「ライトウェイトスポーツにホンダのタイプRのエンジンを積んだらなぁ」。そんな妄想をしたことある人も多いだろう。
軽いクルマに気持ちのいいパワフルなエンジンを積む、それは楽しい走りが期待できる公式だ。
そんな公式を信じ切って開発されたであろう、とてつもないクルマがアメリカで登場した。車重わずか555kg、そしてエンジンパワーは驚異の567ps!!
しかもアメリカホンダから正規にエンジン供給を受けるという。スペックはF1級、価格はGT-R級のスーパーカーはいかが?
文:ベストカーWeb編集部/写真:VANDAL
■そのスペックF1以上?? タイプRの血統が大進化
今回紹介するクルマはアメリカミシガン州に本拠地を置くVANDAL(ヴァンダル)のOne(ワン)。
VANDALって単語、意味は「破壊者」になるが、なにを破壊しているのかがちょっとわからない。
エンジニアはマクラーレンやロータス、ローラ、マツダなど、名だたるメーカーからの出身者を揃えている。きっと技術で常識を破壊する、そんなイメージだろう。
Oneに関してもいろいろとツッコミたいことは山ほどあるクルマなのだが、まずはそのアグレッシブすぎるスペックから紹介したい。
・ボディサイズ:全長4342mm×全幅1850mm(トレッドF:1560mm/R:1510mm)
・ホイールベース:2743mm
・車重:550kg
・エンジン:ホンダシビックタイプR用K20C1
・エンジンスペック:567ps
・トランスミッション:6速シーケンシャル
・モノコック:FIA準拠カーボンモノコック
・ボディ:カーボン
・タイヤサイズ: (F)265/35/18 (R)325/30/18 前後スリックタイヤ
スペックに踊る文字を見るにレーシングカーに近い構成だが、このOneはナンバーを取得することはまずできない。
かといってレースに参戦するにはカテゴリーがない。つまり、サーキットで徹底的に走りを楽しみたい人が買うためのクルマなのだ。
エンジンはホンダシビックタイプR用のK20C1を搭載。こちらをチューンアップしてOneのトップグレードである「R Edition」では567psに。
冷却系や油温などのセンサーロガーも備えており、これだけのハイチューンドエンジンも安全に乗れるようだ。
珠玉のタイプRのエンジンをカリカリに弄って、しかもミドシップにマウントする。写真を見てもらえばわかりやすいが本当に車体の中央に近い部分に搭載される。
サスペンションはF1などフォーミュラカーに近いプッシュロッド式。よりダイレクトで操縦性の高い足回りだ。そして最大コーナリングGは3Gを超えるという。
知れば知るほどアメリカ企業の発想の柔軟さが身に沁みます……。
■パワーウェイトレシオは驚異の0.97で1000万円台か!!
VANDALによると価格は11万9700ドル(約1325万円)からとのこと。ベースグレード(344ps仕様)が1325万円で、567psの「R Editon」はもう少し高いはず。
しかしたとえ1800万円だとしてもバーゲンプライスかと思える。その根拠として説得力があるのがパワーウェイトレシオ。
Oneと同じエンジンを積むシビックタイプR(日本仕様)は、車重1380kg÷最高出力310psでパワーウェイトレシオは4.45kg/psになる。
1psが負担する重量は4.45kgになり、この数値が低いほど効率よくパワーを使い切ることができる計算だ。ちなみに4kg台なら相当速い部類。
肝心のVANDALは「ONEはブガッティヴェイロンのパワーウェイトレシオの2倍を記録している」と堂々と発表している。
ブガッティヴェイロンは1888kgの車重に1001psの馬力で、パワーウェイトレシオは1.88kg/psになる。ということはONEは1kg/psを下回るということだ。
念のために計算してみると車重550kgに560hp(=567ps)のパワーだから、パワーウェイトレシオは「0.97kg/ps」。
もうこうなるとF1マシンに話が近い。F1は740kg程度の車重に800ps以上のパワーを出すことも可能で、パワーウェイトレシオについては「小数点以下」が普通の世界。Oneはこれに近い。
それを市販車で味わえるならたとえ1800万円と言われても超絶にお得かもしれない。ついでになるがOneのベースグレードでも1.59kg/ps。3億円近いといわれるパガーニのウアイラと同じだ(Oneはお得すぎるでしょ??)。
VANDAL Oneは公式サイトで予約受付中。
基本はメンテナンスの関係でアメリカ国内での販売とのことだが、どうしても欲しい人は聞いてみるのもありだ!!
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