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歴代ランエボ屈指の高性能車となったエボVIII!【ランサーエボリューションChronicleダイジェスト(12)】

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歴代ランエボ屈指の高性能車となったエボVIII!【ランサーエボリューションChronicleダイジェスト(12)】

モーターマガジンムック「ランサーエボリューションChronicle」が現在モーターマガジン社より発売中だ。ハイパワー4WD車の代表として多くのファンから支持されてきたランサーエボリューション。その変遷を詳細に解説した内容が好評を博している。ここでは、同誌からの抜粋をお届けする。今回は強力なヨーを発生するスーパーAYCの装着や、総合的な熟成の極みに達したエンジン、サスペンションにより、歴代でも最高の性能となったランサーエボリューショVIIIについて解説しよう。

トルク移動量を増大したスーパーAYCが話題になったエボVIII
ランサーエボリューションVIIでACD(アクティブ・センター・ディファレンシャル)が導入され、新世代の4WD車として大きな一歩を踏み出したランサーエボリューション。その翌年、2003年に発売されたエボリューションVIIIでは、さらに進化を遂げた。この進化は、エボリューションIVからVへのステップに匹敵する大きな飛躍と言える。ACDとスーパーAYCの採用により、4WDでありながらFRのように振り回して走れる、まさに新時代の4WD車となったのだ。その驚異的な性能は、「こんなクルマが市販される時代なのか」と驚嘆させるに値するものだった。

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パワーユニットから準に見ていくと、従来の4G63型+インタークーラーツインスクロールターボを改良している。具体的には、動弁系の慣性モーメント低減やバルブスプリングの荷重軽減により、フリクションも低減した。これらにより最高出力は国内自主規制値である280ps/6500rpm}、最大トルクは40.0kgm/3500rpmを発生し、トルクは従来比で+1.0kgm向上した。特に3000~5000rpmの太くフラットなトルク特性をさらに強化し、フレキシブルなエンジン特性を実現している。トルクの向上に対応し、ウォーターポンプの容量アップ、水室拡大によるターボチャージャーの冷却性能の向上、アルミ鋳造製ピストンと鍛造鋼製コンロッドの採用による高強度化を図り、耐久性と信頼性を向上させている。さらにパワーアップと耐久性向上を達成しながらも、エンジン全体で2.5kgの軽量化(エアコン装着車)を実現したのも注目された点だ。

トランスミッションは、GSRでは6速MTが標準装備となったのも大きな変更点だ。RSではモータースポーツのニーズを考慮し、17インチタイヤと組み合わせた6速MT仕様と、15インチタイヤと組み合わせた5速MTを標準装備とした2つの仕様を設定。6速MTは、発進加速を重視した1速、追い越し加速とギアの繋がりを重視した2~5速、最高速向上を狙った6速により、エンジン性能を最大限に引き出す設計としている。細かい部分ではあるが、6速MTには誤操作防止機構としてリバースギアへのプルリングを採用した。国内モータースポーツではRSの5速MTが主に使用されたが、それにはスーパークロスギアを標準装備していた。このトランスミッションもエンジントルク向上に伴い、耐久強度と剛性が強化されていた。

注目の駆動系だが、エボリューションVIIIは、ACD、スポーツABSによるオールホイールコントロール(AWC)を継承しつつ、新たに開発された「スーパーAYC」を採用した。これはリアデファレンシャル機構をベベルギア式からプラネタリーギア式に変更し、後輪左右のトルク移動量が従来のAYC比で約2倍に増大されていた。プラネタリーギアというのはコンベンショナルなATのトランスミッションの変速に使用している機構だが、これと増減速ギア、AYCの多板クラッチの利用によって、トルク伝達力を増幅する。

従来のAYCのベベルギア式はクラッチの締結力と増減速ギアで左右間トルクを制御していたが、プラネタリーギアによる確実なトルクの伝達を利用して、旋回性能とトラクション性能を同時に向上させた。従来のAYCでは多板式LSDに劣っていたトラクション性能も改善されている。それでもモータースポーツベース車のRSではACDのみを標準装備し、リアデフは機械式LSDでトラクション性能を重視した設定とする場合が多かった。

ボディ剛性もリーンフォースメントの追加などにより効率的にアップ
シャシに関して見ていくと、サスペンションは、フロントがストラット、リアがマルチリンクを継承しつつ、エボリューションVIII用に最適化している。サスペンションの基本性能向上と電子デバイスの補助ににより、ここに来て操縦性の優れた4WD車としての評価が確立した。

ボディは操縦安定性と走りの質感を向上させるため、最小限の重量増で最大の効果を得るピンポイント補強を実施している。具体的にはセンターピラー下部のインナーおよびアウターパネルに大型リーンフォースメントを追加し、アッパーボディとアンダーボディの結合が強化された。さらにフロントストラット上部、リアホイールハウス上面および側面へのリーンフォースメント追加、スポット溶接の増し打ち、ストラットタワーバー中央部とボディ側取付部の補強により、ボディ全体のねじり剛性とサスペンション取付部の剛性を向上させた。

