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【MotoGP】ヤマハの新兵器V4搭載YZR-M1見参! ポテンシャルは従来型以上? サンマリノGP初日終えてライダーたちの評価はいかに

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【MotoGP】ヤマハの新兵器V4搭載YZR-M1見参! ポテンシャルは従来型以上? サンマリノGP初日終えてライダーたちの評価はいかに

 MotoGPサンマリノGP初日のフリー走行1回目では、新開発されたV4エンジンを搭載するヤマハYZR-M1が、劇的かつ期待感に満ちた初お披露目を果たした。

 ヤマハのテストライダーを務めるアウグスト・フェルナンデスがプロトタイプを担当し、この日の走行が終了した時点では19番手にとどまった。しかしそのラップタイムは、マシンが秘める実力の一部に過ぎない。

■クアルタラロ、ヤマハの進まぬ開発を嘆く「プレシーズンから同じシャシーとスイングアームなんだ」V4エンジンが命綱?

 初日最初のセッションでピットレーンがオープンになると、国際映像のカメラはブルーを基調としたフェルナンデスの新型M1を捉えた。

 フェルナンデスはセッション序盤、トップ勢から1秒以内というペースをすぐに記録。プロトタイプのポテンシャルを示した。

 ただフリー走行1回目中盤にはドラマも。センサーの不具合でデータが正しく読み取ることができず、プロトタイプが自動シャットダウンする事態に至り、フェルナンデスはゆっくりと停止した。しかしフェルナンデスはスペアバイクに乗り換えてセッションを再開。大きな後れを取ることなく1分32秒537という自己ベストタイムを記録し、21番手でセッションを終えた。

 フェルナンデスのこのタイムは、トップのフランコ・モルビデリ(VR46)に次ぐ2番手でフィニッシュしたヤマハファクトリーのファビオ・クアルタラロからわずか1秒差以内。また18番手となったもうひとりのヤマハファクトリー勢であるアレックス・リンスと同等のペースで周回し、サテライトであるプラマックのジャック・ミラーとミゲル・オリベイラからわずか0.5秒差というペースだった。

 午後になり、フェルナンデスはプラクティスでさらに20周を走行。ターン2で低速クラッシュを喫したことで、この日の走行は早々に終了となったが、ポジティブな面も多かった。リヤにソフトタイヤを履くヤマハ勢のベンチマーク、クアルタラロとの差を0.6秒まで縮めたのだ。

 このタイムの縮まり方には、クアルタラロがプラクティスで直列4気筒エンジンを積む従来M1の予測不能な挙動に不満を抱き、最終的な順位で12番手まで後退したことも大きく影響していた。

 そしてクアルタラロは、フェルナンデスがV4エンジンを搭載するプロトタイプで示したスピードに感銘を受けたようだ。

「僕は主にラップタイムを追っている」とクアルタラロは語った。

「彼は非常に速く、2台目のヤマハから0.1秒未満の差だった」

「アウグストが速いライダーであることは承知している。さらに新車である以上、やるべきことは山積みだ。このマシンには特にセットアップの面で大きな余地がある。そこを活かせば、かなり良い結果が期待できると思う」

 フェルナンデス自身は初日の走行に満足しており、V4プロトタイプが長年従来モデルに残っていた弱点を克服したと強調。ただ現行M1が依然として一部の領域でスピードを保っていることから、ヤマハにはまだ多くの課題が残されていると指摘した。

「標準仕様のバイクには非常に優れた点がある。現時点ではV4よりも若干優れている部分がある」とフェルナンデスは説明した。

「しかしリヤ部分は大幅に改善した。標準仕様の主な課題はリヤのグリップとグリップのマネジメントだった」

「これは開発初期から既に大きく向上していて、現在はフロントを標準仕様並みに機能させるためバランス調整を進めている。全てを統合して、最大限のパフォーマンスを引き出すんだ」

 ヤマハはトラブルが発生したミサノでのテストを経て、サンマリノGPに向けてV4搭載プロトタイプにさらなる改良を施した。問題は解決したようだ。

「今回は、僕らが実施した全ての変更が功を奏したから良い1日だった」とフェルナンデスは言う。

「テストでは通常、いくつかのステップを踏んで、『これは良くない』とか思うモノを排除して、正しい道を見つけようとする。今回は『うわ、これは良いぞ』と初めて思った。ライダーとして、とても良い気分だ」

 さらにフェルナンデスは次のように付け加えた。

「テストで考えていた、あらゆる変更、セットアップ変更、試みたことが全て上手くいったのは初めてのことだ」

「正直、前回ここでテストをした時は苦戦していた。バイクのセットアップやバランスなど、あらゆる面で初めて苦戦した」

「だから今回は大仕事になると想定していた。午前と午後で変更を加えた。まるでテストデーみたいに大きな変更を加えたが、それが功を奏した」

 フェルナンデスのプラクティスにおける予選想定ラップは、テストでコースコンディションやタイヤ供給数制限によって完璧なタイム計測が出来ていなかったことを考えると、さらに印象的な結果と言える。

 MotoGPのコンセッション(優遇措置)によって、これまで苦戦を強いられてきたヤマハはプライベートテストに関してかなり自由な状況だが、開発テストには制約が存在するとフェルナンデスは指摘した。

「2回目のタイム計測では小さなミスを犯した。今回はこのマシンで初めての本格的なタイムアタックだったからね。ソフトタイヤを履いていて、燃料もあまり積んでいなかった」とフェルナンデスは言う。

「(テストでのタイムアタックは)簡単じゃない。ここグランプリ会場とは違い、グリップやコンディション、縁石の状態が同じじゃないから、安全にタイムアタックできる状態じゃない。(テストで)ここに来た時は、縁石が超滑りやすくて使えなかった。だからタイムアタックに挑むのはリスクが大きすぎる」

「だから時には、本格的なタイムアタックを行なわないのも理解できる。現状把握のために行なうのもいいけど、結局のところ、それをしなくても大まかな位置づけは分かるものだ」

 またフェルナンデスはテストでの状況について、こうも語った。

「タイヤで色々できるわけでもない。テストではかなり使い込んだタイヤを使っている。ソフトタイヤをポイ捨てすることはできないよ」

 ヤマハは土曜日のスプリントと日曜日のグランプリで、新開発のV4エンジンを搭載した新型M1からのデータ収集を継続する。特に他車による乱気流を受ける中でプロトタイプがどのような挙動を見せるかが重要となる。さらに10月のマレーシアGPでも実践投入を計画しており、熱帯気候下でのマシンを評価する機会を確保する方針だ。

文:motorsport.com 日本版 Rachit Thukral, Oriol Puigdemont
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みんなのコメント

41件
  • hawk
    アウグストとてもカッコ良かったよ。
    オーバースピードによるマシンの挙動を全力で抑えながらライディングしてたね。
    感動したよアウグスト・フェルナンデス。
  • ワイドゲイプ
    頼むよヤマハ ヨーロッパ方面をぎゃふんと言わせてくれ!
    ファビオにチャンピオンを取らせてくれ!
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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