3モーターで1360ps以上を発揮。最高速は360km/h超
1967年に創業したメルセデス・ベンツのパフォーマンス&スポーツカーブランド「メルセデスAMG」は、その60年近い歴史において、駆動力こそが常に車の心臓部であり続けてきた。ドイツ・アファルターバッハのチームは、革新的な駆動技術であるアキシャルフラックスモーターを搭載した「コンセプトAMG GT XX」でこの伝統を継承する。
コンセプトAMG GT XXにはフロントに1基、リヤに2基の3モーターを搭載し、AMGパフォーマンス4MATIC+によって四輪を駆動する。システム最高出力は1000kW(1360ps)を超える。モーターは前後それぞれに搭載される高性能電動ドライブユニット「HP.EDU」にパッケージング。リヤのHP.EDUには、コンパクトな遊星ギヤセットとインバーターをそれぞれ備えた2基のアキシャルフラックスモーターが、ひとつのケースに収められている。
フロントHP.EDUは、1基のアキシャルフラックスモーター、スパーギヤトランスミッション、そしてインバーターで構成。フロント電動ドライブユニットはブースターモーターとして機能し、前輪に追加のパワーまたはトラクションが必要な場合にのみ作動する。フロントモーターが不要な場合は、ディスコネクトユニット「DCU」によって切り離される。加速時および回生時には、DCUが最適なパフォーマンスを発揮するために作動。定常走行時、低負荷時、そして惰性走行時には、DCUは再び切り離され、不要な抗力損失を低減し、効率を高める。
アキシャルフラックスモーターの技術的基盤は、メルセデス・ベンツAGの100%子会社である英国の電動モーター専門企業「YASA」によって開発された。コンセプトAMG GT XXへの搭載、そしてその後の量産化に向けて、このコンセプトは全く新しいレベルのパフォーマンスへと引き上げられた。これは、メルセデスAMGとYASAの技術専門家との協力によって実現したものだ。この革新的な電動モーターは、極めてコンパクトなパッケージから高出力を実現し、2026年にメルセデスAMGで量産開始となる。
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1000kW(1360ps)を超える最高出力により、コンセプトAMG GT XXの最高速度は360km/h以上をマークする。新しい高性能バッテリーとの組み合わせにより、3基のアキシャルフラックスモーターは、とりわけ連続出力に関して新しいレベルに到達している。これにより、コンセプトAMG GT XXは繰り返し限界まで追い込むことができ、これまで電動モビリティの世界ではほとんど考えられなかった新しいレベルの連続パフォーマンスを提供する。
バッテリーは激しいドライビングでも最適な温度範囲に保たれ、路上でのパフォーマンスだけでなく、極めて急速な充電も可能にする。このコンセプトカーは、約5分で約400kmの航続距離(WLTPモード)に相当するエネルギーを充電できる。これは、アファルターバッハからベルギーのサーキット「スパ・フランコルシャン」までの距離にほぼ相当する。充電停止後、車両はすぐにフルパワーを再び発揮できる。これは前例のない能力だ。
アキシャルフラックスモーターには多くの利点がある。従来の電気モーター(ラジアルフラックスモーター)に比べて、はるかにコンパクトで軽量、そして何よりもパワフルだ。
アキシャルフラックスモーターの出力密度は、従来の電気モーターの約3倍。にもかかわらず約3分の2の軽量化を実現。スペースはわずか3分の1しかとらない。このコンパクトなモーター設計により、ドライブトレインのパッケージングにおいてより自由な設計が可能になる。従来の電気モーターと比較して、大幅に高い持続出力と高いトルクを実現。最高レベルの性能を高頻度で繰り返し再現できるのだ。
高電圧バッテリーは完全に新開発。AMG ONEとF1世界選手権で培った経験に加え、アファルターバッハのメルセデスAMGとブリックスワース(英国)のメルセデスAMGハイパフォーマンスパワートレイン(HPP)の優秀なエンジニアたちの知識が結集されている。
リチウムイオン蓄電ユニットは800Vを超える高電圧を供給し、全体的な性能向上にも貢献。高電圧化によるメリットは、ケーブルの軽量化、連続出力の向上、バッテリー充電時間の短縮。充電ケーブルを介した充電ロスも大幅に低減する。