エクステリアの特徴は一新されたフロントフェイスだ。この時期は、いわゆる三菱自動車のリコール隠し問題による販売不振や、ダイムラークライスラーとの合併時期の影響を受けており、「新生三菱自動車のデザインアイデンティティ」をフロントグリルに反映したと広報資料にある。実質は、ダイムラークライスラー側の意向が強く反映されたデザイン変更なのは否定できないところであり、従来のファンからは必ずしも好評ではなかった。

機能面から見れば、フロントバンパー中央部の開口部を10%拡大し、インタークーラーの冷却効率の向上を図っている。さらにバンパー左右下部の開口部をダクト形状に改良し、エンジンオイルクーラーの冷却効率を高めた。新形状の大型アンダーカバーはダウンフォースを大幅に向上させ、トランスミッションとトランスファーへの冷却風を導くディフューザーを追加。ブレーキへの冷却風を導くエアガイドも従来通り装備した。リアスポイラーは、CFRP(カーボン繊維強化樹脂)を水平翼と垂直翼に採用したが、これは4ドア量産セダンとして世界初の試みとなった。軽量かつ高剛性というその特性を活かし、翼断面形状を最適化することで空気抵抗を抑えつつダウンフォースを増大させた。加え車体前部・上部、バネ下を中心にさらなる軽量化を推進した。

GSRは、6速MT化による重量増加(約10kg)を相殺し、従来車とほぼ同等の重量を達成。RS(5速MT仕様)は競技ベース車両として装備と遮音材の最適化により、従来車比で約20 kgの軽量化を実現した。インテリアはオフブラックのモノトーンを基調に、ダークチタン調塗装のパネルを随所に配置し、スポーツドライビングに適した機能的かつスポーティな空間を演出している。インストルメントパネル上部のオーナメントはブルー系塗装で、シート生地とのカラーコーディネートを図った。センターパネルもダークチタン調塗装とし、GSRでは2DIN、RSでは1DINオーディオ対応キットを標準装備している。

タコメーターを中心とした多連スポーツメーターには、米国仕様と共通の270km/hフルスケールスピードメーターを新採用。シフトノブは操作性を追求した小径球体形状で、6速MT車のシフトレバーパネルにはリアスポイラーと同じカーボン繊維を用いた"Evolution"ロゴプレートを配置。レカロ製フルバケットシートは、サイドサポート部の形状を見直し、光沢のあるブルー系ニット生地にエンボス加工を施した。

タイヤは、GSRおよびRS(6速MT仕様)にハイグリップコンパウンドと高剛性カーカスを採用した235/45ZR17(ADVAN A046)を装着。エンケイ製6本スポーク17インチアルミホイールは新製法により強度を確保しつつ、4本合計で3.2kgの軽量化を実現。RS(5速MT仕様)は205/65Rタイヤと15インチスチールホイールを標準装備とし、17インチ仕様をオプションとした。ブレーキは、GSRにフロント17インチ4ポット、リア16インチ2ポット(ブレンボ製)を採用。ハンドル角センサーと連動したスポーツABSは、4輪を独立制御し、制動時の操縦性能を向上。EBD(電子制御制動力配分システム)により、路面状況や積載状態に応じた制動性能を実現した。盗難防止のイモビライザーを全車に標準装備し、GSRにはキーレスエントリー以外の解錠時に警報が鳴るセキュリティアラーム機能をオプションで追加可能だ。

モータースポーツでの活躍だが、WRCではWRカーによる戦いが行われるようになったため、エボリューションVIIIはグループAとして参戦していないが、グループNではプライベーターに広く使用され、高いシェアを獲得。国内モータースポーツでの活躍は顕著で、特にACDの改良が大きな成果を上げた。エボリューションVIIでは効き方が不自然との声があったが、エボリューションVIIIではドライバーの操作フィーリングに合うと評価が向上したのだ。フルタイム4WD車にとってセンターLSDのセッティングは難しく、特にビスカスLSDではセッティングに限界があった。ACDはこれを解決し、走行条件に応じてフリーからロックまで賢く制御。さらにモード切り替えで効き方を調整でき、ジムカーナでのサイドブレーキターンとトラクション重視の両立を可能にした。ここに来てACDは「使える」から「使わなければ勝てない」デバイスとなり、エボリューションVIIIは国内4WDクラスのタイトルをほぼ総なめにした。

ランサーGSRエボリューションVIII主要諸元
●全長×全幅×全高:4490×1770×1450mm
●ホイールベース:2625mm
●車両重量:1410kg
●エンジン:直4DOHC16バルブ+インタークーラーターボ
●排気量:1997cc
●最高出力:280ps/6500rpm
●最大トルク:40.0kgm/3000rpm
●トランスミッション:6速MT
●駆動方式:フルタイム4WD
●10.15モード燃費:9.7km/L
●車両価格(当時):329.8万円

[ アルバム : ランサーエボリューションChronicle(12) はオリジナルサイトでご覧ください ]

文:Webモーターマガジン 飯嶋洋治(FAN BOOK編集部)
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