映画という文化と共に進化してきた特撮・特殊効果は、巨大なスクリーンに現れる想像上のモンスターたちに、驚異的な変化をもたらしてきました。モンスターを実在する物体として表現する特殊造形の時代から、デジタルで表現する時代へと突入した今、その魅力と背景を改めて紐解いていくドキュメンタリーが『クリーチャー・デザイナーズ ハリウッド特殊効果の魔術師たち』です。
映像作品におけるモンスター/クリーチャーは、名作と呼ばれる誰もが知る作品の制作過程で、匠の技術を持つ人々の試行錯誤によって生み出されてきました。本作ではSF/ホラー映画の名作を手掛けた監督や著名アーティスト、クリエイターたちのインタビューと当時の貴重映像の数々から、「現代のフランケンシュタイン(※怪物の創造主)」とも言える関係性を映し出していきます。
そんな本作には、『スター・ウォーズ』シリーズ(1978年ほか)の特撮を担当したフィル・ティペットと、『ジュラシック・パーク』(1993年)にCGを持ち込んでティペットに衝撃を与えたスティーブ・ジョンソン、『ハウリング』(1981年)と『狼男アメリカン』(1982年)の製作・公開時期がバッティングしたジョー・ダンテ(『グレムリン』ほか)とジョン・ランディス(『ブルース・ブラザース』ほか)、その2作の特殊メイクを担当したリック・ベイカー(『メン・イン・ブラック』ほか)などなど、著名クリエイターが多数出演します。
他にも、『アビス』(1989年)や『ターミネーター2』(1991年)、『スターシップ・トゥルーパーズ』(1998年)、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズ(2001年ほか)など数々の映画で活躍してきた有名なアーティストたちによる貴重な証言は、映画におけるSFX/VFXの進化=テクノロジーの進化という意味でも重要なものばかりです。
ジャンル映画では、有機物だけでなく無機物もモンスター化されてきました。『ターミネーター4』(2009年)に登場する「モトターミネーター」はドゥカティの協力のもと制作され、バイクとロボットとモンスターをミックスしたような迫力で存在感を放っています。また、アメコミ映画『ゴーストライダー』(2007年)に登場する、ドクロの形相に変形するハーレーダビッドソンも印象的でした。
“あの映画のあのキャラクター”誕生の秘密を知ることができる、映画好き必見のドキュメンタリー『クリーチャー・デザイナーズ ハリウッド特殊効果の魔術師たち』は、2022年5月20日(金)より全国公開中です。
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