オンロードの快適性にプラスして雪道の逞しさを実感
内燃機関のクルマと同じように、BEVもいろんなカテゴリー分けができるようになってきた。街中走行を前提にした急速充電受け口を持たないシティ派がある一方、大型バッテリーで一充電当たりの走行距離を700kmとか800km確保したモデルもある。もちろん、その中間も。つまり、各社がBEVをリリースすることでバリエーションが豊富になり、ユーザーに最適なモデルが選べるようになってきたのだ。BEVだから街中専用とかいう概念はもうない。
【最新モデル試乗】ボルボEX30クロスカントリーは、大自然に踏み込めるツインモーターBEV。パワフル&インテリジェントな存在感がいい
ここで紹介するボルボEX30クロスカントリーもそんな中の1台。クルマのキャラでどんな使い方が似合うかが想像できる代物になっている。
このクルマの特徴は、アウトドアに振っている点。「クロスカントリー」のネーミングからもわかるように、ボルボが得意とするアウトドアの性格を植え付けた。1990年代に誕生したV70クロスカントリーの系譜に連なる1台である。具体的にはベースとなるEX30の車高を上げ、標準でサイドウオールの厚みを増した19インチタイヤを履かせる。ディーラーopで18インチのオールテレインタイヤの選択も可能だ。最低地上高はスタンダードモデル+20mmの195mm。ドライバーズシートに座って視線が高くなったのがわかる。そして、フロントフェイスと前後フェンダーに泥除け的ガードを装着する。彼ら得意の手法だ。ルーフキャリアはオプションだが、ホームページをご覧いただければわかるように、スクエアなバケットタイプを装着するイメージ。まさにアウトドアに行きたくなるBEVである。
試乗したEX30クロスカントリー・ウルトラツインモーターパフォーマンスはフロントに156ps、リアに272psのモーターを搭載する。数字からもわかるようにデフォルトになるのはリアモーターで、それを補うようにフロントが駆動するAWDだ。最高出力は合計428ps。カタログ上の一充電当たりの巡航距離は500kmとなる。普通充電と急速充電に対応するので、ロングドライブでも安心だ。
雪道での走破性は信頼感抜群。しかもBEVは長距離でも疲れない
そんなEX30クロスカントリーで雪山へ行ってきた。タイヤをスタッドレスに履き替えてのテストドライブである。装着タイヤは横浜ゴムのアイスガード。雪上と氷上での優れたパフォーマンスはもちろん、乗り心地のよさでも知られる人気スタッドレスタイヤだ。サイズは235/50R19である。
走った印象だが、まずはドライ路面での印象をお届けしよう。都内出発から新潟県の妙高までの道のりは一般道はもちろん高速道路もすべてドライだった。ドライブモードはデフォルト設定の「スタンダード」。走行モードは、このほかにエアコンと協調制御する「レンジ」と、クイックレスポンスの「パフォーマンス」がある。で、感じたのは、乗り心地のよさと運動性能。走り味はスタッドレスタイヤを装着しても標準タイヤとほとんど変わらなかった。コンパウンドの嫌な硬さはキャビンに伝わらず乗り心地は終始快適。バネ下が重く感じる場面はなかった。以前標準タイヤのモデルを走らせたが、そのときの印象と同じ。床下のバッテリーの重さとスタッドレスの硬さと重さがネガティブに働かないかと心配したが、それは取り越し苦労に終わった。ただ、タイヤの外径はそのままに、さらに17インチくらいまでインチダウンしたら乗り心地はもっとよくなるだろう。しかもその場合スタッドレスに履き替えたり、擦り減ってリプレイスしたりしてもタイヤのコストが抑えられる。要するにインチダウンは一石二鳥にも三鳥にもなるのだ。「クロスカントリー」と名付けられた時点で、大径ホイールはいらないはずだ。
雪上での走行に不安はなかった。トルクがしっかりスタッドレスタイヤに伝わり、力強いトラクションでクルマを前へ押し出してくれる。この時、フロントのモーターがよく働いていた。前輪が雪をかき分ける動きが頼もしかった。下り坂でもしっかり駆動力を制御してくれてクルマを安定させていたのがわかる。195mmの最低地上高もいい感じ。雪深くなると轍の段差が大きくなるが、そこでクルマの動きが悪くなることはなかった。
というような、東京港区から妙高ルンルンスキー場までの片道3時間半の約300kmに及ぶドライブだったが、終わってみると意外に体が疲れていないことに驚いた。あまり意識したことはなかったが、内燃機関の振動と音がないと目的地についてもこんなに元気なんだと感心してしまう。とくに今回は高速道路が長く、そこをACCで走らせたことも関係しているだろう。疲れないことはBEVの大きなメリットに違いない。多くのゴルファーが知ったら買い替えてしまいそうな話だ。目的地についてから体を動かす人には朗報だ。
この他では他のボルボ同様Googleが搭載されているのも使い勝手がよかった。普段からGoogleマップを使っているので親しみやすい。それに音声入力をクルマに特化しているのだろう。目的地に関してかなり正確に聞き取ってくれる。
それにしてもEX30クロスカントリーは雪山が似合った。スタンダードのEX30が都会的なイメージな分、そのギャップにはほれぼれする。このあたりはボルボの得意技。先ごろ登場したEX60やそれに続くEX90の日本仕様にもクロスカントリーを期待している。
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