”新天地”フェラーリF1に慣れつつあるハミルトン。バーレーンは最大の学びに「徐々にルクレールに近付けている」

　今季からフェラーリに加入したルイス・ハミルトンは、跳ね馬のF1マシンへの理解を深めつつあるようだ。

　ハミルトンは2024年限りで12シーズン在籍してきたメルセデスを離れ、今季からフェラーリへと加入した。慣れ親しんだ環境が変わるのは、ハミルトンにとっては今季最大の課題であろう。ハミルトンは通算7回と、史上最多タイのチャンピオン獲得回数を誇る、F1で最も成功したドライバーのひとりだ。そんなハミルトンでも、チーム移籍を乗り越えるのは簡単ではない。

「12年間の協力関係を、2週間とか2レースで置き換えることなんてできないよ」

　そう語るのは、ハミルトンを迎え入れることになったフェラーリのフレデリック・バスール代表である。

「確かに改善が必要だが、それはチームやパドックにいる全員に言えることだ。このF1というスポーツには、より良い仕事をしようとするDNAがある。ルイスが『よし、自分自身も改善して、マシンに適応しなきゃいけない』という姿勢を持っているのは、良いことだと思う」

　バスール代表は、さらに続けた。

「我々はマシンをルイスに適応させるべく作業を進めていくが、彼自身も進歩を遂げなければいけない。そして我々にとってこれは、ポジティブで非常に建設的な形で行なわれると考えている」

　このバスール代表の発言は、バーレーンGPの土曜日、ハミルトンが9番手に終わった予選後のモノだ。しかし決勝レースでハミルトンはペースを上げ、チームメイトのシャルル・ルクレールのすぐ後ろ、5位でフィニッシュ。バスール代表は決勝後、次のように褒め称えた。

「土曜日のルイスのディレクションには感謝している。そして、少しでも彼を後押ししようと、全力を尽くした。そして日曜日の彼は非常に良い状態だった」

「パフォーマンスを判断する際には、冷静さを保たなければいけない。なぜなら、ほとんど何もせずに良い週末を酷い週末に変えてしまうこともあるし、またその逆もあるからだ」

　ハミルトンも、フェラーリのマシンに対する理解度は、バーレーンGPで一歩進んだと考えているようだ。

「中間のスティントでは、マシンとの一体感がすごく感じられた。自分のドライビングスタイルが、あの瞬間にはうまく機能しているように感じた」

　レース後、ハミルトンはそう語った。

「だから今日、そして今週末は本当に多くのことを学んだ。本当にたくさんね。おそらく、他のどの週末よりも多く学んだと思う」

「重要なのは、毎週末この状況に戻ってこられるようにすることだ。僕らのマシンには、明らかにこれまでとは異なるドライビングスタイルが必要だ。でも、徐々にそれに適応できていると思う」

「それからセットアップもそうだ。ここ2週間はシャルルからかなり離れていたんだけど、徐々に彼に近付けている」

「もしもっと良い形でスタートすることができて、今週末に学んだテクニックを活かすことができれば、良い結果が出ると思う」