モーターショー [2025.10.08 UP]
スズキの見どころは軽ハイトEV!【ジャパンモビリティショー2025】
文●内田俊一 写真●スズキ
スタイリッシュなローダウンスタイル!ジムニー&ハイエース専用新型ルーフデッキ
スズキはジャパンモビリティショー2025に、2026年発売予定の軽BEVのコンセプトモデルやBEV商用軽バンコンセプトなどを出品する。
ちょうどいい軽BEV
Vision e-Sky
スズキの出展テーマは、新中期経営計画で発表したコーポレートスローガンであるBy Your Side。「お客様の立場になって」という想いが出展物ひとつひとつに込められている。
展示車は、4輪車8台、2輪車12台、電動小型モビリティ4台、船外機4機、事業展示の車両など合わせ合計35台を出品。
その中での注目は軽EVコンセプト、Vision e-Skyだ。2023年のジャパンモビリティショーに出品されたEWXをもとに、使いやすいところにUSBを配したり、収納をレイアウトしたりなど実際の使い勝手を踏まえてさらに開発。2026年に投入を予定しているモデルのコンセプトバージョンだ。このVision e-Skyは日常使いで気軽に乗れる日々の生活にちょうどいい軽EVと位置付けられている。
Vision e-Sky のキーワードは“Switch軽EV!”。これまで軽ガソリン車を愛用してきたユーザーが、使い勝手の良さはそのままに気軽に乗り換えられ、さらにEVになることでより快適に使えること。また、これからEVの購入を考えているユーザーは、軽EVは良いかもとか、このクルマがあればいままで以上に快適な生活ができそうと思ってもらえるような、毎日の生活に寄り添うパートナーなりたいという思いが込められている。
航続距離は軽の日常使いプラスアルファをカバーする270kmとされ、毎日の通勤・買い物や休日のちょっとした遠出にもちょうどいい距離感だ。また、自宅での充電をメインに考え、充電リット内の照明やインジケーターなど、日々の使い勝手を向上させる便利な機能も盛り込まれている。
その他、動く蓄電池としての活用できるほか、軽自動車ならではの取り回しの良さや、サステナブル素材を内外装に積極的に採用したデザインなどの特徴とともに、日常生活のパートナーとしてちょうどいい軽であるとスズキは説明する。
ターゲットは、自分に正直で自然体、自分の価値観を大切にして、肩肘張らず自分らしく生活を楽しむユーザーとされた。
デザインコンセプトはユニーク、スマート、ポジティブ。前向きで明るい気持ちになれるようなスズキらしく楽しいデザインを目指した。エクステリアは、気軽に日常使いができる小さなボディに魅力を凝縮。ポイントはシンプルでスッキリとしたEVらしいボディ造形だ。3本ラインの特徴的な灯火類、先進的に親しみやすいキャラクター表現。軽快さを表現したフローティングルーフと、浮島のように色分けしたCピラーが特徴だ。
インテリアも、エクステリアと同じコンセプトで包み込まれる心地よさと使いやすさを両立。軽やかにフローティングさせたインパネやコンソールの造形。運転席に座ったときに一番に目に入るトレイとモニターがつながるアイコニックさ。そしてサステナブル素材を積極的に採用した明るく開放感のある雰囲気のインテリアに仕上げられた。
ボディサイズは全長3395mm、全幅1475mm、全高1625mmと軽ハイトワゴンカテゴリー。イメージとしてはワゴンRが一番近そうだ。ただし、「ワゴンRのEVではなく新しいモデルとして考えている」と関係者は語る。
なぜ軽ハイトワゴンなのか。「取りまわしのしやすさや、視界の良さ、乗り降りのしやすさなどを踏まえると、多くのユーザーに使ってもらえる形だから」だという。そこでまずは軽ハイトワゴンタイプでの提案になったようだ。
はたらく商用軽バンBEV
e EVERY CONCEPT
商用軽バンのEVモデル、eエブリイコンセプトはスズキ、ダイハツ、トヨタの3社で共同開発したBEVだ。前回のジャパンモビリティショー2023で初公開したモデルの意匠をアップデートし、再度展示する。
商品コンセプトは、環境に、地域に、あなたに優しい、『はたらく』商用軽バンBEVだ。近年、カーボンニュートラル宣言をする企業が増加していることを背景に、カーボンニュートラルの実現を目指す法人をターゲットカスタマーとしている。
荷物がたくさん積める軽バンの良さはそのままに、EVならではの静かな走りによるさらなる使い勝手の向上と、非常時にはクルマの電気を外部に供給し地域社会にも貢献できることの2つを特徴とされた。
フロントはスズキ専用のバンパーデザインを採用。現行エブリイのバンパー形状と類似性のあるデザインテーマとしながら、全体に水平基調に見えるような専用デザインを採用。
また、今回の参考出品車はデカールに幾何学柄のデカールを用いることで未来へ進むデジタルな雰囲気を表現。グラフィカルながっちり感で商用車としての堅実さを示しつつ、加飾使いや三角が拡散していくデザインで華やかさを加え、様々な場所で活躍してほしいという期待を込めたデザインにアップデート。
さらに、クルマだけでなくサービスでも働くに寄り添ったスズキのアンサーを提案。これは社有車管理の困りごとをDXで丸ごと解決するスズキフリートだ。2023年3月よりサービスを開始しており、専用デバイスを車両シガーソケットに差し込むだけで、社有車を簡単にコネクテッド化することが可能だ。日報の作成や走行記録、予約管理などの困りごとを抱えているユーザーに向け、DXを活用した解決策を提案している。今回のショーではeエブリイコンセプトとスズキフリートのコラボレーションによって、働く現場がより快適になる様子をeエブリイコンセプトのブースにて動画で紹介するという。
そのほか9月16日に発表したeビターラやクロスビーなども展示される。
バイオエタノールで走るフロンクスやビクトリスCNGも
またFFV(フレキシブル・フューエル・ビークル)への対応としてフロンクスFFVコンセプトを出品。植物から作られたバイオエタノールを使って、地球温暖化の原因となる二酸化炭素を減らす取り組みとし、フロンクスFFV以外にも二輪車ではGIXXER SF 250 FFVと船外機のDF60A FFVコンセプトが共通のラッピングで出品される。
スズキならではのものとしては、インドにおいて牛糞を原料にしたカーボンニュートラル燃料(CBG)の製造供給事業への挑戦も行っている。CNG車と牛糞というありもの同士を組み合わせることでエネルギーの極小化の方につながると考えた取り組みだ。インドの牛10頭の1日の牛糞から生産できるCBGでCNG車1日分の燃料になる試算とのこと。インドの牛は3億頭いるといわれていることから、高いポテンシャルが期待されている。そこでジャパンモビリティショー2025ではスズキがインドの乳業組合と一緒に建設しているバイオマスプラントの200分の1ミニチュアモデルや、インドで既に販売しているCBGでも走行可能なCNG車として、9月3日に発表されたビクトリスのCNGが展示される予定だ。
バイオガスプラントのミニチュア模型
二輪車ではe-VanVanコンセプトをはじめとしたコンセプトモデルやや40周年を迎えたセニアカー、次世代四脚モビリティのMOQBA PROTOTYPE2などが出品される予定である。
e-VanVanコンセプト
セニアカー
MOQBA PROTOTYPE2
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