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知的で粋な選択~ホンダ・シビック・ハッチバック試乗記

マイナーチェンジを受けたシビック・ハッチバックの6MT仕様に田中誠司が試乗した。大きく、そして立派になった現行モデルの魅力とは?

諸経費込みで約300万円

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「シビック」、276.1万円から294.8万円……“エッ、それってタイプRの話だよね?” と、反応するのはアラフォー以上の世代の人であるはずだ。確かに「シビックタイプR」は10年前まで300万円未満で売っていた。

フツーの日本車なのか、気取ったイギリス車なのか、アメリカ向け大衆車なのか……シビックは、コスモポリタンゆえに日本での居場所を失い、ホンダを代表する車種にもかかわらず、長く市場から姿を消してしまった。

「シビック・ハッチバック」と「シビック・セダン」として日本市場に戻ってきたのは2017年のこと。かつては“シビックの延長がタイプR”だったのが、“ニュルブルクリンクFF最速を争うタイプRを、むしろベースとするシビック”と、うたっての復帰だ。

それゆえ、コンパクトでちょっと軽薄なのが特徴でもあったかつてのシビックと違い、イギリスから逆輸入される現代のシビック・ハッチバックには、世界で戦う雰囲気が満ちている。

コミュニケーション・カラーであるいま流行りのグレーに包まれたボディは、全幅1800mmと幅広く、ハンドルからしてがっしりとしたドアはズシリと重い。シルバーとブラックを組み合わせた凝った形状の18インチ・ホイールの前後には尖ったエアダムが備わり、排気管は車体中央から突出する。全長4520mmとハッチバック車としては大柄ながら戦闘的なルックスである。この3月からはエヴァンゲリヲンとマーケティング・コラボレーションを始めたが、デザイン面ではそれもしっくりくる。

そしてこのモデル最大の特徴のひとつは、182ps/240Nmを発する1.5リッターガソリンターボユニットを操るトランスミッションに、6段マニュアルが用意される点だろう。一時期絶滅しかかったMT車に、ここへきて復活の兆しがあるのはクルマ好きならご承知のとおりだが、ちょっと大きめで実用的なハッチバックのMT車というのは、いかにも大陸的にクルマを使い倒せそうで、むかしシトロエン「BX19 GTi」の5MT車に乗っていた私のような、古いガイシャかぶれの心をくすぐる。

実用的なエンジン

1月のフェイスリフトでは、内外装のリファインと同時に運転支援システムの「ホンダセンシング」が標準搭載となった。モダンなデザインのインテリアは、特段印象に残るような品質感ではないものの、外観に合わせた形状のプラスティック・パネルはシャープに処理されている。

日本人の標準的体格からすると、ファブリックとレザーを組み合わせたシートは若干ルース・フィットでクッションが平板。たとえばフォルクスワーゲン「ゴルフ」など、このクラスで主流のドイツ車に比べ全般にカジュアルな仕立てだ。後席はとても広く、筆者(身長172cm)がポジションを合わせた運転席の後ろに座ってみると、ひざ前には21cmもの空間が残る。

6段MTは、ストローク量こそ標準的ながら、ゲートが明確で剛性感がとても高く、球形の下半分をレザーで覆った新デザインのシフトノブも、ちょうど掌に収まって心地よい。クラッチペダルはとても軽く、ストロークが短めだ。最初は動力の繋がり具合が掴みにくいように思うが、タコメーターの針が600を下まわっても息絶えないほどボトムエンド・トルクが豊かなので、実用上の不満はない。

この4気筒エンジンは低回転域がとてもスムーズで、1500rpmくらいで巡航しているとほとんどノイズを意識させず、シフトロッドがゲートに当たる“カタン”という音の繰り返しさえ気になるくらい静かだ。3000rpmを超えると若干の雑味を伴いつつも、排気音のボリュームとともにトルクが高まっていく。

明確なパワーゾーンは3500~5500rpmで、1330kgと見た目のわりに軽いボディには力感は十分。しかし出力が、ピークの182psに達する5500rpmから6500rpmのレブリミットまでは、淡々とまわるだけで勢いは感じられない。“ホンダのVTECターボ”と聞くと、われわれは係り結びのように“高回転型”を期待してしまうが、その領域はタイプRの守備範囲と割り切っているようだ。

シビックが筆者の世代の現実的な憧れであったころ、“スポーツ・シビック”と呼ばれた5代目EG型シビックのスポーツモデル「SiRII」は、1.6リッター エンジンから155ps/7300rpmを絞り出した。パワー・トゥ・ウェイト・レシオでいえば現代のシビックより4%ほどパワフルな計算になる。

低速トルクが豊かで、ギアも6段ある現行シビックは、加速競争ならかつてのSiRIIに勝てるかもしれないが、ドラマとかエキサイトメントという観点では昔の自然吸気VTECに軍配があがるだろう。

とはいえ、シビックよりもシトロエンBXの方に懐かしさを覚える私などは、べつにトップエンドまでエンジンをまわすことにこだわらなくてもいいだろう、もういい歳なんだから、トルクの山だけ使ってショートシフトしているほうがシブいよね、とも思う。

シビックが日本市場にある意味

容姿とサイズから想像できるとおり、シビックの乗り心地やハンドリングは、いわゆるゴルフを中心とするCセグメントの標準よりも重厚だ。幅広いトレッドと長いホイールベースの組み合わせで、車重を聞いて想像するよりどっしり走る。フロントがストラット式、リアがマルチリンク式の足回りは、ダンパーやベアリングの精度、ボディ剛性の高さを意識させる上質な動きで、ドイツ製タイヤの上下動をしっかり受け止める。

前後とも235サイズのグッドイヤー「イーグルF1」が示すグリップは、1330kgの車重に対して十分以上。意地悪なダブル・レーンチェンジを試みてもすっと挙動がまとまる。215サイズくらいでも間に合いそうだ。欧州の実用車としては典型的にファームな乗り心地に不満はないが、ステアリング中立付近に少し反応の鈍い領域があるのは、必要以上に幅広なタイヤを履くデメリットかもしれない。

ふつうのシビックに300万円……ちょっと躊躇する金額だけれども、そして、内外装の細部の品質をもう少し高めてもいい気はするけれども、こんな骨太感ある実用車を日本のメーカーが日本市場に送り出し、かつMT車も用意するというのは、日本の消費者と自動車ジャーナリストが長く念願していたことではなかったか。

ホンダはいま、F1で息を吹き返し、組織再編で生まれ変わろうとしている。そうした時期に素のシビックをマニュアルで乗るのは、なかなか知的で粋な選択であるように思う。

文・田中誠司 写真・安井宏充(Weekend.)

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