自動車画家Bowさんの影響
RX-7を所有して四半世紀以上の時が経った。なんでそんなことになっているのかといえば、大きな理由は当時一緒に仕事をさせていただいていた自動車画家Bowさんの影響だろう。
【画像】日本一有名になったサンライトシルバーの個体と渡辺敏史の所有車!2台のFD3S型RX-7と当時を振り返るオフィシャル写真 全96枚
氏は当時、30年近い時を共に過ごしてきたトライアンフTR3Aを変わらず維持し続けていた。傍目には各所に齢なりのスレを抱え込んでくすんだ個体に見えるが、でもそれが持ち主と重なると刻んだ年輪が光り輝き、どんなクルマよりも尊い存在となる。
そんなクルマとの接し方をとても近いところで見ていたことで、自分も愛車とのそういう関係性を築きたいと思うようになっていた。そこにスッと入ってきたのがRX-7だったわけだ。
もちろんその個体に憧れがあるからお財布を開いて迎え入れたわけだが、RX-7と言えば、『広島の魂』と称されるようになったロータリーエンジンを搭載する数少ない銘柄でもある。ちょうど時期は某番組で『広島の奇跡』ともてはやされた頃でもあって、事あるごとに愛車を訊ねられれば、ロータリーお好きなんですね~と褒めそやされた。
その度にひねくれた自分は、いやいやロータリーってそんな特別なもんじゃないですし~とくさし気味に相手を諌めていた覚えがある。よく期待されて問われるのはモーターのようなフィーリングというやつだが、その頃のトヨタのV8や直6も極めて近い滑らかさを実現していた。
むしろその質感を小さい質量で実現できていたことが、注目すべきポイントなのだと思う。
ロータリー史上最も秀逸なパッケージング
加えていえば、そんなロータリー史上で最も秀逸なパッケージングを達成したのはRX-7ではなくRX-8の側だ。補機類を最小化できる自然吸気ユニットを前提と出来たことでローター部を極限までZ軸側に低く押し込んで、更にセンタートンネルの左右に大人がしっかり座れる空間まで生み出した。
それこそマツダが捻り出した意地の塊だと思う。実際に乗ってみてもドライバーには常に力不足を痛感させてしまうほど、RX-8のシャシー能力はFRとして卓越したものがあった。
と、左脳の側がRX-8を冷静に評価する一方で、右脳の側に訴えるものをもっているのがRX-7だ。自分がそれを維持し続けてこられた理由を語るなら、第二に挙げられるのは単純な話、カッコいいからだと思う。
例えば1990年代で区切るなら、その10年の間に登場したスポーツモデルは枚挙に暇がないけれども、美しさという点でこれに勝るものはない。ずっと手許にあるクルマだというのに、今でも道端に停めたりした時にはパチッと写真を撮ってしまう。
ロータリーの利をパッケージにみるか、骨格の美しさにみるか。個人的には何年掛かっても結論の出ない難題でもある。
対面したRX-7は思いがけず普通の体
今や日本一有名なサンライトシルバーのRX-7を25年間所有し続けてきた西本尚子さんは、子供と共にテレビで視た頭文字Dに登場していたそれに目を奪われて購入を決意したと仰せられていた。恐らく高橋啓介の駆るコンペティションイエローのモデルではと推するが、ピピッと右脳が反応なさったのだろう。
ご存知の方もいらっしゃるだろう、その個体は免許返納を機に西本さんの元を離れ、現在は譲り受けたマツダが整備を施し、広報活動用の車両として保管、折につけ展示等に使われている。名義も変わりナンバーは長崎から横浜へと変わったが、7の数字は西本さんが所有されていた頃から受け継がれている。
マツダが手掛けたということでさぞやパリパリに仕上げられているのかなと想像していたものの、対面したRX-7は思いがけず普通の体だった。機関系はしっかり確認と整備を加えた一方で、内外装は掃除や磨きくらい……というところだろうか。
もちろん大事に扱われていた、その程度の良さゆえの仕上げでもあるのだろう。でも図らずも残されたその使用感からは、西本さんが一緒に過ごした長い時に対する敬意が感じられて、なんだかホッとさせられた。不用意にツルピカにしてしまうと背後のストーリーも台無しになってしまうから、これはこれで正解だと思う。
が、扱う側としてみればそれは、絶対に代わりの効かないワン&オンリーの個体でもあるわけだ。傷物には出来ないというプレッシャーの中で恐る恐る触らせていただいた。
*オーナー渡辺敏史が語るFD3S型マツダRX-7への愛(後編)へと続きます。
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みんなのコメント
マツダヂーゼルは「安価で高性能で低燃費」の三刀流だが「メンテナンスフリー」の4刀流ではない。何かを得るためには何かを捨てなければならない。「箱物は造らせない」なら被災時の「最低限の生活」は捨てなければならない。
ヴァンケルエンジンは唯一マツダがチャターマークを克服した。得られたものは「小型軽量高性能低振動」、捨てたものは「低燃費と低メンテナンス費」。
まあノーメンテナンスで50万㎞も100万kmも走れる自動車エンジンは無い。