイル
最短でも1年 or 1万5000km。最長で3万km or 2年(フォルクスワーゲン規格オイル使用時)
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みんなのコメント
ただの文字数稼ぎ。
結構2年に1回(車検毎)しか交換しない車も多く、スラッジ溜まってるのがほとんどです。
サイクルスパンはどうあれ、交換大事です。