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【岡崎宏司カーズCARS/CD名車100選】すべてをスポーツ派ドライバーに最適に調律。超スパルタンDOHC、1981年いすゞジェミニZZのホットな世界

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【岡崎宏司カーズCARS/CD名車100選】すべてをスポーツ派ドライバーに最適に調律。超スパルタンDOHC、1981年いすゞジェミニZZのホットな世界

ZZはパワフルでダイナミック。走るほどに虜になる!

 ジェミニの人気は根強い。デビューしてからもう長い時間が経過しているが、新鮮さを失っていない。トップモデルとなる1.8リッターDOHCユニットを搭載したZZは、まさにパワフルでダイナミック。硬派なスポーツユーザーを魅了する高い性能を誇っている。

【岡崎宏司カーズCARS/CD名車100選】ジウジアーロがデザインした至宝。1979年いすゞ117クーペ(E-PA96型)は、新鮮な魅力を放つロングライフカーの代表だった!

 ZZシリーズにはRとTグレードがある。違いは足回りのセッティングだ。Tはツーリング志向、対してRはホットな走りにマトを絞っている。純スポーツ設定で、タイヤはハイグリップタイプが標準だ。

 試乗車はRモデル。かなり荒々しいが、走りの喜びを存分に味わえた。最大のチャームポイントは、G180型DOHCエンジンである。1.8リッターのキャパシティから130ps/16.5kgmのパワーを発生する。ピックアップは全回転域で良好、まさにゴキゲンな走りっぷりである。

 G180型エンジンはためらいなくタコメーターの針をハネ上げる。イエローゾーンの6500rpmを超え7000rpmのレッドゾーンまで、スムーズさをいささかも失わない。たいしたものだ。

 最高に活気があるのは4000~6500rpm。この領域をキープすれば、スポーツ派ユーザーを完璧に満足させる。G180型は爽快で強力なパンチの持ち主だ。ラリーでZZの勝利が多いのは、G180型エンジンの優秀さを物語っている。
 それでいて低速性もいい。4速ギアで40km/h、5速ギアで50km/hは完全に守備範囲。性能は文句のつけようがない。

 最新モデルの5速ギアボックスは、従来オプションだったGTレシオと呼ぶクロースレシオ仕様が標準装備になった。G180型のパワーをフルに引き出せるから、一段と元気に走る。

 6500rpmのイエローゾーンまで引っ張ると、GTレシオは1速で約55km/h、2速では約90km/h強まで伸びる。このギア比は、日本の一般的な山岳ワインディングロードに最適。だから走りやすいし、結果的にハイアベレージになる。本格スポーツ派にとって、GTレシオの標準化は大いなるプレゼントだ。

 エンジン音は全体に高めのレベル。5000rpmを超えると、かなりの音量だ。音質も少しガサつき、「金属的な」「乾いた音」と表現されるような快音とはいかない。最新モデルの騒音処理は、以前よりマシだが、キャビンには騒音が侵入してくる。それでも、レスポンスのよさとパワフルさに魅せられ、少々のうるささなど、忘れてしまう。

 足回りをみよう。ガッチリと固められたサスペンションと、高性能タイヤの組み合わせは、コーナリング性能を大きく向上させている。強力なG180型エンジンのパワーを支える足だ。

 ステアリングは可変ギアレシオを持つラック&ピニオン式。最新型は、マウント剛性を高め、応答性を上げた。クルマの動きはさらにシャープになった。しかし、コーナリング時の操舵力/保舵力は重め。ハイアベレージランには腕力がある程度、必要だ。

 ステアリング特性は、フルパワーを使ってコーナーを攻めると、かなり強くアンダーステアが出てくる。もちろん、テクニックのあるドライバーであれば、ステアリングとアクセルを使ってリアを流し、アンダーを殺して走ることができる。リミテッドスリップデフ付きではあるが、テールの流れはスムーズで、とくにコントロールに苦労することはない。ZZ/Rのハンドリングとロードホールディングは、クセを理解して運転すれば、なかなかの戦闘力を発揮する。ちょっぴり古典的なスポーツカーのフィーリングを思い出させる。

 乗り心地は、さすがに固い。路面の凹凸をかなり忠実に伝えてくる。リアからの反応はとくに強めだ。ラリー車的な感触に近い。しかし、ガツンとかドスンとかくる不快さはない。洗練された、とは言い難いが、ホットなスポーツ車として納得できる。

 ZZ/Rはスパルタンなクルマだ。それが個性になって、スポーツ車としての面白みは一級品である。少々荒っぽく、洗練度には欠けるものの、とにかく走りにパンチがあって、ダイナミックなスポーツ走行を堪能させてくれる。
※CD誌/1982年2月号掲載

【プロフィール】
おかざき こうじ/モータージャーナリスト、1940年、東京都生まれ。日本大学芸術学部在学中から国内ラリーに参戦し、卒業後、雑誌編集者を経てフリーランスに。本誌では創刊時からメインライターとして活躍。その的確な評価とドライビングスキルには定評がある。AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員

文:カー・アンド・ドライバー 岡崎宏司
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みんなのコメント

6件
  • ジェミニタイプR
    PF60が記事になるとは珍しい。自分は最終型61年式ブラックヘッドに乗ってましたが1トンを切る車体と締まった足回りで正にスパルタンなクルマでした。
    リヤサスが3リンクリジットであったためか、FRでありながらかなりアンダーステアでミューの高い舗装路ではリヤを流して、という芸当は難しいクルマでした。
  • nor********
    FR ジェミニの内装かっこよかった レーシーでスパルタン
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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