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「アルトゥーラ」がマクラーレンの第2章と呼ばれるワケ 走りもコクピットも新世代に

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「アルトゥーラ」がマクラーレンの第2章と呼ばれるワケ 走りもコクピットも新世代に

車内を隅々まで触れて……

ーードライビングモードを切り替えるシーソー型のスイッチは、これまでのようにセンターコンソール上ではなく、ビナクル(羅針箱)と呼ばれるメーターパネル部分の上端にふたつ並んで配置されるようになった。

【画像】マクラーレン・アルトゥーラ デザイン/内装【じっくを見る】 全101枚

左がハンドリング、右がパワートレインのモード切替で、ステアリングから手を離さずとも人差し指と中指で容易に操作できるうえ、ドライバーの視界を一切遮らない。

シーソー型スイッチの操作軸部分にプッシュ式スイッチを設け、ハンドリングとパワートレインに関連するシステム(左はESCオフ、右はギアボックスのマニュアルモード)を設定できるようにしたのも、直観的でわかりやすく、また効率的なデザイン・レイアウトを実現しているーー

これらのドライビングモード切り替えを有効にする際に必要だったアクティブ・スイッチが廃止されたのは、一部のマクラーレン・ファンにとっては残念かもしれないが、先入観抜きに考えれば操作性の向上に役立っているように思う。

同じくマクラーレン独自の操作系でいえば、これまではシートの車体中央寄りに設けられていたシートポジションの操作スイッチが、運転席、助手席ともに車体の外側に設けられるとともに、スイッチそのものがシート形状を模した一般的なデザインとなったことも、多くのユーザーにとってわかりやすく、また扱い易い点だ。

操作系に関する細かな変更点をつらつらと書き記したのは、これらが電気系プラットフォームの一新と深い関係があるからだ。

デザインだけじゃない 「最新」の理由

最新の自動車はいずれも高度に発達した電気系プラットフォームを備えており、各種スイッチや操作体系はこうした電気系プラットフォームの仕様によって決まる。

したがって、インテリアデザイナーのちょっとした気まぐれでスイッチの配列を大きく変更することは許されなくなっているのだ。

いや、マクラーレンの最新モデルであるアルトゥーラで新しくされたのは電気系プラットフォームだけではない。

すべてのマクラーレン・ロードカーに採用されてきたカーボンモノコックは、キャビン後方の低い位置にハイブリッド・システム用バッテリーを格納するスペースを設けた完全新設計で、強度・安全性の点で従来型を上回っているほか、新たに設立されたマクラーレン・コンポジット・テクノロジーセンター(MTCT)で製造される点も注目される。

エンジンがバンク角90度のV8から、同120度のV6に変更されたのもマクラーレン・オートモーティブの歴史として画期的な出来事だ。

これと組み合わされるギアボックスも従来の7段から8段へと進化し、プラグインハイブリッド・モデルのアルトゥーラではリバースギアを廃止。モーターを逆転させることで後退を実現している。

乗り心地とハンドリングについて

ここまで説明すれば、アルトゥーラがマクラーレン・オートモーティブにとってどれほど重要なモデルかがご理解いただけるだろう。

彼らがアルトゥーラのことを「マクラーレン・オートモーティブの歴史が第2章に入ったことを告げるモデル」と説明しているのも、もっともな話といえる。

しかし、アルトゥーラに試乗した印象は、あらゆる意味で「マクラーレンらしさを、さらに進化させたもの」だった。

たとえば、タウンスピードでの優しい乗り心地は、これまでのマクラーレンに通じるものだが、サスペンションの動き方はより精度感が高まり、シャキッとした印象を与えるようになった。

この結果、ステアリング操作に対する“分解能”が一層向上し、より精緻なライン・コントロールが可能になったように感じた。

同じ快適性という面でいえば、キャビンの静粛性が高まった点も忘れるわけにはいかない。

PHEVの静粛性と走り その評価は?

新設計のV6エンジンは、等間隔爆発のため滑らかで澄んだ音色を響かせるが、その音量は全般的に控えめ。風切り音やロードノイズもこれまでより低く抑えられているように感じる。

また、信号待ちなどで聞こえてきた「ジジジジジジ……」という電磁ポンプと思しきノイズも、アルトゥーラでは一切聞こえなくなった。レーシングカーを思わせるこの音がなくなったのはやや淋しくもあるけれど、質感の向上に役立ていることは間違いないだろう。

ドライビング・フィールは、紛れもなくマクラーレンそのものだ。

まず、油圧式パワーアシストを得たステアリングがもたらすビビッドなフィーリングは、マクラーレンの伝統というべきもの。バツグンの剛性感とリニアリティでドライバーに深い安心感を与えてくれるのも、マクラーレンの歴代モデルに通じる美点である。

サスペンションはマクラーレン・オリジナルのアクティブ・タイプではなく、“GT”に近いプロアクティブ・ダンピングコントロールを装備する関係で、いかなるときでも完全にフラットな姿勢を保つとは言いがたいが、それゆえにドライバーが積極的な荷重移動を行える点は多くのスポーツドライバーから歓迎されることだろう。

精密・信頼感が際立つ、電動世代の680ps

95ps/225Nmの電気モーターを得て、680psと720Nmのシステム出力とトルクを生み出すパワートレインのレスポンスが驚くほどシャープな点も、マクラーレンの伝統をよく受け継いでいる。

絶対的なパワー感でいえば720Sに一歩譲るものの、純粋なスポーツドライビングを楽しむうえでは、サーキット走行を含め、必要にして十分なパフォーマンスといえる。

最後にワインディングロードやサーキットでのコーナリングについて記せば、究極の精度感とスタビリティでドライバーに深い安心感をもたらしてくれる点は従来のマクラーレンとまったく同系列。

試乗コースに含まれていたアスカリ・サーキットでは、私なりにかなり頑張ったつもりだったが、それでもリアタイヤが流れ出す兆候さえ感じ取ることができなかった。この辺のスタビリティ感には、ダブルウィッシュボーン式からマルチリンク式に改められたリアサスペンションのパフォーマンスも貢献しているはずだ。

すべてが新しく、そしてすべてがマクラーレンらしい。

新世代のプラグインハイブリッド・スーパースポーツカーであるアルトゥーラは、そう表現するのがもっとも正しいように私には思えた。

アルトゥーラ スペック

価格:2965万円~
全長:4539mm
全幅:1913mm
全高:1193mm
最高速度:330km/h
0-100km/h加速:3.0秒
CO2排出量:104g/km
車両重量:1498kg
パワートレイン:2993cc V6ツインターボ+モーター
使用燃料:ガソリン
駆動用バッテリー:7.4kWh(実容量)
最高出力:680ps/7500rpm(システム総合)
最大トルク:720Nm(73.4kg-m)/2250rpm
ギアボックス:8速DCT

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