この記事をまとめると
■コルベットZ06はコルベットのハイパフォーマンス版として知られるモデル
コルベット「伝説の5台」から始まった名前が現行モデルで復活! 輝かしい「グランスポーツ」の歴史を振り返る
■5.5リッターV8は646馬力を8550rpmで発揮する
■ワイドボディとカーボンセラミックブレーキでサーキット性能も抜群だ
自然吸気エンジンのコルベットの最高峰
2019年に、シボレーが「コルベット」を第8世代(C8)へと進化させたとき、コルベットのファンはもちろんのこと、世界中のスポーツカーファンからそれに注がれた視線は限りなく熱いものだった。なぜなら、1953年に初代コルベット(C1)が誕生してから一貫して受け継がれてきたフロントエンジンの基本設計を、シボレーはこのC8において新たにミッドシップへと変更し、その運動性能を大幅に高めることに成功したからだ。
C8のミッドに搭載されたエンジンは、まず502馬力の最高出力と637Nmの最大トルクを発揮する、6.2リッターのV型8気筒OHV(LT2型)でスタートした。そして2021年には、さらに高性能な5.5リッターのV型8気筒DOHC(LT6型)エンジンを採用したモデルを追加設定。それが今回ドライブした「Z06」だ。
ちなみにこのZ06という称号が、コルベットに初めて掲げられたのは1963年、セカンドジェネレーション(C2)の時代である。カスタマーはRPO(レギュラー・プロダクション・オプション)として、このZ06を選択することで、さまざまなレース用アイテムを装備したコルベットをオーダーすることが可能になった。
だがZ06の名は、ここから第5世代(C5)で復活を遂げるまで長く封印されてしまうことになる。
前作、すなわち第7世代(C7)では6.2リッターのV型8気筒OHV+スーパーチャージャーエンジン(LT4型)を搭載したZ06だが、C8に追加されたZ06では、前でも触れているとおり再び自然吸気エンジンが選択されることになった。
2019年からシボレーがサーキットに投じている「コルベット C8.R」に搭載されているものをベースとするこのLT6型エンジンには、鍛造チタン製のコンロッドや鍛造アルミニウム製のピストンなどが使用され、低重心化と高強度を実現。クランクシャフトは高回転域でのスムースさに優れるフラットプレーン、エンジンブロックは上下に分割されたアルミニウム製という構成をもつ。潤滑方式はドライサンプで、エンジンスピードがレッドゾーンに達したときでも、オイルタンク内には96%のオイルが蓄えられる構造を実現している。ミッションは8速DCT、駆動輪は当然のことながら後輪となっている。
コルベット Z06では、クーペとコンバーチブルの両ボディをチョイスすることが可能だが、今回ドライブしたのはコルベット史上初となるリトラクタブルルーフを備えるコンバーチブルだ。
そのオープン&クローズのプロセスはじつにスムースで、かつそれに必要な時間も短い。さらに約48km/h以下の車速であれば走行中でもこのふたつのスタイルを使いわけることができるのだから、コンバーチブルとしての実用性は非常に高いと評価できる。
そのエクステリアから受ける印象は、スタンダードなコルベット、「2LT」や「3LT」と比較してもさらにダイナミックでスパルタンなものだ。リヤに345/25ZR21というサイズのタイヤを装着するZ06は、リヤフェンダーがさらにワイド化されており、全幅は85mmも拡大されているのだ。
リヤフェンダーの一部を構成するサイドエアベントも大型化され、それは視覚的な効果のみならず、エンジンルームの冷却効率をも確実に高めていることがわかる。
Z06の走りにはまさに楽しさが満ち溢れている
コクピットに身を委ねてみると、試乗車の2026年モデルではインテリアデザインが一新されていることに気づく。ブラックのボディカラーでは標準となるアドレナリンレッドをアクセントカラーとするフィニッシュは、やはりスポーツカー、いやスーパースポーツカーのそれとしてじつに刺激的なもの。
センターコンソールや14インチサイズに拡大されたメーターディスプレイ、12.7インチのセンターディスプレイ、さらに6.6インチのサブディスプレイで必要な情報を得て、さまざまな操作を簡単に行うことができるようになったことがキャビンでは印象的だ。
ミッドに搭載されるLT6型エンジンは、646馬力の最高出力を8550rpmで発揮する。一方6300rpmで得られる623Nmの最大トルクは、2LTや3LT用のLT2型エンジンよりもわずかに控えめな数字となる。つまりLT6型は回転でパワーを稼ぐ、いわゆる高回転型のエンジンなのだ。
それを証明するかのように、実際に感じるパワーフィールは確かに6000rpmを超えたあたりからより凄味を増し、アクセルレスポンスにもさらなる鋭さが表れる。そしてそのフィーリングはトップエンドまで確実に続くのだ。
このZ06では「ツアーモード」、「スポーツモード」、「トラックモード」、「ウェザーモード」、「マイモード」、そして「Zモード」の各ドライブモードが選択できるのだが、個人的にはオンロードではスポーツモードでも十分にスパルタンな走りを楽しむことができると感じた。
マグネティックライドコントロール機構を備える、前後のZ06パフォーマンスサスペンションが見せる路面への追従性や、絶妙にチューニングされたロール速度もまた大きな魅力。さらに電子制御のLSDがコーナーからの立ち上がりでは驚くほどのトラクション性能を体感させてくれるのだから、その走りにはまさに楽しさが満ち溢れている。
日本仕様のZ06ではコンバーチブルのみに標準装備されるカーボンセラミックブレーキの素晴らしいタッチも、ぜひとも報告しておかなければならないところ。1740kgというウエイトを狙ったとおりの加速度で減速していくことができるフィーリングは圧巻ともいえるものだった。
このZ06でも驚くべきパフォーマンスを披露してくれたC8だが、シボレーにとってそれはあくまでもひとつの通過点でしかなかったようだ。すでにシボレーからはZ06を超越するモデルとして、5.5リッターのV型8気筒DOHCツインターボエンジン(LT7型)を1079馬力で搭載した「ZR1」や、それに「E-RAY」のハイブリッドシステムを組み合わせた1250馬力の「ZR1X」が発表済み。
残念ながらこれらのモデルをアメリカから輸出する計画は現在の段階ではないようだが、チャンスがあるのならばそのステアリングを握ってみたいと願うファンは世界中に多くいるだろう。はたしてその声はシボレーへと届くだろうか。
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みんなのコメント
昔からコルベットだけは別格でシボレー/GMの技術への意地を感じる。
エンジン回転の限界決めるポイントは色々あるけど、ピストン上下するスピードが速くなりすぎると潤滑とかヤバい。平均20m/s超えるとかなり攻めてて25m/sがまぁ限界とされてきてる。LFAは23.7の変態、S2000は超変態なので25.2出した。
コルベットLT6も23m/sで変態の仲間だけど、一般にボア径100mm超えたら高回転にできないと言われてるのに104mmもあるでかいピストンぶん回してるので変態度加点したい。
エンジン屋の仕事が馬力より燃費とか耐久性に傾くなかで、いまだにこういうエンジンを新しく開発してくる姿勢はいいなぁと思う。
ムダと言われるかもしれんけどロマンはあるよね。
日本人もこういう車は好きなんですよ