2021年のスーパーGT、GT300クラスでチャンピオンに輝いたのは、61号車SUBARU BRZ R&D SPORTの井口卓人と山内英輝だった。
61号車スバルBRZは、スーパーGTの2021年最終戦富士をランキング首位で迎えた。そして予選ではポールポジションを獲得し、磐石の状況で決勝レースを迎えた。
■スーパーGT第8戦富士|決勝レポート(GT300):61号車スバルBRZ悲願の王者に輝く。60号車GRスープラが今季2勝目
その決勝レースは井口がステアリングを握ってスタート。レース序盤こそリードしていたものの、第1スティント終盤には60号車SYNTIUM LMcorsa GR Supra GTに抜かれてしまった。
「土曜日からずっと好調を維持していたので、日曜日が終わるまでこの流れを途切れさせたくないと思っていました。チャンピオンのことは考えず、とにかく1秒でもコンマ数秒でも、なんでも良いのでギャップを作りたいという思いでスタートしました」
井口は決勝レース後に行なわれた記者会見でそうレースを振り返った。
「最初はリードを広げられたんですが、セーフティカーが入った後はなかなか思い通りにいかず、苦しい展開になってしまいました。その後の山内選手が本当に素晴らしくて、強い気持ちでレースを続けてくれて、表彰台に繋がったと思います。チームのみんなで勝ち取った表彰台とチャンピオンだと思います」
一方で山内は、”約束が違った”と語り集まった記者たちを笑わせつつ、次のようにレースを振り返った。
「スタートは井口選手に行ってもらいましたが、約束と違って、全然マージンがありませんでした。ピットから出たら前にたくさんのマシンがいて、この展開はキツいなと思って走りました」
そう山内は語る。
「でも、攻める姿勢を忘れずに走りました。やっぱりドライバーたるもの、前に他のマシンがいるとすごく腹が立つので、抜いていこうと必死でした。でも88号車(JLOC ランボルギーニ GT3)や4号車(グッドスマイル 初音ミク AMG)のブロックがすごくうまくて、なかなか前に出ることができませんでした。それでも最終的には前に出て、表彰台を取れてすごく良かったです」
結果的にチャンピオンを取れたものの、61号車BRZは今季から新型に変わっている。これを速く走らせるのは難しい中、チャンピオンを獲得できたのは、チーム全員の努力の結果だと、小澤正弘総監督は語る。
「新型車を速く走らせるのはなかなか難しい。そんな中、冬のテストからマシンの速さだけは確保できましたが、前半戦は本当に苦労しました」
そう小澤総監督は語る。
「自信を持って臨んだ鈴鹿で痛い想いをしましたが、そこをターニングポイントとして、みんながひとつになってクルマ作りをすることができた結果が、このチャンピオンに繋がったと思います」
「応援してくれたファン、スポンサーの皆様に感謝しつつ、皆さんのためにもチャンピオンを獲れてよかったと思います」
井口も、シーズン序盤はなかなかBRZを乗りこなせていなかったようだ。
「開幕してからの数戦は、僕自身もなんとなくBRZと仲良くなれなくて、苦しい前半戦を過ごしていました」
そう井口は振り返る。
「それをチームと山内選手がフォローしてくれました。なんとしてでもチャンピオンを獲りたかったですし、その中でチャンピオンを獲ることができて、このスバルのチームって最高だなと改めて思いました。そしてファンの皆さんあってのスバルだと思いますので、またこのチームで強くなって戻ってきたいです」
山内にとっては、チームとしてはもちろん、個人的にも忘れられないチャンピオン獲得になったという。
「本当に長い時間がかかりました。苦労した年が2~3年続いた時もありましたが、その時をうまく過ごせたのが重要だったと思います。その時もファンの皆さんがたくさん応援してくれました」
そう山内は語る。
「チームの方々も本当に諦めなかった。そして小澤さんが入ってくれてから、エンジン部門もSTIも、そしてスバルの皆さんもすごく努力してくれているのを、間近で見ていました。その姿を見て凄いなと思いながら、その環境で走れるという喜びを感じながら走れた1年だったと思います」
「そして個人的には、今年は子供が生まれて、妻が頑張って出産してくれました。そういう僕にとって大切な年にこうやってチャンピオンを獲れたというのが、すごく嬉しいことです」
「家族のみんなに感謝したいですし、ファンの皆さんにも、そしてこのBRZを走らせることに関わってくれた皆さんにも感謝したいです」
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