現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 全長50m 超なが いトラック「ロード・トレイン」運転してみた 果たして曲がれるのコレ…?

ここから本文です

全長50m 超なが いトラック「ロード・トレイン」運転してみた 果たして曲がれるのコレ…?

掲載 11
全長50m 超なが いトラック「ロード・トレイン」運転してみた 果たして曲がれるのコレ…?

事故が起きれば被害は甚大 だからこその教習所

 世界第6位の国土面積を持つオーストラリアは、日本と比べて約20倍もの広さがありながら、内陸部の大部分が砂漠や乾燥した草地であることから、鉄道は沿岸部のごく限られた場所にしか敷設されていません。

【画像】「ロード・トレイン」運転席からの景色ほか

 そのような荒野地帯で多用されているのが、「ロード・トレイン」と呼ばれるモンスター級のトレーラーです。オーストラリアの内陸部に点在する町や集落は、道路が唯一の交通インフラになっていることが多いため、それら遠隔地では、この全長50mにもなる「ロード・トレイン」が物資輸送の要を担っています。

 今回、筆者(布留川 司:ルポライター・カメラマン)は、オーストラリアで「ロード・トレイン」を運転することができました。そこで「ロード・トレイン」を走らせた感想とともに、ドライバーから聞いたリアルな声をお伝えします。

 筆者を迎え入れてくれたのは、北部準州(ノーザンテリトリー)の州都ダーウィンにある「ロード・トレイン」のドライビングスクール「クーラウル・トレーニング&アセッシング」(KULLARU TRAINING & ASSESSING、以下クーラウル社)です。ここでは業務ドライバーの育成以外にも、一般観光客向けに「ロード・トレイン」の同乗や運転を体験させる観光アクティビティー「ロード・トレイン・エクスペリエンス」も提供しており、そこでインストラクターとして働くライアン氏に話を聞きました。

 「ロード・トレイン」の体験運転は公道ではなく、ダーウィン郊外の空き地で行われます。クーラウル社からその場所までは、ライアン氏が「ロード・トレイン」を運転し、筆者は助手席に乗って現役ドライバーのドライビングテクニックを観察することにしました。

「何事もゆっくり慎重に」が基本

 町中での「ロード・トレイン」の走行は、ひとことで言えば「ゆっくり」です。ライアン氏が言うには「どんな動作をするにしてもゆっくり慎重に行うのが基本」だそう。その理由は「車体が大きいから事故が起きれば大惨事になるし、そのときは自分だけでなく多くの人を巻き込むことになるから」とのことでした。

 コーナリングなどは意外とスムーズに曲がります。その理由は各セミトレーラーの接続部分に設けられた「カプラー」と呼ばれる連結器にあります。これが指の関節のように車体を曲げることで、回転半径を想像以上に小さくしているのです。

 加えて、オーストラリアの道路では交差点がラウンドアバウト(環状交差点)になっているため、右左折でもタイトな旋回の必要がないのも大きいと言えるでしょう。ただ、それでも大きなロード・トレインの場合は、ラウンドアバウト内の2つある車線双方を跨いで通行する必要がありました。

 ただ、都市部を出ると直線の道が基本となるため、そこでは最高速度100km/hにまでスピードを上げるといいます。場合によっては「ロード・トレイン」が強力な風圧を生じさせるため、対向車はそれに煽られないように注意する必要があるそうです。

 体験運転は幹線道路脇にある未舗装地で行いました。もともとは、第2次世界大戦中にオーストラリア軍が戦闘機の滑走路として整備した場所で、今は数百メートル続く直線のダートロードとなっています。ここで直線走行とUターンを繰り返しました。

 結論から言えば、運転自体は非常に簡単でした。ハンドルを握ったのは、ボルボ製のFH16トラクター(トレーラー・ヘッド)でしたが、優秀なオートマチック・トランスミッション(全自動変速機)が装備されており、重量物を牽引した状態でも発進と加速は非常にスムーズ。Uターン時でもパワステが効いているのでハンドリングも軽かったです。

