2022年6月24日からマツダ新型SUV「CX-60」の予約受注が開始された。販売開始は、今年初秋を予定している。
このCX-60は、新たなプラットフォームを採用したマツダ新世代ラージ商品群の第1弾。驚くべきは、その価格。なんと299万2000円から買えるのだ。
CX-60は安くて旨いSUV! 驚愕の価格&ヒエラルキー破壊コスパSUVだ!
はたして、ただ安いだけのヒエラルキー破壊コスパSUVなのか、中身はどうなのか、モータージャーナリストの小沢コージが斬る!
文/小沢コージ
写真/ベストカーweb編集部、マツダ
■発売前から約束されているヒエラルキー破壊の超お買得商品
最安の299万2000円というエントリーモデルの25S Sパッケージ!
一番安い25S Sパッケージのコクピット。たしかにダッシュボードのパネルは樹脂製で上級グレードと比べると見劣りするが、安っぽいというほどではない。300万円以下のSUVがこのクオリティなら納得
下世話な話「いま絶対売れる商品」はある種のプライスダウンだったり、バリューアップが構造的になされている商品です。
例えば「いまだけビックマック100円!」とCMで流せば瞬時で店頭に行列が出来るはずですし、「銀座エバン〇で新品ロレックスエクスプローラーが100万円」だったら小沢は間違いなく並んで買います。
「ディズニーのワンデーパスポートが5000円」も完売確実で見る人が見て「絶対お買得」な商品は確実に売れるのです。
4月7日に初公開され、4月25日に先行予約が開始、6月24日から予約受注が始まったマツダCX-60はまさにソレで、ある種「約束された超お買得マツダ新作SUV」です。既に予約殺到ですし、そもそも昨今マツダ車はその手が多く、ここ10年屋台骨のCX-5もコスパは絶対的。
見た目にヨーロッパの500万円クラスSUVのオーラを持ちながら、価格はガソリン2.5リッターモデルが299万2000円~407万円、3.3リッターの直6ディーゼルターボモデルが323万9500円~465万8500円、3.3リッター直6ディーゼルターボの48Vマイルドハイブリッドモデルが505万4500円~547万2500円、PHEVモデルが539万円~626万4500円。
売れ筋となるであろう、3.3リッター直6モデル、XD Sパッケージ(FR、358万500円)、XD Lパッケージ(FR、400万4000円)と、欧州車より100万~200万円は安い。
特にインテリアは入門グレードでも安っぽさはなく、一部クオリティで微妙に欧州車に負けてたとしても総合コスパ最強。よって質感にウルサい日本はもちろん海外でもCX-5はコンスタントに売れ続けているのです。
これはXDハイブリッドのプレミアムモダンのタン/ブラックのインテリア。価格は547万2500円。どうです、これ、1000万円オーバーの欧州SUVのインテリアと遜色なし。パネルの素材はスウェードで人の手に触る部分の感触がいい。マツダのインテリアに対するこだわりは凄い
ぶっちゃけ小沢は当初、CX-60はそこ繋がるひとクラス上のコスパ商品群だと思っていました。構想から狙いは明確で、全長4.7mのCX-5よりデカいミディアムSUVで、骨格はマツダがこだわりにこだわった完全新規のFRプラットフォーム。
パワートレインはガソリン車お2.5リッターに加え、いまどき珍しいこれまた新作の直列6気筒ディーゼルターボと、これに48Vマイルドハイブリッド搭載車をラインナップ。
1960年代にドイツ・バンケル社から設計図を購入。「写経」的に写し欧州のクルマ作りを思想から学んだマツダ。そんな心情的欧州メーカーが作る新作CX-60は、ぶっちゃけベンツGLCやBMW X3のマツダ版なのです。
そもそもマツダ首脳陣が少なくとも10年前から高い振動吸収性を持つ高品質FR骨格を備えたプレミアム商品群を作りたがっていたのは周知の事実。基本性能から内外装までクオリティでCX-5を超えは間違いありません。
というか小沢は今年春に山口県の美祢試験場で行われたプレス向け事前試乗会でCX-60のプロトタイプに乗り、実力の一端を実感しています。
見た目は日本&欧州狙いのナローボディもあってか、思ったよりマッチョ感こそありませんでしたが、ノーズの長さ、リアの短さ、プロポーションは完全にベンツGLCやBMW X3のそれ。デザインロジックは欧風プレミアム譲りです。
サスペンションはFF車では実現できなかった、本当の意味で基本に忠実なサスアームの長いフロント・ダブルウィッシュボーン&リア・フルマルチリンクで乗り心地は欧州プレミアム顔負け。
マツダらしい透き通ったミネラルウォーターのような素直なステアリングフィールが印象的で、高速安定性重視のベンツ&BMWらとは少々違ってユニーク。
乗ることができたのは48Vマイルドハイブリッド付き3.3リッター直6ディーゼルターボでピークパワー/トルクは254ps/550Nm。スペック的には欧州3リッターに負けますが、その分マツダの新世代希薄燃焼技術DCPCIを備え、燃費性能は絶大。
ウワサではコンパクトSUV並みのリッター19km前後を実現するとか。電動化技術がプラグインハイブリッドしかないのはEV推進派にとっては懸念材料ですが、現時点で内燃機関でのプレミアムSUVとしての出来はピカイチ。
まさに価格破壊ともいうべきCX-60の価格
■でもお高いんでしょう? のウラをかく衝撃価格!
