BYD Auto Japanが、4月15日(火)から販売を開始したクロスオーバータイプの電気自動車「BYD SEALION 7(ビーワイディーシーライオン セブン)」に試乗した。
「BYD SEALION 7」は、日本導入第4弾のミドルサイズSUVで、後輪駆動の「BYD SEALION 7」と四輪駆動の「BYD SEALION 7 AWD」の 2グレードが販売された。その価格は、BYD SEALION 7が495万円、BYD SEALION 7 AWDが572万円となっている。さらに発売記念として、2025年6月30日(月)までに「BYD SEALION 7」を購入、登録すると、ドライブレコーダーやETC車載器などの人気アイテムを無償でプレゼントされるというキャンペーンをおこなっている。
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「BYD SEALION 7」は、昨年6月に販売された「BYD SEAL」をベースにしている。我々は、その時点で走行性能に関しては期待できるものだと予想はしていたが、果たして期待を大きく上回る出来の良さに感服した次第である。
欧州車仕立て「BYD SEALION 7」のデザインは、BYDのデザイン部門の統括責任者であるウォルフガング エッガーが担当。「BYD SEAL」、「BYD DOLPHIN」同様、BYDの海洋シリーズに共通するデザイン言語(海洋生物の自由さと美しさ)を採用している。フロントフェイスは、「BYD SEAL」に共通するシャープなLEDヘッドライトと大きな「BYD」のロゴで存在感をアピール。
サイドビューはBYDの上級SUVらしく伸びやかな美しいラインで構成されていて、どこか欧州プレミアムSUVに通じるものがある。ドアハンドルは格納式でフラッシュサーフェイス化に役立っている。
リアゲートにはダックテール型のリアスポイラーが組み込まれていたりとスポーティーな出で立ちだ。テールライトはトレンドを踏んだデザインとなっている。Photo:馬淵忠則「BYD SEALION 7」の走りはズバリ、欧州ミドルクラスSUVに匹敵する。前後に電動モーターを搭載する全輪駆動版「BYD SEALION 7 AWD」は0-100km/h加速4.5秒という俊足ぶりを示すが、何より先行の「SEAL」に共通するサスペンションがもたらす欧州プレミアムブランド同様のハンドリングの良さが際立っていた。
BYD SEALION 7のボディーカラーは4色展開。このシャークグレーの他にアトランティスグレー、オーロラホワイト、コスモブラックがある。Photo:馬淵忠則その電動モーターは、前に160kW、310Nmのかご型三相誘電モーターを、後ろには230kW、380Nmの永久磁石同期モーターを搭載する。この後輪駆動用のモーターは「SEAL」と共通だが、最大トルクは「SEAL」の360Nmに対して380Nmに強化されている。車重は「SEAL」の140kg増しで、後輪駆動が2,230kg、全輪駆動が2,340kgなので、車格からするとBEVにしてはそれほど重くないと言える。
e-Platform 3.0とCTB「BYD SEALION 7」は、BYDがEV専用に開発した「e-Platform 3.0」をベースに、「BYD SEAL」から本格採用した「CTB(Cell to Body)」技術を採用している。「CTB」は、「ブレードバッテリー」を車体の一部(構造物)として組み込むことで、欧州の大型高級車と変わらない40,000Nm超という堅牢なボディ剛性(ねじり剛性)を獲得し、衝突時でも極めて高い安全性を確保している。
BYD独自のブレードバッテリー、CTB、e-Platform 3.0などの先進技術が実用的なBEVを形成している。Photo:BYDこのきわめて高いボディ剛性と、前にダブルウィッシュボーン、後ろにマルチリンク、そこに可変式ショックアブソーバーを組み合わせるコンベンショナルな構成で、絶妙なチューニングとホイールベース、トレッドのバランスが抜群で、BEVならではの低重心、車重をうまく活かした、実に落ち着いた余裕の走りを実現している。