オートマなら運転は簡単! とはいかず

 ただ、これは「ロード・トレイン」に限らず、最近の大型トラックにおいて共通したことで、車体の性能が向上し運転自体は優しくなっています。ライアン氏も、過去にはケンワース社のマニュアル・トランスミッション(手動変速)のトラックに乗っていたそうですが、「あれこそ“本当のトラック”という感じがして今でも大好きだけど、仕事で乗るなら圧倒的に楽なこのボルボになるね」と言っていました。

 しかし、簡単なのはあくまでも操作だけです。「ロード・トレイン」という巨大な車両を、他の車や障害物がある一般道で安全に運行させるには、相応の経験と技術が必須となります。筆者が体験運転で旋回しているときも、後方の牽引するセミトレーラーが気になって、サイドミラーでそればかりを見ていることをライアン氏に指摘されたほど。「ここでは問題ないけど、公道だったら前も見ないとね」と釘を刺されました。

 安全な環境だったからこそ、筆者は自由に運転することができましたが、あのような巨大車両を一般道で安全に走らせる自信は、最後まで持つことはできませんでした。

 筆者が「ロード・トレイン」の存在を初めて知ったのは、数十年前のテレビ番組がきっかけです。インターネットがない時代は、海外の文化やカルチャーを紹介する番組が数多くあり、そのなかでオーストラリアを代表する存在として、この大型トレーラーが取り上げられていました。

「大きい乗りもの」というのは、それだけで人を引きつける不思議な魅力があります。筆者もそのような理由で「ロード・トレイン」に興味を持つことになった経緯があるため、その実物に今回、触れて運転できたことは感慨深かったです。

 なお、今回の運転では「ロード・トレイン」だからこそといえる出来事がひとつありました。それは、Uターンしたときに、自分の車両の最後尾が後ろではなく運転席の真横に来ていたことです。3両のセミトレーラーを牽引しているので、急旋回すればこのような形になってしまうワケですが、蛇がとぐろを巻くようにセミトレーラーが連なり、それが自分のアクセル操作に合わせて動く様は「何か巨大な物を動かしている」という妙な快感を覚えたのは鮮明に覚えています。
 
 もし、「ロード・トレイン」を実際に運転してみたいと思った方がいたら、「ロード・トレイン・エクスペリエンス」のWEBサイトを参照してみることをオススメします。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

