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【竹岡圭 K&コンパクトカー ヒットの真相】三菱eKクロスEV、Kカーの不満を電気で解消

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【竹岡圭 K&コンパクトカー ヒットの真相】三菱eKクロスEV、Kカーの不満を電気で解消

三菱は50年以上前にも電気自動車開発の実績あり

 三菱自動車(以下、三菱)がEVに取り組み始めたのは1966年のこと。69年末、軽ガソリン車のミニカバンをベースに仕立てた電気自動車から始まった。

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 最高速度80km/h、航続距離 70km(30km/h定速走行時)。パワフルさが高く評価され、東京電力に10台が納入されたそうで、つまり、三菱のEVの歴史は50年以上にも及ぶのだ。

 近年もそう。2009年に軽自動車、iをベースとし、リチウムイオン電池を搭載した量産型EVとしたi-MiEV(アイミーブ)を、世界に先駆けて発売している。

さらに住宅の蓄電池として電気自動車を使うMiEVホームや、また2012年には、i-MiEVに蓄えた電池を外部に給電できる「MiEVパワーボックス」をリリースし、移動可能な非常用電源としてクルマを活用するという考え方を広めているのだ。

 つまり三菱にとっては、軽自動車のEVや蓄電池としてEVを使う考え方はいまに始まったことではない。すでにガソリン車iの電気自動車としてi-MiEVがあり、今回はガソリン車eKクロスの電気自動車としてeKクロスEVがある、といった感じなのだ。

 さらにi-MiEVの販売が終了した後もミニキャブMiEVは現行モデルとして販売を続けていることもあり、三菱のEVへのこだわりは並々ならぬものを感じる。

 とはいえ今回は、パワーユニットやシステムはすべて日産製を使っているという点が大きな違いだ。これは、ベースとなったeK/デイズがNVKVという日産と三菱の合弁会社で作られているということもあり、最新の運転サポートシステムも日産のプロパイロット=三菱のマイパイロットだから、このほうがマッチングがよく、早く発売にこぎ着けられたからだと聞いている。

 

 

軽自動車のネガな部分を電動化で見事に払拭

 さて、結論からいってしまうと、eKクロスEVはとてもバランスよく仕上がっている。軽自動車のネガティブポイントが、電動化されることによって見事に消し去られているのがうれしい。

 軽自動車は全幅が限られており、最近のセミトール~スーパーハイト系のものとなると、ディメンション的にどっしり感を出すのが難しくなる。それが、バッテリーを低い位置に搭載したことで、重心高がグッと下がり途端に走りの安定感が増すのだ。乗り心地的にも、軽自動車特有のヒョコヒョコした感じはなく、上質感さえ感じるほどである。

 さらにACCとのマッチングもいい。どんな速度域からも、いきなりフルトルクを出せるモーターの力強さで、前走車に遅れることなくついて行ってくれる。ガソリン車で感じていたストレスが、見事に払拭されてしまうのだ。

 航続距離は、WLTCモードで180km走る。自宅や職場で充電し、毎朝燃料満タンでお出かけすると考えれば、一般的な軽自動車としての使い方ならば十分だ。  eKクロスEVのヒットの真相は「ローマは一日にして成らず」である。50年間積み重ねてきたノウハウは、何物にも代えがたく次につながっていくのだ。

eKクロスEV「ヒットの真相」

1)EVを50年以上作ってきたノウハウを凝縮して投入
2)軽ガソリン車の加速の不満を払拭。スイスイと軽快に走れる
3)バッテリーを低い位置に積載して落ち着いた上質な乗り心地を実現

■主要諸元

車名=eKクロスEV
グレード=P
価格=293万2600円
全長×全幅×全高=3395×1475×1655mm

ホイールベース2495mm
トレッド=フロント×リア:1300×1295mm
室内長×幅×高=2065×1340×1270mm
最低地上高=145mm
車重=1080kg
原動機=交流同期電動機
型式=MM48
定格出力=20kW
最高出力=47kW/2302~10455rpm
最大トルク=195Nm/0~2302rpm
WLTCモード一充電走行距離=180km
駆動用バッテリー=リチウムイオン電池
総電圧=350V
総電力量=20kWh
サスペンション=フロント:ストラット/リア:トルクアーム式3リンク
ブレーキ=フロント:ベンチレーテッドディスク/リア:ドラム
タイヤ&ホイール=165/55R15+アルミ
駆動方式=前輪駆動
乗車定員=4名
最小回転半径=4.8m

●試乗車のPグレードは、SOSコールなどのコネクテッドシステム「MITSUBISHI CONNECT」や9インチスマートフォン連携ナビゲーションを標準装備とした上級仕様。価格は293万2600円と軽自動車としては高価(ベースのGは239万8000円)。当初、55万円の補助金を受けることができたが、12月15日到着分をもって当初予算は受付を終了。11月8日以降の登録、届出された車両は12月2日に成立した補正予算で補助金を出せる見込みだが、事業を実施する民間団体が決まっていないなど12月23日時点で未定となっている。

たけおかけい/各種メディアやリアルイベントで、多方面からクルマとカーライフにアプローチ。その一方で官公庁や道路会社等の委員等も務める。レースやラリーにもドライバーとして長年参戦。日本自動車ジャーナリスト協会・副会長。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

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みんなのコメント

21件
  • このような記事には必ずスマホのバッテリーと混同する連中がネガキャンするだろう。
    そういう人は買わなければよいだけ。
    三菱は、ボーイング787のバッテリー開発を手掛けたGSユアサとの合弁会社を作り2012年にはアウトランダーPHEVのバッテリーを製品化している。
    電気自動車はバッテリー技術のノウハウ如何。 
    日産も海外メーカーでは散見されるにもかかわらず、2010年のリーフ以降発火事故は皆無。
    これらは世界に誇れる実績だと思う。
    バッテリー制御技術が確立しているから軽のような廉価が求められる車両にも、バッテリー冷却機能を搭載しているのだろう。
    言葉は悪いが、軽のユーザーは自動車の技術知見が薄い人が多い層。そこにコモディティー化を一気に仕掛けたことは評価すべきだと思う。
  • 竹岡K。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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