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アメリカと欧州にスキマ風? NATOがアメリカ機を蹴って選んだ「次期早期警戒機」の正体

掲載 更新 23
アメリカと欧州にスキマ風? NATOがアメリカ機を蹴って選んだ「次期早期警戒機」の正体

アメリカ製E-3「セントリー」を使用してきたNATO軍

「AWACS(エーワックス)」という言葉は、今日では早期警戒管制機そのものを指す一般名詞のように用いられています。巨大な回転式レーダードームを機体上部に載せ、はるか彼方の航空目標を探知するとともに、味方戦闘機へ指示を与える「空飛ぶ司令部」ですが、実は本来のAWACSとは航空機の名称ではありません。

【写真】グローバルアイは巨大な「エリアイER」レーダーが特徴!

 AWACSとは「Airborne Warning and Control System(空中警戒管制システム)」の略称であり、厳密にはアメリカが開発したAN/APY-1およびAN/APY-2早期警戒レーダー・システムの固有名称です。このシステムを搭載するE-3「セントリー」と、航空自衛隊が運用するE-767だけが、本来の意味において「AWACS」を名乗ることのできる機体です。

 E-3はアメリカ空軍だけの装備ではありません。1980年代、NATOは加盟各国が共同運用する「NATO空中早期警戒管制部隊」を創設し、ルクセンブルク籍という特異な運用形態でE-3を導入しました。これらの機体はドイツ・ガイレンキルヒェン航空基地を拠点とし、加盟国全体の防空警戒任務を担うとともに、NATOの統合航空作戦を支える中核戦力として運用されてきました。近年ではロシアによるウクライナ侵攻以降は東欧上空での監視任務などに従事しています。

後継機をSABB社製「グローバルアイ」に決定

 しかし、そのE-3も老朽化という避け難い現実に直面しています。母体となったボーイング707はすでに民間航空の第一線から姿を消して久しく、機体構造の疲労に加え、補修部品の調達難、旧式エンジンによる維持費の高騰などから、運用を継続するための負担は年々増大しています。

 アメリカ空軍は後継機としてボーイング737をベースとするE-7「ウェッジテイル」への更新を進めています。一方、NATOが選択したのは別の道でした。それがスウェーデンのサーブ社が開発した「グローバルアイ(GlobalEye)」です。

 グローバルアイは、E-7/ボーイング737より小型のボンバルディア「グローバル6000/6500」ビジネスジェットを母体とする最新鋭の早期警戒管制機です。E-3の象徴であった円盤型レドームを持たず、胴体上部に細長い板状アンテナを固定配置した「エリアイER(Erieye ER)」レーダーを搭載します。

 電子走査式アクティブ・フェーズドアレイの採用により、アンテナを物理的に回転させる必要がなく、高い信頼性と優れた応答性を実現しています。また、空中目標だけでなく、水上艦艇や地上車両の探知能力にも優れ、航空・海上・地上を一体的に監視できる多領域監視プラットフォームとして設計されている点も、現代戦の要求に合致していると言えるでしょう。

小型機ゆえの制約はあれど、欧州機を選ぶ理由

 もっとも、機体の小型化は決して無条件の進歩ではありません。圧倒的に大きいE-3は十数名に及ぶ管制員や情報処理員を搭乗させ、多数の航空機を長時間にわたり同時管制する能力を備えていました。一方、ビジネスジェットを母体とするグローバルアイでは、搭乗するオペレーターは5名程度に限られ、機内スペースにも余裕がありません。純粋な空中管制能力だけを比較すれば、E-3に及ばない部分があることは否定できません。

 それにもかかわらずNATOがグローバルアイを選択した背景には、単なる性能比較だけでは説明できない戦略的判断が存在すると考えられます。

 近年、トランプ政権の発足以降、アメリカとヨーロッパ諸国の関係には少なからぬ緊張が生じ、防衛分野にもその影響が及んでいます。さらにアメリカ空軍自身もE-3後継としてE-7を一度採用した後に計画を見直し、その後再び調達を進めるなど、政策決定には迷走が見られました。こうした状況は、ヨーロッパ諸国に対し、アメリカ製装備への依存を見直す契機となったと考えられます。

 その結果として選ばれたのが、カナダ製のボンバルディア機にスウェーデン製の早期警戒システムを組み合わせたグローバルアイです。装備と運用の主導権をヨーロッパ側が握ることのできるこの機体はアメリカ依存度を減少させ、防衛装備の自立性を志向するヨーロッパの新たな安全保障戦略の要となるでしょう。

文:乗りものニュース 関 賢太郎(航空軍事評論家)
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みんなのコメント

23件
  • zwe********
    >アメリカ空軍は後継機としてボーイング737をベースとするE-7「ウェッジテイル」への更新を進めています。一方、NATOが選択したのは別の道でした。それがスウェーデンのサーブ社が開発した「グローバルアイ(GlobalEye)」です。

    情報が古いんじゃないか?アメリカは2025年6月にE-7の導入をいったん中止、2026年になって復活したが、2027年度予算には追加予算は計上されてなくて今後ちゃんと導入されるかどうか確定していない。
    欧州はそんなやり取りには付き合えないから独自導入に動いたんだよ
  • sk_********
    SAAB社では?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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