6月27日(金)から、ついに映画『F1/エフワン』が全国公開を迎えた。ブラッド・ピットが主演を務め、『トップガン マーヴェリック』制作陣が指揮を執り、劇伴はハンス・ジマー。ハリウッドを代表するスターが結集して作り上げられたことから、大きな注目が集まっている。
しかし、これまでF1やレースに触れてこなかった方も多いはず……そんなあなたに、映画をもっと面白く観れる、より深く理解できるF1の基礎知識をお届けします!
■F1長者番付|億万長者があちこちに! 世界有数の”大富豪”が集う世界一のモータースポーツ
1. そもそもF1って何?
世界最高峰の4輪モータースポーツ、F1とは”フォーミュラ1”の略である。1950年に世界選手権が始まり、今年で75年目のシーズン。世界各国を転戦し、覇権を競う。
各チームはそれぞれ独自にマシンを開発。今のF1マシンは、市販のハイブリッド車と同じエンジンと電気モーターを組み合わせて走るが、その出力は比較にならない。
各チームともふたりのレギュラードライバーを抱え、そのふたりが乗る2台のマシンを走らせるためだけに、1000人規模のスタッフが従事。年間に使うことができる予算は約200億円までと定められている(以前は年間1000億円使っていたチームもあった!)。
決勝レースの上位10人に順位に応じてポイント(25~1)が与えられ、年間の獲得ポイント数が最も多い者がドライバーズチャンピオンとなる。このポイントはチームにも加算され、最も獲得ポイント数が多いチームがコンストラクターズ(製造者)チャンピオンとなる。ちなみにコンストラクターズランキングに応じて賞金が配当され、ここ数年は1位のチームが200億円以上の賞金を手にしたとされている。
様々なルールが設けられているものの、基本的にF1はハンデなしの自由競争。弱肉強食の世界で、最強・最速を決めるのだ。
2. F1の今
ここ数年、世界的なF1人気は爆発的に伸びている。ヨーロッパ生まれのスポーツだが、特にアメリカ市場での勢いが顕著で、年間24戦のうち3戦も開催してしまうほど。有名なラスベガスのカジノ街の中を走るグランプリ(ラスベガスGP)もある。そのF1人気ぶりに、世界各国で新規開催を望む声もある。しかしその開催権利の料金は、1戦40億円前後からとも言われる。
その人気により、様々なブランドがF1とパートナーシップを締結。最近ではLVMH(ルイ・ヴィトンなどを傘下に持つブランド・グループ)やレゴ、アメックス、ハイネケン、レノボなどと、大規模な契約を結んだ。映画『F1/エフワン』が生まれた背景にも、そうしたF1の勢いがある。2026年からはディズニーともパートナーシップを結ぶことが決まった。ミッキー・マウスがF1にやってくる!
3. 世界最高のチームとドライバー
75年の歴史の中で、F1では160を越えるチームが生まれては消えを繰り返してきた。現在は全10チームが参戦、2026年からは11チームに増える予定だ。メルセデスやフェラーリといった自動車メーカー直系のチーム多いが、エナジードリンクメーカーのレッドブル傘下のチームもある。
ほとんどのチームがイギリスに拠点を置き、テクニカルディレクターと呼ばれる開発責任者主導で日夜マシン開発が行なわれる。レースが行なわれる週末には、NASAのミッションコントロールルームさながらの後方支援室で膨大なデータを分析しつつ、有益な情報をリアルタイムで現地に提供する。また様々なシナリオを検討するため、サーキットでのマシンの動きを正確に再現したシミュレーター(いわばレースゲームの超精密化版)も用いられる。
各チームにはふたりのレギュラードライバーと複数人のリザーブドライバーが所属している。ドライバーは幼少期からカート/ゴーカートでレースを始め、小さなフォーミュラカー(ひとり乗りでホイールがむき出しのマシン)のレースへとステップアップ。FIA F3やFIA F2といった下位カテゴリーを経験し、世界でたった20席しかないF1を目指すのだ。モータースポーツはお金のかかるスポーツであり、その道中では様々な犠牲が伴う。まさに人生を賭けた戦いだ。
F1では、これまで780人以上のドライバーがグランプリに出走してきた。そのうちグランプリウィナーは115人。さらに世界チャンピオン経験者はたった34人だ。
現役最多勝記録を持っているのはルイス・ハミルトン(フェラーリ)で、通算105勝。これは歴代でも最多勝である。チャンピオン獲得回数7回も史上最多タイ記録だ。
ここ4年はマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が、ドライバーズタイトル4連覇。この他、最年長フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)も、過去に2度タイトルを獲得した。
ちなみにハミルトンとフェルスタッペンは、フォーブス誌の「世界で最も高収入なアスリートランキング」に名を連ね、ふたりとも約100億円以上を稼いだとされている。
なお現行F1マシンは1000馬力を超えると言われるパワー、恐ろしいほどのコーナリング性能に加え、強力なブレーキを搭載していることから、ドライバーは最大で5~6G(体重の5~6倍)の負荷に2時間耐えうる身体づくりが必要となる。特に体幹部分が重要。さらに強烈なGで頭が持っていかれないように、F1ドライバーは皆、首の筋肉が異様に発達し、ものすごく太くたくましい。
4. 日本人現役F1ドライバー
現役唯一の日本人ドライバーである角田裕毅(25歳)は、神奈川県相模原市出身。日本のF4選手権でチャンピオンになったのを皮切りに、海外のシリーズに活躍の場を移した。
角田は2021年にF1デビューを果たし、今年で5年目。今年のシーズン途中から、トップチームのひとつであるレッドブルに加入し、現役最強ドライバーのフェルスタッペンのチームメイトを務める。
日本人ドライバーがF1トップチーム入りするのはこれが初めてのことで、日本人ドライバー初のグランプリ優勝、世界タイトル獲得など、活躍が期待されている。また、現役F1ドライバーきっての“グルメ”としても知られ、自身が住むイタリアのピザについて語り始めたら止まらない。
映画撮影時はアルファタウリ(現在の名称はレーシングブルズ)に所属しており、ブラッド・ピット演じるAPXGPのソニー・ヘイズにオーバーテイクされるシーンもある。
ちなみに日本人ドライバーのF1での最高成績は3位。まだ2位はおろか、優勝もない。頼んだぞ、角田!
