現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 日本近海で「核爆弾を空母からドボン!」米軍やっちまった案件 60年経つも行方不明のまま 日米間の外交問題に

ここから本文です

日本近海で「核爆弾を空母からドボン!」米軍やっちまった案件 60年経つも行方不明のまま 日米間の外交問題に

掲載 51
日本近海で「核爆弾を空母からドボン!」米軍やっちまった案件 60年経つも行方不明のまま 日米間の外交問題に

空母から海へ戦闘機を落としちゃった

 2025年4月28日、アメリカ海軍の原子力空母「ハリー・S・トルーマン」がイエメン沖を航行中、1機のF/A-18E「スーパーホーネット」戦闘攻撃機を海中に落下させるという異例の事故が発生しました。

【日本のすぐ近くじゃん!】ここが核爆弾が眠ったままの海域です

 事故の原因とされるのは、同艦がフーシ派勢力からの攻撃を回避すべく急激な回避運動を実施した際の艦上作業における混乱です。その時、甲板上で牽引移動中だった「スーパーホーネット」が制御を失い、そのまま艦の舷側から滑り落ち、アデン湾の波間へ没しました。幸い、機体には操縦士などは搭乗していなかったため、人的被害は生じませんでした。

 空母艦上から航空機が落下することは極めて稀ではありますが、アメリカ海軍の長い歴史において、前例が皆無なわけではありません。とりわけ、重大事故として今なお語り継がれるのが、1965年12月5日に発生した「核兵器搭載機喪失事故」です。

 舞台となったのは当時、鹿児島県喜界島の東南東約130kmを航行中であった空母「タイコンデロガ」です。同艦は第二次世界大戦期に建造されたエセックス級航空母艦の1隻で、1960年代には大規模な近代化改装を受け、ベトナム戦争においても航空作戦の中核を担う中枢艦として第一線で運用されていました。

 事故当日、A-4「スカイホーク」攻撃機の1機が、格納庫から飛行甲板へ移送される過程で、艦載エレベーター上での作業ミスにより滑落。操縦士とともに海中へ転落しました。ただ、この機体にはB43型戦術核爆弾が搭載されていたため、その事実が事態の深刻さを決定づけることになります。

 B43は当時の戦術核兵器としては標準的な仕様で、最大で1メガトンという極めて高い核出力を持ちます。機体とともに核弾頭は、水深約5000mに達する海域へと沈みました。とうぜん、アメリカは直ちに捜索活動を展開したものの、核爆弾はついに発見されることなく、現在に至るまで深海に眠ったままとなっています。

16年経ってようやく事故を公表

 この種の核爆弾は高度に複雑な起爆機構を有しており、外部からの衝撃や経年劣化によって爆発する可能性は極めて低いと考えられます。しかし、冷戦下における同盟国日本の近海において、実戦用核兵器を搭載した軍用機が失われたという事実は、アメリカ軍の機密保持体制と、日本政府への事後通告の有無という両面において、倫理的・政治的に大きな問題を孕んでいました。

 実際、この事故が公式に明らかにされたのは、事故から16年を経た1981年のことであり、それまでの間、アメリカ政府は情報を公にしませんでした。「公海上での事故」であるとの見解が、日本政府へ報告しなかった大きな理由であったと考えられますが、日本の領海に極めて近接した地点での核兵器紛失という重大事に対する説明責任の欠如は、日米間の外交問題に発展します。

 なお、こうした事故においてアメリカ海軍は、状況によっては失われた機体の回収に動きます。最近の例としては、2022年1月24日に空母「カール・ビンソン」で起きた事故が挙げられます。

 このときは、着艦しようとしたF-35Cステルス戦闘機が南シナ海に墜落しました。これを受け、アメリカ海軍はサルベージ能力を持つ民間船をチャーターし、約1か月後には機体を引き上げています。ここまで迅速に対応した大きな理由は、F-35Cが最先端のステルス技術と電子装備を搭載していたことから、中国などの対抗勢力による技術回収を防ぐことが主眼であったとされます。

 今回、F/A-18E「スーパーホーネット」が滑落したアデン湾海域は比較的水深が浅く、また墜落ではなく滑落であることから機体が破壊されずに沈んでいるはずであり、そのため、アメリカ海軍が将来的に回収作業を行う可能性はあり得るでしょう。

 そこから鑑みるに、1965年の鹿児島県沖におけるA-4攻撃機の落下事故では、沈没地点が水深5000mという深海でなければ、最低でも核爆弾だけでも捜索し回収したかもしれません。