「BYD SEALION 7」の徹底したボディ設計が軽量化、剛性の高さにつながっている。Photo:BYD「BYD SEALION 7 AWD」には、BYD独自開発のインテリジェンス・トルク・アダプテーション・コントロール(iTAC:アイタック)を搭載。このシステムは走行状況に応じて前後のモーターを0.022秒という微小の回転角度でスリップレートを検知、制御することで、よりスムーズかつ安定した走りを実現する。ただ、このシステムの特徴なのか、スロットルレスポンスにふわっとした感覚を伴うタイムラグがあったことを記しておく。
高い快適性能「BYD SEALION 7」のウインドウガラスにはスバル、VW、BMW、ボルボなどがこぞって採用しているフーヤオ(Fuyao)製が採用されている。フロントガラスとフロントサイドガラスには合わせガラスが採用されていて、これが車内の圧倒的な静かさをもたらしている。その静かさは、スマホの急速充電器の冷却ファンの音がやたらと耳障りに目立つほどだ。
シートの出来の良さも特筆すべき点で、乗り心地の良さに大きく貢献している。落ち着いたインテリアデザインも上級モデルならではとなっている。
センタートンネルが無いので前は収納、後ろは平らなフロアとなり快適。後席の足元はかなり広い。身長180cmの乗員が前席で窮屈にならない程度に調整して、身長170cmの乗員が後席に座った状態。車内の静粛性も優れている。Photo:馬淵忠則「BYD SEALION 7」から、タッチスクリーン上のUI(ユーザーインターフェイス)が大きく変わった。大きな15.6インチの回転式マルチタッチスクリーンをメインとするインターフェイスには、7nm(ナノメートル)の車載用高性能チップ(8155チップ)を新たに搭載。これにより、多くの機能がさらに見やすく、使いやすくなっている。
高周波モスキート音が気になるスマホ急速充電器の冷却ファン(トレー左側)。ピアノブラック仕上げを多用しないインテリアには大いに好感が持てる。また、スマートフォンまたはスマートウォッチのウォレットにNFCカードを追加することができるようになったことにより、スマートフォンやスマートウォッチ経由での鍵の施錠、開錠、さらには、イグニッションONにできるなど、便利機能が充実している。
「BYD SEALION 7」は荷室も広い。ボンネットの下にはフランクもある。運転支援システムについては、「BYD DOLPHIN」「BYD ATTO 3」「BYD SEAL」に共通する定評の装備に加えて「BYD SEALION 7」では新たな機能として「ドライバーモニタリングシステム」が標準装備されている。このシステムは、運転席側のAピラーに搭載した小型カメラを用いて常時ドライバーをモニタリングし、異常を検知すると警報を発するもので、例えば、ドライバーが目を閉じたり、あくびをしたりすると、システムは自動的に「疲労」と認識。また、運転中によそ見をしたり、前方から目線が逸れると「注意力の低下」と判断して、それぞれ警告を発する。ただ、こういった先進技術のアピールは、余計なお世話的に感じることがあった。
タッチスクリーンのホーム画面から窓やドアミラーの開閉、チャイルドロックの施錠、開錠、シート関連の操作画面にワンタップで切り替え、操作や、指一本で窓の開閉やルーフの電動シェードを自由に調整することができるようになった。最高レベルの安全性を誇るLFPバッテリーBYDのバッテリーは、LFP(正極材に、リン「P」、鉄「Fe」、リチウム「Li」)を使用するリチウムイオンバッテリーだが、このLFP(リン酸鉄リチウムイオン)バッテリーは、三元(NMC)系(正極材に、ニッケル「N」、マンガン「M」、コバルト「C」を使用)リチウムイオンバッテリーに比べて、重い、容量が少ないといったデメリットがある一方で、極めて高い安全性と耐久性を有しているとされている。
BYDは、この特性を活かして、LFPバッテリーを板(ブレード)状に成型し、それを限られた空間に隙間なく、効率よく敷き詰めた「ブレードバッテリー」を採用しているが、この技術的進化はとどまることがない。2025年3月17日には世界に先駆けて、これまでの内燃機関の給油時間と変わらない充電時間(1秒で2Km走行分の電力を充電できる)で電気を蓄えられる「スーパーeプラットフォーム」の市販化に成功している。