5. 自動車メーカーの熾烈な戦い
F1を語る上で自動車メーカーの存在は欠かせない。各車が搭載するエンジン(現在はハイブリッドのため”パワーユニット/PU”と呼ぶことが多い)は、いずれも自動車メーカーが手がけたものだ。
現在はメルセデス、フェラーリ、ルノー、レッドブル・パワートレインズの4つのPUが参戦中。このうちレッドブル・パワートレインズのPUはホンダ製であり、全て日本で作られている。
2026年からはルノーがPUからは撤退するものの、ホンダが正式復帰。さらにレッドブル・パワートレインズは、フォードのサポートを得てPUを自社製造することになる。またアウディが参戦をスタート。キャデラックもまずはチームとしての参戦をスタートさせ、2029年からはPUメーカーとしても参戦することになっている。
この他スーパーカーメーカーのマクラーレンとアストンマーティン、さらにルノー傘下のスポーツカーブランドであるアルピーヌがチームとして参戦中である。アストンマーティンは、2026年からホンダのPUを使う。
戦っているのはドライバーやチームだけではない。メーカーにとってF1は、技術力を磨き、自らが世界一だと証明する舞台。まさに威信をかけた争いなのだ。
6. 日本のF1史にホンダあり
ホンダは1964年からF1への参戦を開始し、翌1965年に初優勝。その後、参戦を停止する時期もあったが、ウイリアムズやマクラーレン、ロータスといったチームにエンジンを供給し、1980年代から1990年代には黄金期を築いた。
最近では2019年からレッドブルにPUを供給。フェルスタッペンのドライビングもあり、第2の黄金期と言ってもいい状況だ。正確には、現在ホンダはF1から撤退している時期であるが、前述の通りRBPTのPU製造を請け負っている。しかし2026年に正式復帰し、アストンマーティンにPUを供給。タッグを組んで世界チャンピオンを目指す。
またホンダはF1参戦に併せて、これまで多くの日本人ドライバーを世界の舞台に送り込んできた。前述の角田も、ホンダが育成してきたドライバーだ。
7. 来年からはF1新時代
2026年からは前述の通り多くの自動車メーカーがF1に参戦する。ここには、F1人気が高まっていることも関係しているが、新しい規則のPUやバッテリーが、市販車やその他の技術開発に役立つからとも言える。
また石油由来のガソリンを使うことは禁止され、持続可能燃料を使うことが義務付けられる。この持続可能燃料の究極の形は、水と空気を原料とするeフューエルと呼ばれるもので、F1での技術競争を皮切りにこの技術が普及、一般化すれば、地球環境の保全にも役立つはずだ。
かつての姿から環境に対して悪影響を及ぼすイメージを持たれがちのF1だが、今や真の意味での“走る実験室”になったと言える。
8. 旅する世界選手権
現在のF1は全24戦で開催。ヨーロッパ、アジア、南北アメリカ、中東と世界中を網羅し、都市やサーキットをサーカスのように転戦する。これが”F1サーカス”と呼ばれる所以だ。
レース開催数は、ほんの数年前までは年間16~18戦であったため、実に1.5倍に増えている。
その理由は、F1の開催を求める国や地域、サーキットが多いから。しかし運営側はここを上限数としており、これ以上年間開催数が増えることはないと言われているため、誘致を目指す地域・団体による大争奪戦が勃発している。既存のグランプリも現状にあぐらをかいていると、開催枠を失いかけないのだ。
かつてアメリカはF1不毛の地と言われ、ご当地レースであるNASCARやインディカーの人気には敵わなかった。しかし、Netflixのドキュメンタリーシリーズ『Drive to Survive(栄光のグランプリ)』のヒットにより人気が大爆発(F1の今を知る上ではオススメです!)。今では年間3レースを開催するまでになった。
今後はアフリカ大陸、タイや韓国などのアジア圏でも、開催を求める声が上がっている。日本の大阪も、F1誘致を真剣に検討している。
★後半に続く……!
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