関連タグ

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

ミッドウェー海戦で孤軍奮闘した空母…実は残した戦果はかなり大きかった?なぜ最後まで“残れた”のか
ミッドウェー海戦で孤軍奮闘した空母…実は残した戦果はかなり大きかった?なぜ最後まで“残れた”のか
乗りものニュース
ウクライナ戦争で判明!「ドローン迎撃にジェット戦闘機」でパイロット落命のリスクが 解決策はあるの?
ウクライナ戦争で判明!「ドローン迎撃にジェット戦闘機」でパイロット落命のリスクが 解決策はあるの?
乗りものニュース
『紅の豚』に出てきそう!? いかにも「古そうな複葉飛行艇」が第二次大戦で引っ張りダコだったワケ「空母にも発着できます!」
『紅の豚』に出てきそう!? いかにも「古そうな複葉飛行艇」が第二次大戦で引っ張りダコだったワケ「空母にも発着できます!」
乗りものニュース
米軍のイージス艦に見慣れないハコ見っけ!「アレ何?」←士官「答えられません」その正体は?
米軍のイージス艦に見慣れないハコ見っけ!「アレ何?」←士官「答えられません」その正体は?
乗りものニュース
これからの戦車は「弾でもミサイルでもないものをぶっ放してくる」のか? 韓国の次世代戦車に見る“トレンド”
これからの戦車は「弾でもミサイルでもないものをぶっ放してくる」のか? 韓国の次世代戦車に見る“トレンド”
乗りものニュース
潜水艦より秘密が多い自衛艦「あかし」非武装だけど任務はいったい何なのか?
潜水艦より秘密が多い自衛艦「あかし」非武装だけど任務はいったい何なのか?
乗りものニュース
日本軍の特攻兵器「桜花」の格納庫が嘉手納基地内に!? 県内唯一の施設がココにあったワケ
日本軍の特攻兵器「桜花」の格納庫が嘉手納基地内に!? 県内唯一の施設がココにあったワケ
乗りものニュース
デカくなってる!!「無人機どっさり空母」新型案が韓国で披露 有人機はもういいぜ!? 日本にも誕生の可能性
デカくなってる!!「無人機どっさり空母」新型案が韓国で披露 有人機はもういいぜ!? 日本にも誕生の可能性
乗りものニュース
東南アジアの「ロシア兵器大好き国」が方針転換? かつての敵国に“最新戦闘機ちょうだい” 一体なぜ?
東南アジアの「ロシア兵器大好き国」が方針転換? かつての敵国に“最新戦闘機ちょうだい” 一体なぜ?
乗りものニュース
トランプ大統領「中東のイスラム国家からジャンボジェットもらったぜ!」じつは私的利用との見立ても「使うとヤバい」理由とは
トランプ大統領「中東のイスラム国家からジャンボジェットもらったぜ!」じつは私的利用との見立ても「使うとヤバい」理由とは
乗りものニュース
自衛隊の“新顔輸送艇”コンセプト初公開 「それに“火力”付けられるよ」 離島防衛の“使えるセット”もはや完成!?
自衛隊の“新顔輸送艇”コンセプト初公開 「それに“火力”付けられるよ」 離島防衛の“使えるセット”もはや完成!?
乗りものニュース
世界初公開! 印パ紛争で注目のフランス戦闘機「新モデル」披露! 見た目の違いはドコ?
世界初公開! 印パ紛争で注目のフランス戦闘機「新モデル」披露! 見た目の違いはドコ?
乗りものニュース
チビすぎ? 地味すぎ? 今や見向きもされない「戦車王国の原点」I号戦車 けっこうスゴいんだぜ…?
チビすぎ? 地味すぎ? 今や見向きもされない「戦車王国の原点」I号戦車 けっこうスゴいんだぜ…?
乗りものニュース
日本の国益を守れ! 国際条約で急ぎ建造「裏方的な海上保安庁船」知ってますか? 能登半島地震でも活躍まもなく退役へ
日本の国益を守れ! 国際条約で急ぎ建造「裏方的な海上保安庁船」知ってますか? 能登半島地震でも活躍まもなく退役へ
乗りものニュース
レーザー1発「うまい棒より安い!」 コスパ最強兵器の大いなる“欠点”とは メーカー「組み合わせて使って」
レーザー1発「うまい棒より安い!」 コスパ最強兵器の大いなる“欠点”とは メーカー「組み合わせて使って」
乗りものニュース
「軍服にしちゃトガりすぎだろ!」ガンダムの「ネオ・ジオン軍」がハデハデ服となったワケ
「軍服にしちゃトガりすぎだろ!」ガンダムの「ネオ・ジオン軍」がハデハデ服となったワケ
乗りものニュース
悲劇の映像「エア・インディア機墜落事故」一体何が? 事故機の型式は「墜落ゼロ」いまわかっていること
悲劇の映像「エア・インディア機墜落事故」一体何が? 事故機の型式は「墜落ゼロ」いまわかっていること
乗りものニュース
就役前の中国最大・最新鋭の空母「福建」韓国との係争海域で発着艦訓練を実施 狙いとは?
就役前の中国最大・最新鋭の空母「福建」韓国との係争海域で発着艦訓練を実施 狙いとは?
乗りものニュース

みんなのコメント

51件
  • comment.
    他の核保有国でもいくらでも有りそうな事故な気がしますね。
  • CDR
    アメリカ本土近海でなければ、問題なし。アメリカ国民には配慮が必要だが、アジア方面ならば、報道しなければいいだけのアメリカ軍事体制。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村