第88回アカデミー賞で作品賞を受賞した『スポットライト 世紀のスクープ』(2015年)のトム・マッカーシー監督最新作『スティルウォーター』は、マット・デイモンを主演に迎えたサスペンス・スリラーです。フランスのマルセイユを舞台に、異国の地で殺人罪により投獄されている娘の無実を証明するため、真犯人探しに奮闘する父親の姿を描きます。
映画冒頭、デイモン演じる主人公ビルは娘を救うためフランスに向かいますが、初めてのことではなく、すでに数年間も収監されている娘アリソン(アビゲイル・ブレスリン)とたびたび面会し、なんとか有罪判決を覆そうと尽力していることが分かります。しかし、彼はそれまでアメリカから一歩も出たことがなかったような内陸部の労働者であり、言葉の通じない異国の地で様々なことに苦労しているのです。
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9年の実刑を受けたアリソンを正攻法では救えないことを思い知らされ、再調査を求める娘の期待にも応えられず無力感に苛まれるビル。探偵に捜査を依頼しようにも高額な費用をポンと払える貯えがあるはずもなく、ついに自力で何とかしようと無謀な手段を選んでしまいます。そしてマルセイユでつかの間の平穏を得たかのように見えた終盤、突如として訪れるサスペンス展開は息をするのも忘れてしまうほどの緊張感です。
マッカーシー監督は“地中海の暗黒小説”から本作の着想を得たと語っていますが、2007年にイタリアで起こった殺人事件から影響を受けているようにも見えます。その事件については本作の鑑賞後に、Netflixで配信されているドキュメンタリー作品を観れば概要が把握できるでしょう。しかし、偶然の出会いから捜査の協力者となるヴィルジニー(カミーユ・コッタン)とその娘マヤとの交流などを見ていると、この物語は実際の殺人事件とは大きな繋がりはないように思えてきます。
風光明媚な港町マルセイユを彷徨う、フランネルシャツと穿き古したデニムにトラッカーハットを被った、ガッシリ体型にバルボ髭のアメリカ人男性……。デイモンは撮影に入る前に、オクラホマで石油採掘に従事する“ラフネック”と呼ばれる労働者階級の人々と交流し、服装だけでなく政治信条や話し方などをリサーチさせてもらったそうです。
SUVの行動範囲で見聞きできる物事だけを頑なに信じ、リベラル層の正論を拒絶する。そんな保守的な人々を粗野な無教養者と見下し、クールなライフスタイルを喧伝する。しかし、それまでの常識が通用しない、言葉も通じない見知らぬ土地で深刻な事態に陥ったとき、私たちは右も左も信仰も関係ない丸裸の、まったく同じ一人の人間です。つまりマッカーシー監督が観客に伝えようとしているのは、未曾有の分断に陥っている現代社会に足りない“相互理解”なのではないでしょうか。
『ジェイソン・ボーン』シリーズ(2002年ほか)ではヤマハのジョグからホンダのモンテッサ・コタ4RT260まで乗り回していたデイモンが、労働者階級の中年男性になりきって愚直に真実を求める姿を描く『スティルウォーター』は、2021年1月14日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ、渋谷シネクイントほか全国公開です。
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