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動力源はまさかのロケット! 未来を行き過ぎていた実験車「オペルRAK」のハンパない存在感

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動力源はまさかのロケット! 未来を行き過ぎていた実験車「オペルRAK」のハンパない存在感

100年近く前に作られた人類初の「ロケットカー」

 ガソリンや軽油を使った内燃機関の自動車が、徐々に電気自動車に取って代わられつつある今日この頃。その長い歴史のなかでさまざまな動力源が試されてきた自動車だが、なかでもこれは例外中の例外。1920年代にオペルが実験的に開発を続けていた「ロケット・エンジン」を使ったクルマたちである。ここでは、マカオのミニカー・ブランド「スパーク」からかつて発売されていたミニカーを肴に、その時代を振り返ってみたい。

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日本に再上陸するオペルはドイツの科学とともに歩んできた

 日本では久しく正規輸入が途絶えていたが、ステランティス連合傘下となったいま、再度の日本市場上陸がアナウンスされているオペル。同社は1862年、ドイツのアダム・オペルがミシン製造から事業をスタートさせ、その後ミシンに続き自転車の製造にも進出。さらに1897年にはリュッセルスハイムに自動車部門を立ち上げ、オペルはいよいよ自動車製造に進出し、1898年には最初の試作車が完成する。さらに1902年の8/9HPオペル・ダラックの成功を皮切りに、ドイツ最大の量産車メーカーへの道を歩み始めるのである。

「際立った個性はないが、手堅い設計で信頼性の高い実用車」というのが歴代オペル車の印象ではあるが、1920年代まではモータースポーツにも積極的で、各地のレースにも果敢に参戦し好成績をおさめた。また、第一次世界大戦後の1920年代には欧米各国で陸海空問わず、「未来の交通機関」のさまざまな実験が行われ、そんな時代にオペルが取り組んだのがロケット動力の研究だった。今回ご紹介するのは、そんなオペルの「ロケット自動車」たちである。

ゴダードが初のロケット打ち上げに成功した2年後の意欲的な実験

 科学ジャーナリストのマックス・ヴァリエ、火薬技術者のフリードリヒ・ヴィルヘルム・サンダーらとともにフリッツ・フォン・オペル(創業者アダム・オペルの息子)が作ったロケット推進自動車が、オペルRAKシリーズである。RAKとはドイツ語のロケット(Rakete/ラケーテ)から。まず最初に製作されたのは、オペルの単座レーシングカーのエンジンを取り外し、シャシー後部に12基のロケットを取り付けたオペルRAK.1。1928年4月の実験当日はロケットが本調子ではなかったものの、同社のテスト・コースで約100km/hの速度を記録し、大きな話題となった。

第2弾は24基の固形燃料ロケットで爆進

 RAK.1の成功に勇気づけられたオペルは、すぐに次のマシンの製作に取り掛かる。まるで魚雷のような専用ボディの側面に、ダウンフォースを発生させる大きなウイングが目を引くオペルRAK.2がそれだ。RAK.1のテストからわずかひと月後の1928年5月、今度はベルリンのアヴス・サーキットを舞台にテストが行われた。パワーアップされた24基の固形燃料ロケットと専用ボディにより、オペルRAK.2はRAK.1の記録を大幅に上まわる200km/hを記録した。ちなみにテスト・ドライバーを務めたのは、フリッツ・フォン・オペル自身であったという。

そして最速の「ロケット鉄道車両」へ

 オペルRAK.1、RAK.2に続いて開発されたのがオペルRAK.3。しかしこのRAK.3はもはや「自動車」ではなく、レールの上を走る鉄道車両へと進化していた。RAK.3はハノーバー近郊の5kmの直線軌道で最高速度250km/h以上を達成。当時の鉄道車両の速度記録を打ち立てた。

ロケットの可能性を模索していた時代の証人

 この「RAK計画」は自動車の未来ではなく、ロケット技術の未来を目指したプロジェクトだったことが進化の過程からうかがえる。鉄道車両となったRAK.3と、その後継機RAK.4、そして、クルマと同じオペルRAK.1と名付けられたロケット滑空機の一連の実験をもって、オペルのロケット動力プロジェクトは終焉を迎えた。

 1927年に創設されたドイツ宇宙旅行協会の創設者のひとりでもあったマックス・ヴァリエ。彼が夢見た、ロケットによる人類の宇宙旅行。その夢の小さな第一歩となったのが、オペルのロケット自動車「RAK」だったのだ。

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みんなのコメント

3件
  • プリウスなんて、電気とエンジンを利用したミサイルでしょ。
  • 第一次大戦の敗戦により、ドイツ国内では軍用機や戦車、潜水艦の開発ができなくなったが、軍部ではこっそり外国に国策会社を設置したり、ソ連との密約によりソ連領内で開発したりして、技術の継承・発展に腐心していた。だがロケット技術に関しては、小型の実験ロケットがようやく作られ始めたばかりで、連合国の監視は極めて緩かった。マックス・ヴァリエたちが堂々と実験に勤しむことができたのは、たぶんに幸運によるものだ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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