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フェラーリがランキング2位浮上でもプレッシャーが解消されないバスール【F1チーム代表の現場事情】

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フェラーリがランキング2位浮上でもプレッシャーが解消されないバスール【F1チーム代表の現場事情】

 大きな責任を担うF1チーム首脳陣は、さまざまな問題に対処しながら毎レースウイークエンドを過ごしている。チームボスひとりひとりのコメントや行動から、直面している問題や彼のキャラクターを知ることができる。今回は、フェラーリのフレデリック・バスール代表が過ごしたエミリア・ロマーニャGP、モナコGP、スペインGPの3連戦に注目した。

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フェラーリがランキング2位に浮上「表彰台は予想外」とルクレール。ハミルトンは予選との落差に困惑

 多くのF1チーム代表にとって、3連戦が終わったのは喜ばしいことである。なぜなら、3週連続でレースが開催されると、問題や課題が発生する機会が非常に多くなり、さらに、それらに対処する時間がほとんどないからだ。

 マイアミGPはフェラーリに大きな失望をもたらし、フレデリック・バスール代表は少なからずプレッシャーを受けていた。これまでバスールは、フェラーリを勝利への道に戻すために全体としては非常に優れた仕事をしてきたが、マイアミではパフォーマンス不足により、決勝でウイリアムズにすら上回られる結果となった。

 バスールはまた、マラネロに戻り、ルイス・ハミルトンとシャルル・ルクレールを巡る状況を沈静化させなければならなかった。ふたりとも、レース中の戦略やポジション交代の扱いに関して、チームの対応に満足していなかったのだ。ドライバーたちは互いに対して怒っていたわけではなかったが、チームの仕事のいくつかに対しては批判的だった。

 こうした状況に陥った直後にホームレースが行われるというのは、フェラーリにとって実にタイミングが悪かった。再び不調の週末になれば、プレッシャーがより大きくなることは分かり切っていた。そしてイモラでの土曜の夜、バスールは最悪の事態を恐れていたに違いない。

 ドライバーふたりともが予選Q2で敗退し、トップ10圏外からのスタートとなったのだ。オーバーテイクが非常に難しいとみられるサーキットであるため、楽観的には考えられなかったが、バスールは、金曜のフリー走行で見せた強いレースペースを基に、レースで最大の成果を引き出すことにチームを集中させた。

 それが奏功してか、決勝で良いリカバリーを果たせたことで、フェラーリ内部の雰囲気は大きく好転した。ふたりは異なる戦略でポジションを上げ、ハミルトンは最終的に4位、ルクレールは6位を獲得。トロフィーこそなかったが、楽観的になれる理由は確かに存在していた。

 しかしバスールとドライバーたちは、次戦モナコでの競争力について控えめな見通しを語っていた。チーム代表として期待値を抑えておいたことで、ルクレールのパフォーマンスは非常に印象的に受け止められた。予選ではポールポジションに近付き、レースでは2位でフィニッシュしたのだ。

 フェラーリはこのパフォーマンスを「一度限りのもの」と呼び、実際にスペインでは両ドライバーとも同様の速さを見せられなかった。それでもバスールは、ハミルトンが予選で5番手、ルクレールが7番手という結果に対して前向きな見解を示し、ルクレールがタイヤを温存する戦略を採ったことが、レースで鍵になる可能性があると語っていた。

 その見解は正しかった。ルクレールは、終盤のセーフティカー後の再スタートの後、マックス・フェルスタッペンを抜いて表彰台の最終スポットを手にしたのだ。フェルスタッペンがハードタイヤで戦ったことでルクレールは有利になったが、仮にその幸運がなかったとしても、ルクレールは4位でレースを終えていたはずだった。

 ルクレールが3位を獲得したことにより、フェラーリはコンストラクターズランキングにおいて、レッドブルとメルセデスの両方を抜いて2位に浮上した。

 シーズン序盤、フェラーリの戦績は一貫性に欠けており、中国で2台揃って失格になったこともあって、ランキング4位にとどまっていた。しかしこの3連戦で安定感を見せ、前進するための手応えを得ることができたといえるだろう。

 ただ、バスールにとってすべてが順調というわけではない。ハミルトンが今も苦労し続けているからだ。

 ハミルトンは、自分自身に高い期待を抱くドライバーであり、チームメイトに負けることに慣れていない。ドライバーズランキングで両者の差は23ポイントしかないとはいえ、ハミルトンはまだ一度も表彰台に立っておらず、スペインではマシンの操縦性に苦しんでいた。

 フェラーリのスペインGPでの戦いぶりを手放しで称賛したいバスールだが、ハミルトンの苦戦が、そうしたポジティブな面をかき消してしまうことを理解しており、早急に問題を解決できるよう、チームとして支援する必要があると認識している。

 この後、シーズン終盤まで3連戦がないことで、フェラーリとハミルトンが問題点に集中するための時間が多少は確保できる。それによって進歩が見られれば、バスールの抱えるプレッシャーはさらに和らぐことになるだろう。

[オートスポーツweb 2025年06月08日]

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みんなのコメント

2件
  • dor********
    フォーミュラーワンという競技のロールモデルがフェラーリという企業であり無遅刻無欠席で模範的なチームです、興行での取り分も一番多く勝てれば一番だが欠席しない事を求められるのがフェラーリで何がなんでも勝つんだ!とはトーンが違いますからねエンツォの時から
  • a7t********
    クセのあるフェラーリのマシンに対してハミルトンはよく頑張ってると思うよ
    メルセデスはアントネッリが足引っ張ってるね
    まぁ仕方ないけどさ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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