個人的にはメルセデスCクラス、BMW3シリーズに匹敵するスポーツセダン「BYD SEAL」が好みだが、人に勧めるのは「BYD SEALION 7」の方だと思う。「BYD SEALION 7」の充電時の車両側の最大受入容量は105kwだが、高い電力を積極的かつ効率良く受け入れるには、バッテリー本体の温度を適切に管理することが非常に重要だ。そこで、「BYD SEALION 7」では、新たに「充電予熱機能」を採用。BEVが弱い冬場など、とくに低い温度環境下でも安定した充電を可能にした。例えば、充電前にバッテリーを適温に温めておくことで、冬の寒い朝など、バッテリーの温度が低い状況でも効率よく充電できるようになる。
モデル・グレードBYD SEALION 7BYD SEALION 7 AWD駆動方式後輪駆動全輪駆動全長/全幅/全高/ホイールベース (mm)4,830×1,925×1,620×2,9304,830×1,925×1,620×2,930⾞両重量(kg)2,2302,340乗⾞定員(名)55荷室容量(L)F:58/R:500F:58/R:500最小回転半径(m)5.95.9一充電走行距離(km)5905400~100km/hの加速時間(秒)6.74.5フロントモーターかご形三相誘導モーター 160kW(217PS) 310Nmリアモーター永久磁石同期モーター 230kW (312PS) 380Nm永久磁石同期モーター 230kW (312PS) 380NmバッテリーBYD ブレードバッテリー(リン酸鉄リチウムイオンバッテリー)BYD ブレードバッテリー(リン酸鉄リチウムイオンバッテリー)総電力量(kWh)82.5682.56フロントサスペンションダブルウィッシュボーンダブルウィッシュボーンリアサスペンションマルチリンクマルチリンクブレーキ(F)ドリルドベンチレーテッドディスク (R)ベンチレーテッドディスク(F)ドリルドベンチレーテッドディスク (R)ベンチレーテッドディスクタイヤサイズ(F)235/50 R19 (R)255/45 R19245/45 R20ネガティブ要素が見つからない後輪駆動の「BYD SEALION 7」と全輪駆動の「BYD SEALION 7 AWD」を比較すると、トータルバランスは圧倒的に後輪駆動の「BYD SEALION 7」の方が上だ。最新技術が搭載された車でありながら実にナチュラルな挙動を示すその走りは、往年のFRドイツ車を思わせた。ダイナミックな走りがお好みなら「BYD SEALION 7 AWD」をお勧めする。
「BYD SEALION 7」は後輪駆動ならではのハンドリングの良さが際立っている。「BYD SEALION 7」の試乗で、改めてBYDの自動車づくりに対する真摯な想いを感じることができた。そして自動車としてのまとめ役が優秀なのだろう。パワートレイン、ボディ、サスペンションそれぞれが見事に、高い次元でパッケージングされている。既存の自動車メーカーには大いに危機感を感じてほしい。
なにより、その価格には驚きを隠せない。後輪駆動の「BYD SEALION 7」が495万円、全輪駆動の「BYD SEALION 7 AWD」が572万円で、全ての装備込みのワンプライスという驚異的と言っても大げさではない値付けがされている。
これは、事前予約開始後1ヶ月間で累計受注台数が100台超、先日取材に行ったイベントでも受注があったこと、さらにバンコクモーターショーの期間中にイベントを通してトップとなる3,853台の契約を獲得していることからも「BYD SEALION 7」のコストパフォーマンスの高さが早くも伝わっていることを意味する。電気自動車の、BYDの“自動車”としての高い完成度は早いうちに体験した方がいい。
Text&Photo:アウトビルトジャパン
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みんなのコメント
中華車に乗らんでもいいだろ
かなりの宣伝広告費を掛けて日本に進出したい意思は伝わってるけど。
ここの口コミにも明らかに日本人以外の人のヨイショ投稿もものすごい。
でもさっぱり売れてないところを見ると、費用対効果は全くの大赤字。
それでも進出して来れるのは中国政府からの莫大な補助金なのかな?
中国政府からの莫大な補助金を受けながら、日本でもEV補助金と言うのは不公平だとも思う。
トランプさんが言う輸入関税を日本もやるべきだと思う。
日本では売れないだろうが、在日中国人や販社が購入したクルマにも少なからず税金投入はやめてほしい