この記事をまとめると
■マイナーチェンジしたメルセデス・ベンツAクラス/Bクラスに試乗した
マイナーチェンジでさらにスポーティな意匠になったメルセデス・ベンツAクラス! Cセグに初搭載となるARナビも標準装備
■Aクラス/Bクラスともにスタイリングはスポーティにブラッシュアップされた
■両モデルとも1.4リッター直4ガソリンと2リッター直4ディーゼルを用意、どちらも素直に“いいな”と思わされた
キープコンセプトながら中身は大幅に正常進化
メルセデス・ベンツのエントリークラスにあたるコンパクトハッチのAクラス、そしてコンパクトMPVのBクラス。どちらもメルセデス・ベンツの販売面では欠かすことのできない、主力といえるモデルだ。このふたつのモデルにマイナーチェンジが行われた。どちらも全体的な印象は先代からそう大きくは変わらないものの、実車を前にしてみると、内外装のディテールやデジタルデバイスの進化など、なかなか有効に感じられる変更点が多かった。
Aクラス、Bクラスともに、スタイリングはよりスポーティになった印象だ。最新のCクラスと同じ系列のシャークノーズっぽいフロントフェイスとキリッとしたヘッドライトのおかげで、精悍さを増している。存在感はあるしプレミアム感のようなものも手に入れてるように思うが、それでも威圧感のようなものが持たされていないのは、クルマとしての立ち位置を考えてのサジ加減なのだろう。ちょうどいいところにはまってる感じがして、そのあたりは上手いな、と思う。
インテリアは、ちょっとスッキリしたかな? という印象だ。AクラスとBクラスではドア内張りのデザインやコンソールの加色などに違いはあるのだが、どちらも基本的なレイアウトは先代を踏襲してるものの、センターコンソールにあったインフォテインメントシステムを操作するためのタッチパッド類がなくなって、代わりにドライビングモード切り換えなどのスイッチ類や小物入れなどが配されている。
世代なのか僕自身がついていけてなかっただけなのか、タッチパッドは思ったより操作しにくかった覚えがあるから、個人的にはこれに賛成。おかげで見た目がシンプルになったのもいいな、と思う。インフォテインメントシステムなどの操作はステアリングのタッチコントロールボタンでほとんどを行うことができる。手元だけで操作が完結できるので、慣れてしまえばこれはかなり便利だ。
また、「ハイ、メルセデス」ではじめられる対話式の音声認識機能も、最新式へとアップデートされた。ナビゲーション、電話、音楽、気象情報、エアコン、照明などさまざまな機能をコントロールできるわけだが、できることが増えているし、音声の認識率もかなりあがってるように感じる。クルマに話しかけるのにはあいかわらず抵抗感というか照れがあるのは僕個人の問題かもしれないが、操作のために視線をほとんど動かさなくてすむので、いちど使ってしまうとちょっと手放せなくなる気がする。
さらにはナビゲーションシステムにARが導入されて、目の前に広がる景色がナビ画面の一部に反映され、そこに進むべき進路が表示されるから、とてもわかりやすい。どこを曲がるんだっけ? ってミスしてしまうことが減るような気がする。こうしたインターフェイスの進化が、今回のマイナーチェンジのもっとも大きなキモであるように思う。
AクラスとBクラスは用意されるパワートレインも共通で、遅れて導入されたAMG A 35を別にすれば、1.4リッター直列4気筒ターボに7速ATを組み合わせた“180”と、2リッター直列4気筒ディーゼルターボに8速ATを組み合わせた“200 d”の2種類となる。それらはマイナーチェンジ前のモデルからの継承で、180は136馬力/5500rpmに200Nm/1460-4000rpm、200 dが150馬力/3400-4400rpmに320Nm/1400-3200rpmと数値にも変わりはない。
速度が上がってもずっとフラットで快適
今回はAクラスで180、Bクラスで220 dを試乗したのだが、どちらも相変わらず印象がいい。まぁ細かなセッティングの違いなどはあるのかもしれないが、基本は従来と一緒。悪くなってるはずがないのも当然と言えば当然なのだろうけど、素直に「いいな」と思わされた。
1.4リッター直列4気筒ターボは、低回転域から充分なトルクを発揮してくれて街なかで扱いやすいうえ、加速力もコンパクトな実用ハッチにカテゴライズされるモデルにしては必要十分以上。数値の上では200 dに負けてるが、ディーゼル搭載モデルより車重がAクラスで130kg、Bクラスで120kg軽いので、それがクルマの軽快感につながっている。
2リッター直列4気筒ディーゼルターボのほうはどうかといえば、やっぱり力強さが際立っている。普段もっともよく使うのは2000回転以下になるわけだが、その領域でのトルクの存在感は申し分ないし、速度もしっかりついてくる。しかも、そこからさらにエンジンの回転を上げると、3000回転を越える辺りまで勢いを増しながら強力に加速をしていく。結構スポーティなエンジンなのだ。
全体的な乗り味に関していうなら、どちらもパッケージオプションに含まれる18インチのタイヤが装着されていたからか、低速域ではやや硬めのフィーリングを伝えてくるし、段差などでは軽くそれを伝えてくる。でも、ほんとに“やや”だし“軽く”だ。そこに気持ちが引っかかるようなものは何ひとつないし、速度が上がるにつれてフラットに近づいていくので、ずっと“結構快適だな、さすがメルセデス”なんて思いながら走っていた。
あえていうなら、クルマの基本的なキャラクターもあるのだろうけど、Bクラスの若干ソフトめに感じられたサスペンションのストローク感のほうが、僕の好みに合ってたかもしれない。
いずれにしても、Aクラス、Bクラスともに、メルセデス・ベンツのボトムを支えるモデルとしての完成度はかなり高いと思う。コンパクトだけど上質で、日々の相棒としての快適さ、使いやすさなどに不満らしい不満はまったく感じられない。よくできてるのだ。
そのぶんAクラスは498万円から、Bクラスは537万円からと安くはないが、それだけの価値は十分にあると感じられた。コンパクトなクルマがいいけど見ても触れても乗っても安っぽさが感じられないモデルじゃないとな……なんて考えてる人には、まさにうってつけだろう。
電動化が進んでいるいま、そういえば内燃機関で走るAクラスとBクラスはこれが最後になるんじゃないか? とウワサされてもいる。エンジンで走る小さなメルセデスが欲しい人にとっては、もしかしたら最後のチャンスになるかもしれない。気になる人は急いで! である。
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みんなのコメント
運転したことないヤツがどうのこうのと叩くが試乗だけじゃなく一週間~一ヶ月くらい運転すると更に良さが分かる
国産車が常にベンチマークにしてる理由も良く分かる