優れた空力性能を備えたダイナミックなファストバックスタイル
全長5204×全幅1945×全高1317mmのボディは、ダイナミックなファストバックスタイル。低く構えたボンネット、そして鋭く傾斜したフロントウィンドウが与えられており、メルセデスAMGを象徴するスポーツカーの性能を体現している。印象的なサンセットビームオレンジのカラースキームは、満ち溢れた自信のを表している。
10本の垂直バーを備え中央にスリーポインテッドスターを配した「パナメリカーナグリル」はAMG車ならではの特徴を体現したものだが、コンセプトAMG GT XXでは楕円形で凹状のフォルムへと進化を遂げている。
グリル内の両端には、ウインカーを組み込んだ長方形のスリムな補助灯を配置。縦に配置されたメインヘッドライトは、ロービームとハイビームが重なり合うことで、革新的なアクセントを生み出している。
モータースポーツから受け継がれた特徴的な装備として、ボンネットに2つのフィンを備えた2分割エアアウトレットが挙げられる。このアウトレットは、車両前部の水平冷却モジュールから発生する熱気を排出し、冷却風の経路を最適化。また、ふたつのパワードームによってコンセプトAMG GT XXのスポーツカーとしてのDNAが強調されている。フロントスプリッターは車両前部を大きく取り囲む形状だ。
サイドビューは、低く構えたフロントエンドが特徴的で、そこからフェンダーが有機的に広がり、フロントホイールを囲む。ダブルバブルルーフと両側に3つのウィンドウを備えた長く細いグリーンハウス(ウィンドウエリア)は、力強いリヤショルダー部につながる。スポーツカーに典型的なスタイルで、ドアミラーはフロントドアに高く配置。サイドシルのクラッディングは、リヤホイールアーチまで続くエアロダイナミックな形状。ドアハンドルにも空力性能追求への配慮が見て取れる。
流線型のグリーンハウスは後方に向かって細くなり、ワイドなショルダー部を実現。リヤホイールアーチもサイドから有機的な流れを描いている。リヤのデザインエレメントとして、カーボン素材を露出させたワイドなディフューザーが挙げられる。ディフューザーは、左右両側で深く下方に傾斜。高速走行時のリヤエンドの安定性を確保するために設計されたこのフォルムは、AMG ONEを彷彿とさせる。
リヤエンドは鋭角に角度をつけたエアロダイナミックなエッジと、深紅の円形テールライト6灯を備え、類を見ない個性を放つ。各ライトと中央に配置されたMBUXフルードライトパネル(詳細は後述)は、それぞれが円錐状のサイドウォールを持つ細長い窪みで縁取られ、印象的な奥行き感を生み出している。アクティブエアブレーキはリヤエンドにシームレスに統合された。
優れたエアロダイナミクス性能も特色だ。300km/hで走行すると、駆動エネルギーの約83%が空気抵抗を克服するために必要となる。これは、高性能セグメントにおいて効率的なエアロダイナミクスがいかに重要であるかを示している。コンセプトAMG GT XXは、スポーティでフラットな形状、大きく傾斜したフロントガラス、低く構えたボンネット、角度のついたサイドウィンドウ、そしてリヤガラスが無いことがその特徴だ。
改良はアンダーボディにもおよび、専用に開発された輪郭が空力バランスを確保し、最適なダウンフォースと最大限の効率を両立させている。いわゆるベンチュリー効果(狭い部分を通る際に流速が速くなり圧力が低くなる現象)を生み出し、Cd値(空気抵抗係数)に大きな影響を与えることなくリヤエンドの揚力を低減。これによりリアエンドが低くなり、大型のリヤスポイラーの必要性が軽減される。インテリジェントなエアロダイナミクスは、最高速度360km/hを超えるまで、あらゆる領域で高いレベルの操縦安定性を提供する。
徹底した空力改良により、Cd値と前面投影面積が低減され、高速性能と高速航続距離の延長に貢献。高性能ワイドタイヤを装着しているにもかかわらず、Cd値は0.198を実現した。
テクノロジーをダイレクトに表現したコックピット
インテリアはレーシングカーのように必要最低限の装備ながら、高級感あふれる雰囲気を醸し出している。ほぼ全体をブラックで統一しているため、シルバーとオレンジのアクセントが際立ち、ミニマルなテクニカル要素への視覚的なこだわりが強調された。
