なぜ特別仕様車の「トレッカー」だけ燃費がいいのか?
先ごろ商品改良を受けたマツダ「CX-60」には、興味深いモデルが設定されていることをご存じでしょうか?
【画像】「えっ!…」これが格上の燃費をマークするマツダ「CX-60」の特別仕様車「トレッカー」です(30枚以上)
3.3リッターの直列6気筒ターボエンジンを縦置きし、後輪を駆動する後輪駆動レイアウトを採用。トランスミッションには、効率とドライバビリティにこだわり、トルクコンバーターではなくシングルクラッチを組み合わせた8速ATを搭載する……。
プレミアムブランドのハイパフォーマンスカーであれば特段、驚くことはない内容のパワートレインですが、これが国産SUVに採用されているとなれば話は別。そう考えるとマツダ「CX-60」って、かなりこだわりの強いクルマですよね。
そんな「CX-60」が、2024年秋に商品改良を受けました。主な改良ポイントは、マーケットからのリクエストが多かったサスペンションの変更です。
しかし、最新モデルのスペック表を見てみると、なんとも興味深い点があることに気づきます。それは燃費。「XDハイブリッド」と呼ばれるマイルドハイブリッド車の欄をチェックしてみると、“あるモデルだけ”ほかより燃費データが優れているのです。
そのモデルとは「XDハイブリッド トレッカー(Trekker)」と呼ばれる特別仕様車。他グレードの燃費値は20.9km/Lもしくは21.0km/Lですが、「トレッカー」だけ21.4km/Lと、頭ひとつ優れているのです。
どうして「トレッカー」だけ燃費がいいのか? その秘密はパワートレインにあります。実は「トレッカー」にだけ、燃費に効く特別な制御が入っているのです。
「CX-60」のマイルドハイブリッド車にはアイドリングストップ機構が備わっており、走行中、エンジン停止状態からの再始動に駆動用モーターを利用します。
しかし「トレッカー」は、状況によってはセルスターターのモーター(=スターター)を活用。それが燃費に効くというわけです。どうしてスターターでエンジンを再始動させると燃費がよくなるのか?
駆動用モーターを使うと、当然ながら、駆動用バッテリーの残量が減ってしまいます。すなわち、エンジン再始動によってモーターで走行できる距離が短くなってしまうのです。
一方、「トレッカー」は、電装品用の12Vバッテリーを使うスターターでエンジンを再始動。駆動用バッテリーが減らないので、モーターでの走行距離も短くなりません。
つまりスターターでの再始動は、駆動用モーターでの再始動よりもモーターでの走行距離が伸び、その分、燃費もよくなるという理屈なのです。
●高速巡航時はスターター音が聞こえてこない
前置きが長くなりました。ここからはそんな「トレッカー」に試乗した印象をご報告していきましょう。
走り出してすぐ高速道路に入り、クルージングモードに入ったのところ、「おや?」と拍子抜けしてしまいました。
カタログなどに「エンジン再始動の際、若干、セルモーター音が生じます」との注意書きがある「トレッカー」ですが、高速道路を走っている限り、そんな音は全く聞こえてこないのです。「トレッカー」最大のデメリットといえるセルモーター音ながら、どんなに耳を澄ましても聞こえてはきません。
「CX-60」のマイルドハイブリッド車は、高速走行中であってもアクセルペダルを踏んでいないときなど状況次第でエンジンがストップします。そこからの再始動をエンジン回転計でチェックしていたのですが……セルモーター音は聞こえてきません。
結果、高速巡航時はスターター音が聞こえてくることはなく、快適性は全くスポイルされていないことが分かりました。
「おかしいな?」と頭に「?」マークを浮かべながら高速道路を降り、一般道を走り始めたところ、「おや?」……例の音が聞こえてきました。
走行中、アイドリングストップからの再始動時に「キュキュッ!」というスターター音が響きます。エンジンが無音の状態で聞こえてくるので、結構目立ちます。気になるかといえば、確かに気になります。
「高速道路だとロードノイズが大きいから、スターター音が紛れて聞こえてこなかったのかな?」と考えていたのですが、どうやらそれだけではなさそう。
一般道を走行していて気づいたのですが、アイドリングストップからの再始動時には、例の音が「するとき」と「しないとき」があるのです。どうも走行中の速度と関係がある模様です。
そこでマツダに確認したところ、「40km/h未満はスターターで始動。そこから40km/h台までは減速度合いなど状況次第でスターターと駆動用モーターとを使い分け。そして50km/h以上では駆動用モーターで始動する」との回答でした。なるほど。
ちなみに、駆動用モーターでの再始動時はもちろんのこと、スターターでの再始動時もショックや振動は一切ありません。その辺りは心配無用です。
燃費向上の仕掛けが「トレッカー」にしか備わらない理由
いずれにせよ、「トレッカー」をドライブしているときは、エンジンの再始動が駆動用モーターによるものなのか、スターターによるものなのかがハッキリ分かります。
そのため、スターターでの再始動時は、特有の音が耳障りに感じる人もいるかもしれません。それを理由に「『トレッカー』を選ぶのは止めよう」と思う人もいることでしょう。でも、その必要はありません。
なぜなら、センターディスプレイを介した車両設定において、スターターによる再始動を「する」か「しない」かを選べるからです。
少しでも燃費を稼ぎたいなら「する」にしておけばいいし、「しない」なら若干燃費が落ちる(とはいえ、大きく悪化するわけではない)ものの、スターター音のない優れた静粛性を享受できるからです。ユーザーが好みに応じて設定を選べるわけですね。
ちなみに、「トレッカー」独自の制御はソフトウェアによるもので、メカニズム自体に変更がありません。コストアップ要因がない点も、この制御のポイントといえるでしょう。
不思議に思うのは、マツダはなぜこの仕掛けを「CX-60」のマイルドハイブリッド車すべてに採用するのではなく、「トレッカー」にだけ組み込んだのか? ということです。
その理由は「トレッカー」が“パイロットモデルだから”と考えれば納得できます。まずは特別仕様車でユーザーの反応をチェックし、評判がよければ他のモデルにも展開していく……ということなのでしょう。
* * *
「トレッカー」はこうした独自のエンジン再始動制御に加えて、日本仕様の他の「CX-60」では選べない「ジルコンサンドメタリック」のボディカラーを選択できます。
加えて、キャンプなどのレジャードライブへ出かける際、ラゲッジスペースとキャビンの間に張って荷崩れを防ぐ“パーティションネット”も備わるなど、内外装とともにアクティブな仕立てとなっています。
これまでの都会的なイメージとは異なるアウトドアテイストの内外装に、さらなる省燃費を融合した「トレッカー」は、まさに「CX-60」の新スタイルといえる1台です。
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みんなのコメント
そこまでべた褒めする事とは思えない。