悔しい予選に終わったノリス。王者争いには悟りの境地「最初の6戦で決着していた」今は打倒フェラーリに集中
悔しい予選に終わったノリス。王者争いには悟りの境地「最初の6戦で決着していた」今は打倒フェラーリに集中
motorsport.com 日本版
【カブリオレ対決】BMW対メルセデス 6気筒エンジンを搭載するオープントップのM440i xDriveとCLE450のガチンコ勝負!
【カブリオレ対決】BMW対メルセデス 6気筒エンジンを搭載するオープントップのM440i xDriveとCLE450のガチンコ勝負!
AutoBild Japan
トヨタ「和製スーパーカー」がスゴイ! 約500馬力「直6」風エンジン搭載&“スケスケ”な超ロングノーズ仕様! ワイドでカッコイイ「FT-1」とは?
トヨタ「和製スーパーカー」がスゴイ! 約500馬力「直6」風エンジン搭載&“スケスケ”な超ロングノーズ仕様! ワイドでカッコイイ「FT-1」とは?
くるまのニュース
2025年は車を買う! でもどれにする?…スライドドア付き軽自動車・予算別ガイド、3ゾーン48車種
2025年は車を買う! でもどれにする?…スライドドア付き軽自動車・予算別ガイド、3ゾーン48車種
レスポンス
いつ見てもかわいいレトロデザイン!! 超小型車 フィアット新型「トポリーノ」は欧州で大人気! ネットに続々寄せられる熱い思いとは
いつ見てもかわいいレトロデザイン!! 超小型車 フィアット新型「トポリーノ」は欧州で大人気! ネットに続々寄せられる熱い思いとは
VAGUE
ラリージャパンで国沢光宏が躍動! 二つの顔を持つ紳士がルーテシア ラリー5で激走
ラリージャパンで国沢光宏が躍動! 二つの顔を持つ紳士がルーテシア ラリー5で激走
ベストカーWeb
『危ねぇ知らなかった!』危険回避! 知らないと怖いブレーキパッドの交換タイミング~カスタムHOW TO~
『危ねぇ知らなかった!』危険回避! 知らないと怖いブレーキパッドの交換タイミング~カスタムHOW TO~
レスポンス
ソニー、移動をエンタメに変える「MR Cruise」事業化…あらゆる車両に搭載可能に
ソニー、移動をエンタメに変える「MR Cruise」事業化…あらゆる車両に搭載可能に
レスポンス
「前を走るパトカー」“追い越し”て大丈夫? 抜かす派VS抜かない派で賛否両論!? 「やっちゃダメ」な要注意項目とは
「前を走るパトカー」“追い越し”て大丈夫? 抜かす派VS抜かない派で賛否両論!? 「やっちゃダメ」な要注意項目とは
くるまのニュース
日本人初の快挙! moto2チャンピオン小椋藍がトライアンフ トリプル トロフィーを受賞
日本人初の快挙! moto2チャンピオン小椋藍がトライアンフ トリプル トロフィーを受賞
バイクのニュース
【10年ひと昔の新車】ボルボ V60 オーシャンレース エディションは、世界一周ヨットレースを記念したスペシャルバージョン
【10年ひと昔の新車】ボルボ V60 オーシャンレース エディションは、世界一周ヨットレースを記念したスペシャルバージョン
Webモーターマガジン
孤高のミニバンSUV、デリカD:5に「BLACK Edition」新登場、定番の「CHAMONIX」には新たに8シーターを設定
孤高のミニバンSUV、デリカD:5に「BLACK Edition」新登場、定番の「CHAMONIX」には新たに8シーターを設定
カー・アンド・ドライバー
ダイハツの「“すごい”コペン」登場! 軽規格超えた「ワイドフェンダー」×770ccエンジン搭載! 2L並みパワーでめちゃ速い「デカいコペン」 どんなマシン?
ダイハツの「“すごい”コペン」登場! 軽規格超えた「ワイドフェンダー」×770ccエンジン搭載! 2L並みパワーでめちゃ速い「デカいコペン」 どんなマシン?
くるまのニュース
トヨタの「高級スポーティミニバン」がスゴい! 「走りが楽しい」反響多数!? 王道「アルファード」と異なる「個性」に注目! ヴェルは何が違う?
トヨタの「高級スポーティミニバン」がスゴい! 「走りが楽しい」反響多数!? 王道「アルファード」と異なる「個性」に注目! ヴェルは何が違う?
くるまのニュース
「スゴい事故」発生も…「夏タイヤ履いてるなんて信じられんッ!」 批判の声多数! 夏タイヤで雪道走ると違反? 正しい交換時期の目安とは
「スゴい事故」発生も…「夏タイヤ履いてるなんて信じられんッ!」 批判の声多数! 夏タイヤで雪道走ると違反? 正しい交換時期の目安とは
くるまのニュース
ついにその瞬間がやってきた!!!!! シビックベースの70年代風GTカー[ミツオカM55]が限定100台800万円で販売!!!!! 即売必至か?
ついにその瞬間がやってきた!!!!! シビックベースの70年代風GTカー[ミツオカM55]が限定100台800万円で販売!!!!! 即売必至か?
ベストカーWeb
「富士山登山鉄道」断念、でも代わりは“トラム”なの!?  後継には「電動連節バス」しかない3つの理由
「富士山登山鉄道」断念、でも代わりは“トラム”なの!? 後継には「電動連節バス」しかない3つの理由
Merkmal
入場無料! [レクサスRZ]に[新型アウトランダーPHEV]も!! 千年の都が舞台[京都モビリティ会議]が12月7日(土)にやってくる
入場無料! [レクサスRZ]に[新型アウトランダーPHEV]も!! 千年の都が舞台[京都モビリティ会議]が12月7日(土)にやってくる
ベストカーWeb

みんなのコメント

11件
  • バックはしない前提のものなの?
  • 2倍、3倍運べりゃ売り上げだって2、3倍近くできますよね。働き方改革ってそうゆう事。ようは規制緩和です。気合いと根性で給料上げろって無理です。こうゆうしがらみを取っ払って生産性向上できると仕事は大変でも、時間も短く給料も上がる。企業の売上上がるし、給料上げられるし、コストは下げられるしってならないと丸く収まりません。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村