用いられているのは、見た目だけでなく手触りも優れた、さまざまな質感の高品質素材。高電圧ケーブルからインスピレーションを得たコンポーネントは、AMGの原点であるモータースポーツとの密接なつながりを生み出している。2つのスクリーンを統合したコックピットは、完全にドライビングに焦点が当てられたデザイン。車両とすべての計器は、26cm(10.25インチ)のインストルメントクラスターと35.6cm(14インチ)のマルチメディアタッチスクリーンという、2つの大型LCDディスプレイで操作。ディスプレイは人間工学に基づいてドライバーに向けて角度が付けられている。
ステアリングホイールはAMG ONE用と似ており、ほぼ長方形。モータースポーツからインスピレーションを得た、左右2本の水平ストラットを備えている。ステアリングホイールのパドルは回生機能のコントロール用だ。ステアリングコラム上のディスプレイは、8個のLEDによるカラーコードで、充電状態(青)、回生状態、現在のパフォーマンス(赤)を表示。さらに、AMGステアリングホイールには丸いボタンが2つあり、他の機能を操作したり、オプションをカラーアイコンで表示したりできる。
インテリアの際立った特徴としては、センターコンソール周囲に配されたホワイトボディのエクステンションと、イルミネーション付きのオレンジ色のパイプも挙げられる。これらの造形は、高電圧ケーブルを想起させるもの。もうひとつの目を引くのは、センターコンソールにあしらわれたAMGの紋章をモチーフにしたデザインエレメント。ソリッドメタルから削り出されたハイテクな装備とイルミネーションによって、その卓越した電動パフォーマンスが表現された。
インストルメントパネルには、AMGロゴが機械加工され、マットブラックのシュリンク塗装が施された、クラシックなスポーツエンジンブロックを彷彿とさせるデザイン。同時に、構造用クロスメンバーがコックピット上部を形成している。また、インストルメントパネルは完全に一体化されており、フレッシュエアダクトとケーブル類も備えている。中央下部に配置された垂直のH型ストラットは、コックピット下部の下部構造とセンターコンソールマウントを一体化したモジュール構造。押し出し構造の一貫した採用は、全体的なデザインテーマを表している。
彫刻的なミニマルなドアクラッディングには、押し出し構造のアームレストが貫通している。ドアパネルにあしらわれたレーシングパーフォレーションは、ほのかに光るバックライトで、ブラックを際立たせている。
軽量パイプとオレンジ色のクロージングループを備えたドアパネルは、革新的でスポーティなルックス。カラーバックライトファブリックのチェッカーフラッグデザインは、モータースポーツへのオマージュだ。ドアの留め具には、機械加工されたアルミニウム製の小さなボタンが取り付けられている。AMGの紋章があしらわれ、ボディカラーのアクセントの効いた、洗練された仕上げだ。
フロントバケットシートは、通気口と一体型ヘッドレストを備えたカーボンファイバーレーシングシェルがベース。3Dプリントされたシートパッドは、最適化された人間工学による新しいレベルのカスタマイズを提供し、簡単に交換できる。これにより、乗員に合わせて特別に調整された快適なシート構造が作り出せる。
シートパッドの背景にあるアイデアもモータースポーツ由来。各ドライバーには、たとえば耐久レースでのドライバー交代時に簡単に交換できる個別のシートクッションセットが用意されている。コンセプトAMG GT XXでは、個別に設計されたシートパッドは3Dプリント技術を使用して作成。人間工学データは、各個人のボディスキャンによって提供される。6点式シートハーネスはスポーティなデザインの強調にもひと役買っている。
軽量化のため、後部座席にはクッションを含めて個別に成形されたカーボンファイバー製バケットシートが、リヤバルクヘッドに完全に一体化されている。ルーフにはヘッドライナーが設けられておらず、これにより軽量化が図られ、カーボンファイバー構造が露出している。
未来のスポーツカーに向けた数々のイノベーション
コンセプトAMG GT XXは、パフォーマンスの新たな基準を確立するだけでなく、内外装に数々の革新を盛り込み、スポーツカーの未来を切り拓く。注目すべきは、サイドの発光ペイント、フロントヘッドライトに一体化されたスピーカー、そしてリヤのMBUXフルードライトパネルだ。