CX-60の弟分といった位置付けのマツダ CX-5。あとから登場した兄貴分が、ほとんど同価格帯。ア~ニキ~そりゃないよ~……
そして最後の注目点が価格戦略=プライシングでした。ぶっちゃけ欧州競合SUVはGLCが731万円~822万円、X3が713万円~998万円。
今の円安もあって問答無用に高く、新型CX-60の小沢予想価格はざっくりそこから200万円安い500万円台か、国産準プレミアムらしく400万円台スタートぐらい? と思ってました。それでも欧州メーカーからすると法外に安いと。
ところがマツダが発表した価格は、そこから一段どころか2段階安い299万2000円スタート! ぶっちゃけ安すぎるどころか一部、弟分CX-5喰っており、これは価格破壊どころかヒエラルキー破壊を起こしかねず、マツダさん本当に大丈夫? と思えるレベルです。
もちろんこの価格は新作6気筒エンジン車ではなく、旧型2.5リッター直4ガソリンを縦置した車両。肝心の新作3.3Lディーゼルターボ車は323万9500円からと微妙に高くはなりますが、それでも圧倒のヒエラルキー破壊。
クルマ界の伝統的値付けからするとFR骨格のクルマは、大衆車由来のFF骨格より軽く100万円以上高くなるべき。少なくともCX-60はCX-5より100万円高い400万円スタートが基本。それが下のクラスと共通ということは、安いどころか既存客が怒るレベルです。
トヨタ車で言えば、新作FRセダンのクラウンが、既存FFセダンのカムリより安いような構造で、小沢の最大の懸念は既存CX-5を買った人が「CX-60、安すぎるじゃないか! 俺のクルマよりデカくて気筒数多くて、FRで走りもいいのに同価格なんて。金返せ!」と言い出すこと。
もちろん一部ジャーナリストは言います。「それだけ最近のマツダは焦ってたのよ。新作プレミアム車を作り、プレミアム価格で売ったら、“マツダはのぼせ上がってる”と言われかねない。ちょっと前にマツダ3を作って高すぎる! と批判されたばかりだから」と。
それにCX-60はざっくりパワートレイン4種類で前述の2.5リッター直4と3.3リッター直6ディーゼルターボまでは異様に安いのですが、残りのディーゼルターボ+48Vマイルドハイブリッドは505万円超えで、2.5リッターガソリン直4+モーターのPHEVモデルは539万円超えと急激に高くなります。
ただし、小沢は今回メインで売れるのは極端にコスパのいい前半2タイプだと思います。後半2つはさほど売れないと想定しているはず。そうでなくとも新作FRで失敗できないマツダ。これまでのイメージを払拭すべくCX-60は価格破壊を意図的に起こしたのだと。
とはいえ、これらはすべてマツダの社内問題。ユーザーからするとCX-60のお買得っぷりは間違いありません。
CX-5ユーザーがどう思うかはさておき、全長4.7m台の良プロポーションのSUVが299万円台からで、装備充実で低燃費の直列6気筒ディーゼルでも323万9500円という破格値。欧州プレミアムからするとざっくり300万円は安い計算になります。高めのハイブリッド&PHEVでも200万円は安い。
いやいやマツダをメルセデスやBMWと一緒にするな! と言う輸入車ファンもいると思いますが、ブランド代、微妙な内装のクオリティ差を考えても最大300万円差は完全なる価格破壊です。
マジで100万円高の400万円台スタートでも全然おかしくないクオリティ。新規のプレミアム車群だけに下取り価格が読めない? と考える人もいると思いますが、それ以前にクルマの味が分かる人なら絶対安い!
一流寿司屋で一貫1000円以上の大トロが、普通に300円で食べられるような安さです。物価高が叫ばれる日本ですが、一部は相変わらず異様に安い。
この価格なら乗りつぶしても後悔しないレベルなので小沢もマジで1台買ってみるか! と思う驚愕の価格&ヒエラルキー破壊コスパSUVなのです。
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みんなのコメント
大金出して買っても
安いイメージ定着しちゃうよ
ステータスって案外大事!
台数を追わずに一台あたりの利益率を高める戦略のハズ。
安売りをすべきではない。