エクステリアは発光するペイントセグメントで輝く。これにより、車体の特定のエリアに夜間の特別な効果をもたらす。これを実現するために、研究開発の専門家は、特殊な色素が交流電流に反応して発光するエレクトロルミネッセンス技術を採用。その結果、暗闇でもはっきりと目立つ、明るく輝くペイントが実現した。
このペイントは、複数の導電性レイヤーと絶縁層で構築されている。メルセデスAMGはニュルブルクリンク24時間レースにおいて、GT3レースカーでこのペイントの試験運用にすでに成功している。コンセプトAMG GT XXでは、縦方向のビームのクラッディングが、AMGロゴを彷彿とさせる発光セグメントで色鮮やかにハイライトされている。このペイントは夜間の視覚効果のためだけのものではない。充電中はコミュニケーション手段としても機能し、視覚的にエクスペリエンスを高める。セグメントが次々に消灯してすべてが消えると、コンセプトAMG GT XX は出発の準備が整い、走り出すときにもう一度合図を出す。
もうひとつのイノベーションは、光と音を新たな形で融合させること。コンセオプトAMG GT XXでは、ドライビングサウンドを発する外部スピーカーが初めてフロントヘッドライトに統合された。ドライビングサウンドを発する外部スピーカーがヘッドライトに統合されたのは、これが初めて。ヘッドライトハウジングをスピーカーキャビティとして利用することで、スペースと重量が削減され、新たなサウンドバリエーションが実現した。このスピーカーは一方で、歩行者保護のためのシグナルとしても機能する。もうひとつの特徴は、サウンドバーに採用されたパッシブメンブレンテクノロジー。これにより、設置スペースを有効活用しながら、低音域とよりパワフルな低音域の再生が可能になる。
そして、アクティブエアロホイールには電子制御による可動式エアロブレードを備えている。このホイールにより、ブレーキの冷却、空力効率、航続距離という相反する要素を初めて解決した。5本スポークデザインの21インチ鍛造アルミホイールには、5つの可動式パーツが装備されている。これらのブレードは近接配置することでホイールを密閉し、空気抵抗を低減。これにより航続距離が延び、エネルギー消費も削減される。
車内に搭載されたコントロールユニットは、ブレーキシステムの機能をはじめ、さまざまな機能を監視・制御する。ブレーキ冷却の強化が必要になった場合、コントロールユニットがアクチュエーターに信号を送ると、ブレードが展開・開弁し、ホイール外側のリムに環状空間が確保される。エアロブレード内側の放射状ルーバーに支えられた冷却空気は、ホイールを通ってブレーキへと送り込まれ、再び排出。このように空気流量を増加させることで、ブレーキ冷却効率が大幅に向上するだけでなく、アンダーボディと空力的に相互作用するホイールアーチから空気を積極的に排出することで、車両の空力ダウンフォースにもプラスの影響を与える。
各ホイールのハブには、簡単に着脱できる中央アクチュエータが内蔵されている。このアクチュエータがエアロブレードを動かす。ここでのポイントは、各アクチュエータが独立したユニットであり、回転するホイールを利用して小型発電機で独自の電力を生成すること。アクチュエータはBluetoothを介して車両内の制御ユニットと無線通信する。内蔵の高性能バッテリーと組み合わせることで、最大200回のブレード駆動に必要な電力を生成・蓄電できるため、ブレーキを常に安全に冷却できる。
リヤのハイライトは、700個以上の自由にプログラム可能なRGB LEDを搭載した革新的なMBUX フルードライトパネル。このイルミネーションは、3Dピクセルルックで外界とのアクティブなコミュニケーションを可能にする。前面はサンドブラスト加工が施され、各ピクセルのバックライトの完璧な均一性を実現している。革新的な内部構造により、ピクセル間の光の散乱を防ぎ、卓越した画質を保証する。パネルをオフにすると、エレガントな3Dピクセルルックが実現。オンにすると、予期せぬ光の演出によって特別な効果が生まれる。
インテリジェントなソフトウェアソリューションにより、車両からの情報がテキストまたはアニメーションでリアルタイムに表示できるようになった。デジタルAMGロゴや充電状況など、さまざまなコンテンツを表示できる。
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